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一章
死者の町
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二実達は2階のとある部屋に入っていった。
二実は部屋に入ると部屋中を見渡した。
そこには依然として壁が真っ黒になった部屋が存在していた。
二実が言った。
「やっぱり。」
明洋の黒い部屋は相変わらず存在していた。
晃太が二実に言った。
「この部屋があるって事は現実は何も変わってないって事ですね。」
二実が晃太に言った。
「うん、そういう事。ここ数日変な事ばっかり起きてたから、段々自分の主張に自信が持てなくなってきてたけどでもこれで確信が持てたわ。現実は何も変わっていないって!!」
勇雄が尋ねた。
「この真っ黒な部屋は?」
二実が勇雄に言った。
「明洋が使っていた部屋なんです。」
二実が言った。
「明洋は間違いなく存在していたのよ。」
勇雄が二実に尋ねた。
「壁に書かれている文字は?」
二実が勇雄に言った。
「明洋がこの家を出る前に書いていったものです。壁びっしりに同じ日時が書かれています。」
勇雄はその時間を確認した。
「この時間は??」
「2019年6月11日午後7時19分。」
勇雄が手帳をとりだしてページをめくって書いてある内容を確認した。
勇雄が言った。
「これは明洋君が死んだ時間だな。明洋君が死んだのはそのくらいの時間になるはずだ。」
三緒が勇雄に尋ねた。
「えっ?それじゃあ明洋君は自分が死ぬ時間をひたすら壁に書いてたんですか?」
勇雄が三緒に言った。
「そういう事になるね。」
二実が三緒に言った。
「そうなると明洋は自分が死ぬ事を分かってったって事になるわよ?」
三緒が二実に言った。
「でもさっき明洋君を降霊させて話を聞いた限りではとても知ってたようには見えなかったけど。」
二実が三緒に言った。
「確かに知らない感じだった。でもここには明洋が死ぬ日時がびっしり書かれているわ。」
すると二実は深く考え込んでしまった。
三緒が二実を呼んだ。
「二実?」
すると二実がみんなに言った。
「すぐに久美子さんの所に行きましょう?あと敏子の家にも。」
三緒が二実に尋ねた。
「どういう事??」
二実が三緒に言った。
「嫌な予感がするのよ。」
二実達は困惑しつつも白焼邸を後にした。
その後二実達は二実が住んでいたマンションに向かった。
そして敏子の家には彩乃を自宅まで送り届けて戻って来た吉崎警部補が向かう事になった。
二実が路上に車を駐車するとマンションの出入り口へと向かった。
二実の予感は的中してしまうのだった。
マンションの出入り口の前で優斗が言った。
「久美子さんが首を吊ってる???」
二実が住んでいたマンションの出入り口で久美子が首を吊って死んでいたのだった。
二実が怒りを露わにしながら言った。
「もう!!なんで嫌な予感ばっかり当たるのよ??なんで久美子さんまで首を吊っちゃうの??」
だが二実達には感傷に浸っている時間はなかった。
マンションの駐車場の方から三緒の声が響いてきた。
「二実大変よ??駐車場に来て!!!」
二実はすぐにマンションの駐車場へと駆け出した。
二実が駐車場に駆けつけると、三緒が何かを見上げたまま固まっていた。
三緒に駆け寄った二実が三緒に尋ねた。
「どうしたの三緒??」
すると三緒が指をさしながら言った。
「あれを見て!!」
二実は三緒が指さした方向を見つめた。
三緒はマンションの上の階を指さしていた。
そこにはマンションの住人がベランダで首を吊って死んでいたのであった。
しかも一人ではないのだ。
何十人もの人々がマンションのベランダで首を吊って死んでいたのだ。
三緒が二実に尋ねた。
「ねえ??この人たちなんでみんなベランダで首を吊ってるの??」
二実が三緒に言った。
「分かる訳ないでしょ??」
すると勇雄が言った。
「この首を吊っている人たちはマンションの住人なんだろうか?」
すると二実がベランダで首を吊っている人たちを一人づつ見ていった。
そして二実が勇雄に言った。
「この人たちみんなこのマンションの住んでる人たちです。」
勇雄が二実に聞き返した。
「そうなのか?」
二実が勇雄に言った。
「はい、私の知っている人たちばかりです。みんな自分の部屋のベランダで首を吊ってるんだと思います。」
勇雄が二実に言った。
「首を吊った人達と首を吊ってない人達、何が違うのだろうな?」
二実が勇雄に言った。
「いえたぶんこのマンションにいた人達全員が首を吊ってると思います。」
勇雄が二実に言った。
「だが首を吊ってない部屋もかなりある。」
二実が勇雄に言った。
「私の住んでいた305は誰も首を吊っていません。大火災以降このマンションを出てった人はかなりいるみたいです。」
勇雄が二実に言った。
「確かに洗濯物が干されている部屋は全て首を吊っている人がいるな。」
勇雄が二実に尋ねた。
「それじゃあこのマンションに住んでいた住人全員が自分の所のベランダで首を吊ったという事か?」
二実が勇雄に言った。
「おそらく。」
三緒が二実に尋ねた。
「なんでみんな一緒に首を吊る必要があったの??」
二実さ三緒に言った。
「そんなの分からないわ。」
三緒が二実に言った。
「ねえ二実もうひとつ気になる事があるんだけど??ここってこんなに通る人が少なかったっけ??さっきから誰も通らないんだけど??」
二実は言われて初めてきがついた。
三緒のいう通り通行人が誰一人としていなかった。
二実もあることに気がついた。
「えっ??そういえばなんで騒ぎになってないの??」
優斗が二実に言った。
「確かに、これだけの人間は首吊り自殺をしてるんですから。普通ならもっと大騒ぎになっているはずですよね。」
すると二実が勇雄に尋ねた。
「勇雄さん??久美子さんがいつ頃首を吊ったかって分かりませんか?」
勇雄が二実に言った。
「死後硬直を調べればある程度は分かるが?今すぐかね??」
二実が勇雄に言った。
「はい、すいませんがお願いします。」
勇雄は久美子の遺体を調べに行った。
少し経ってから戻って来た。
そして勇雄が二実に言った。
「死後硬直が全身に始まっている事から死後6時間以上は経っているな。」
二実が勇雄に尋ねた。
「6時間以上も放置されてるって事ですか??」
勇雄が二実に言った。
「そうなるな。」
二実が勇雄に言った。
「どういう事ですか??このマンションの近所に住んでる人たちがさすがに気づくと思うんですけど??」
すると駐車場に拓也と晃太が走って来た。
「二実さん!!」
二実が二人に尋ねた。
「どうかしたの??拓也君??晃太君??」
拓也が二実に言った。
「俺たちでこのマンションの周辺の家々を回ってみたんですが、大変なんです。」
拓也の話を聞いた二実達はすぐにマンションの周辺の家々を見て回った。
まず二実達はマンションの隣に住んでいる川谷さんの家に向かった。
すると老夫婦の首吊り死体が玄関で二実を出迎えたのだった。
「もう勘弁してよ!!」
三緒が泣きそうな声で言った。
家の玄関前で老夫婦の二人が仲良く首を吊って死んでいたのだった。
二実が言った。
「川谷さん夫妻よ、この家に住んでる??どうして二人で首を吊ってるの??」
晃太が二実に言った。
「周辺の家々を一軒づつ回ってみたんですが、この近所の人たちみんな首を吊って死んでるんです。」
その後他の家も見て回ったが、晃太の言う通り首吊りをしている人達で溢れていた。
川谷家の隣の古びたアパートでは若い男性が窓から何人も首を吊っていた。
さらにその隣の家でも若い夫婦が玄関前で首を吊っていた。
その顔は笑顔そのものだった。
二実が言った。
「この家の人も夫婦で首を吊ってる。」
晴南が言った。
「ねえ?本当に何がどうなってるの??」
拓也が言った。
「こんなみんな一斉に首吊りなんてどう考えても異常すぎる。」
すると勇雄のスマホに着信が入った。
それに気づいた勇雄がスマホを操作して電話に出た。
そして二実達にも聞こえるようにスピーカーモードにした。
勇雄がスマホ越しに言った。
「吉崎警部補?どうかしたか??」
スマホから吉崎警部補の声が響いた。
「柿崎敏子の両親である柿崎夫妻が玄関で首を吊って死んでいました。全身の死後硬直が始まっており6時間以上は経っていると思われます。」
勇雄がスマホ越しに言った。
「なんだと???」
吉崎警部補の声が響いた。
「それだけではありません。近隣に住んでいる人達もみんな玄関で首を吊っていました。5人や十人ではありません。たくさんの人達が自宅の玄関前やベランダで首を吊っているんです。」
勇雄がスマホ越しに言った。
「そんな馬鹿な。」
二実が言った。
「まさかこの辺に住んでる人たち全員が首を吊ってるんじゃ。」
すると優斗が二実に言った。
「これもう首吊りとか事件とか言ってる場合じゃないですよね。」
勇雄が優斗に言った。
「そうだな明らかな異常事態だ。すぐにここを離れた方がいいだろう。」
二実が優斗に言った。
「そうだね、これはやばいやつみたいだし。逃げた方がいいわね。」
三緒が二実に尋ねた。
「でも逃げるってどこへ?」
二実が三緒に言った。
「九前坂(くぜんざか)神社に行きましょう。お父さんがいるわ。」
勇雄がスマホ越しに言った。
「吉崎警部補すまないがすぐに戻ってきてくれ。九前坂神社で落ち合おう。」
吉崎警部補の声が響いた。
「分かりました。」
晴南達は勇雄と二実の車に分乗して九前坂神社へと向かった。
二実達はすぐに九前坂神社に向かった。
二実は部屋に入ると部屋中を見渡した。
そこには依然として壁が真っ黒になった部屋が存在していた。
二実が言った。
「やっぱり。」
明洋の黒い部屋は相変わらず存在していた。
晃太が二実に言った。
「この部屋があるって事は現実は何も変わってないって事ですね。」
二実が晃太に言った。
「うん、そういう事。ここ数日変な事ばっかり起きてたから、段々自分の主張に自信が持てなくなってきてたけどでもこれで確信が持てたわ。現実は何も変わっていないって!!」
勇雄が尋ねた。
「この真っ黒な部屋は?」
二実が勇雄に言った。
「明洋が使っていた部屋なんです。」
二実が言った。
「明洋は間違いなく存在していたのよ。」
勇雄が二実に尋ねた。
「壁に書かれている文字は?」
二実が勇雄に言った。
「明洋がこの家を出る前に書いていったものです。壁びっしりに同じ日時が書かれています。」
勇雄はその時間を確認した。
「この時間は??」
「2019年6月11日午後7時19分。」
勇雄が手帳をとりだしてページをめくって書いてある内容を確認した。
勇雄が言った。
「これは明洋君が死んだ時間だな。明洋君が死んだのはそのくらいの時間になるはずだ。」
三緒が勇雄に尋ねた。
「えっ?それじゃあ明洋君は自分が死ぬ時間をひたすら壁に書いてたんですか?」
勇雄が三緒に言った。
「そういう事になるね。」
二実が三緒に言った。
「そうなると明洋は自分が死ぬ事を分かってったって事になるわよ?」
三緒が二実に言った。
「でもさっき明洋君を降霊させて話を聞いた限りではとても知ってたようには見えなかったけど。」
二実が三緒に言った。
「確かに知らない感じだった。でもここには明洋が死ぬ日時がびっしり書かれているわ。」
すると二実は深く考え込んでしまった。
三緒が二実を呼んだ。
「二実?」
すると二実がみんなに言った。
「すぐに久美子さんの所に行きましょう?あと敏子の家にも。」
三緒が二実に尋ねた。
「どういう事??」
二実が三緒に言った。
「嫌な予感がするのよ。」
二実達は困惑しつつも白焼邸を後にした。
その後二実達は二実が住んでいたマンションに向かった。
そして敏子の家には彩乃を自宅まで送り届けて戻って来た吉崎警部補が向かう事になった。
二実が路上に車を駐車するとマンションの出入り口へと向かった。
二実の予感は的中してしまうのだった。
マンションの出入り口の前で優斗が言った。
「久美子さんが首を吊ってる???」
二実が住んでいたマンションの出入り口で久美子が首を吊って死んでいたのだった。
二実が怒りを露わにしながら言った。
「もう!!なんで嫌な予感ばっかり当たるのよ??なんで久美子さんまで首を吊っちゃうの??」
だが二実達には感傷に浸っている時間はなかった。
マンションの駐車場の方から三緒の声が響いてきた。
「二実大変よ??駐車場に来て!!!」
二実はすぐにマンションの駐車場へと駆け出した。
二実が駐車場に駆けつけると、三緒が何かを見上げたまま固まっていた。
三緒に駆け寄った二実が三緒に尋ねた。
「どうしたの三緒??」
すると三緒が指をさしながら言った。
「あれを見て!!」
二実は三緒が指さした方向を見つめた。
三緒はマンションの上の階を指さしていた。
そこにはマンションの住人がベランダで首を吊って死んでいたのであった。
しかも一人ではないのだ。
何十人もの人々がマンションのベランダで首を吊って死んでいたのだ。
三緒が二実に尋ねた。
「ねえ??この人たちなんでみんなベランダで首を吊ってるの??」
二実が三緒に言った。
「分かる訳ないでしょ??」
すると勇雄が言った。
「この首を吊っている人たちはマンションの住人なんだろうか?」
すると二実がベランダで首を吊っている人たちを一人づつ見ていった。
そして二実が勇雄に言った。
「この人たちみんなこのマンションの住んでる人たちです。」
勇雄が二実に聞き返した。
「そうなのか?」
二実が勇雄に言った。
「はい、私の知っている人たちばかりです。みんな自分の部屋のベランダで首を吊ってるんだと思います。」
勇雄が二実に言った。
「首を吊った人達と首を吊ってない人達、何が違うのだろうな?」
二実が勇雄に言った。
「いえたぶんこのマンションにいた人達全員が首を吊ってると思います。」
勇雄が二実に言った。
「だが首を吊ってない部屋もかなりある。」
二実が勇雄に言った。
「私の住んでいた305は誰も首を吊っていません。大火災以降このマンションを出てった人はかなりいるみたいです。」
勇雄が二実に言った。
「確かに洗濯物が干されている部屋は全て首を吊っている人がいるな。」
勇雄が二実に尋ねた。
「それじゃあこのマンションに住んでいた住人全員が自分の所のベランダで首を吊ったという事か?」
二実が勇雄に言った。
「おそらく。」
三緒が二実に尋ねた。
「なんでみんな一緒に首を吊る必要があったの??」
二実さ三緒に言った。
「そんなの分からないわ。」
三緒が二実に言った。
「ねえ二実もうひとつ気になる事があるんだけど??ここってこんなに通る人が少なかったっけ??さっきから誰も通らないんだけど??」
二実は言われて初めてきがついた。
三緒のいう通り通行人が誰一人としていなかった。
二実もあることに気がついた。
「えっ??そういえばなんで騒ぎになってないの??」
優斗が二実に言った。
「確かに、これだけの人間は首吊り自殺をしてるんですから。普通ならもっと大騒ぎになっているはずですよね。」
すると二実が勇雄に尋ねた。
「勇雄さん??久美子さんがいつ頃首を吊ったかって分かりませんか?」
勇雄が二実に言った。
「死後硬直を調べればある程度は分かるが?今すぐかね??」
二実が勇雄に言った。
「はい、すいませんがお願いします。」
勇雄は久美子の遺体を調べに行った。
少し経ってから戻って来た。
そして勇雄が二実に言った。
「死後硬直が全身に始まっている事から死後6時間以上は経っているな。」
二実が勇雄に尋ねた。
「6時間以上も放置されてるって事ですか??」
勇雄が二実に言った。
「そうなるな。」
二実が勇雄に言った。
「どういう事ですか??このマンションの近所に住んでる人たちがさすがに気づくと思うんですけど??」
すると駐車場に拓也と晃太が走って来た。
「二実さん!!」
二実が二人に尋ねた。
「どうかしたの??拓也君??晃太君??」
拓也が二実に言った。
「俺たちでこのマンションの周辺の家々を回ってみたんですが、大変なんです。」
拓也の話を聞いた二実達はすぐにマンションの周辺の家々を見て回った。
まず二実達はマンションの隣に住んでいる川谷さんの家に向かった。
すると老夫婦の首吊り死体が玄関で二実を出迎えたのだった。
「もう勘弁してよ!!」
三緒が泣きそうな声で言った。
家の玄関前で老夫婦の二人が仲良く首を吊って死んでいたのだった。
二実が言った。
「川谷さん夫妻よ、この家に住んでる??どうして二人で首を吊ってるの??」
晃太が二実に言った。
「周辺の家々を一軒づつ回ってみたんですが、この近所の人たちみんな首を吊って死んでるんです。」
その後他の家も見て回ったが、晃太の言う通り首吊りをしている人達で溢れていた。
川谷家の隣の古びたアパートでは若い男性が窓から何人も首を吊っていた。
さらにその隣の家でも若い夫婦が玄関前で首を吊っていた。
その顔は笑顔そのものだった。
二実が言った。
「この家の人も夫婦で首を吊ってる。」
晴南が言った。
「ねえ?本当に何がどうなってるの??」
拓也が言った。
「こんなみんな一斉に首吊りなんてどう考えても異常すぎる。」
すると勇雄のスマホに着信が入った。
それに気づいた勇雄がスマホを操作して電話に出た。
そして二実達にも聞こえるようにスピーカーモードにした。
勇雄がスマホ越しに言った。
「吉崎警部補?どうかしたか??」
スマホから吉崎警部補の声が響いた。
「柿崎敏子の両親である柿崎夫妻が玄関で首を吊って死んでいました。全身の死後硬直が始まっており6時間以上は経っていると思われます。」
勇雄がスマホ越しに言った。
「なんだと???」
吉崎警部補の声が響いた。
「それだけではありません。近隣に住んでいる人達もみんな玄関で首を吊っていました。5人や十人ではありません。たくさんの人達が自宅の玄関前やベランダで首を吊っているんです。」
勇雄がスマホ越しに言った。
「そんな馬鹿な。」
二実が言った。
「まさかこの辺に住んでる人たち全員が首を吊ってるんじゃ。」
すると優斗が二実に言った。
「これもう首吊りとか事件とか言ってる場合じゃないですよね。」
勇雄が優斗に言った。
「そうだな明らかな異常事態だ。すぐにここを離れた方がいいだろう。」
二実が優斗に言った。
「そうだね、これはやばいやつみたいだし。逃げた方がいいわね。」
三緒が二実に尋ねた。
「でも逃げるってどこへ?」
二実が三緒に言った。
「九前坂(くぜんざか)神社に行きましょう。お父さんがいるわ。」
勇雄がスマホ越しに言った。
「吉崎警部補すまないがすぐに戻ってきてくれ。九前坂神社で落ち合おう。」
吉崎警部補の声が響いた。
「分かりました。」
晴南達は勇雄と二実の車に分乗して九前坂神社へと向かった。
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