あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

規制区域

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7月1日正午前、晴南達は町中を歩いてとある場所に向かっていた。

晴南達が大きな道路を進んでいくと、晴南達の進んでいく先の道路が封鎖さされていた。

大きな道路を塞ぐよう大きなフェンスが一列に並べて置かれていた。

それが何重にも設置されており、強固なバリケードが築かれていた。

晴南達はバリケードの前でいったん止まった。

晴南がキョロキョロしながらある事に気がついた。

そして大きな声で言った。

「あれ??誰もいませんよ??」

二実も周囲もキョロキョロしながら晴南に言った。

「本当ね??警察の人が誰もいないじゃない。」

勇雄が言った。

「妙だな??なぜ誰もいない??まだ規制の解除命令は出てないはずだが??」

二実が勇雄に言った。

「まあ今はそれはいいんじゃないですか?人が少ない方が動きやすいと思うし。」

勇雄が二実に言った。

「確かにな、それじゃあ先を急ごうか。」

勇雄に誘導されて晴南達はバリケードを超えて規制線の中に入っていった。

少し進んでいくと平穏な街の景色かられきの山へと景色が変わっていった。

晴南達はがれきの山が広がっている廃墟群の手前で一旦止まった。

先頭を歩いていた二実がみんなに言った。

「ここからは明井田大規模火災の現場になるわ。」

拓也が言った。

「この先が大火災が起こった中心地か。」

晴南が言った。

「あそこがよく来てた明井田の駅前か、本当に見るも無残ね。」

晴南達が言うようにひどい光景が広がっていた。

鉄筋やコンクリートのがれき山があちらこちらに点在していた。

かつてはビルを形作っていた鉄筋やコンクリートであった。かろうじて焼け残ったビルもビル全体が真っ黒に焼け焦げており火災の激しさを物語っていた。

文字通りがれきの山が広がっていた。

三緒が言った。

「ニュースではよく見てたけどひどい有様ね。」

二実が勇雄に言った。

「勇雄さん一緒に来てもらってもらってすいません。」

勇雄が二実に言った。

「いやこちらも二実君の提案には賛同しているからね、これぐらいは当然だよ。とわいえ今回はあまり役にはたてなさそうだがね。」

勇雄が二実に尋ねた。

「二実君?どうかしたかね?」

すると二実が勇雄に言った。

「あっいえ??ここから先はかなり危なそう気配が漂ってるんで。」

三緒が二実に言った。

「やっぱり晴南ちゃん達を連れていかない方が良いんじゃないかな?」

晃太が三緒に言った。

「たぶん連れってった方がいいと思います。」

優斗が晴南に尋ねた。

「ねえ晴南??ここで大人しく待ってるって選択肢はある?」

晴南が優斗に言った。

「そんな選択肢あるわけないでしょ!!一緒についていくか追いかけるの二択に決まってるでしょ!!」

優斗が晴南に言った。

「だよね。」

優斗が三緒に言った。

「晴南を置いていってもたぶん二実さん達の後を追いかけちゃうます。だったら一緒に連れてった方がまだ安全だと思います。」

三緒がみんなに言った。

「確かにそうかもね。」

二実がみんなに言った。

「それでみんなに守って欲しい事があるんだけど?」

すると近くから女性の声が響いてきた。

「あれっ??二実ちゃん??」

二実が声のした方を振り向くと二実と同年代くらいの女性が立っていた。

二実がその女性に言った。

「あれっ??彩乃(あやの)さん??」

彩乃(あやの)と呼ばれた女性が二実に言った。

「二実ちゃんこそ??どうしてここに?」

拓也が二実に尋ねた。

「二実さんこの方は?」

二実が拓也に言った。

「うちの神社で働いてる巫女さんよ。川端彩乃(かわばたあやの)さんって言うの。」

二実が彩乃(あやの)に言った。

「彩乃さん、この子達は九木礼の後輩達なんです。」

彩乃が晴南達に言った。

「みんなよろしくね。」

晴南が彩乃に言った。

「はい、よろしくお願いします!!」

二実が彩乃に尋ねた。

「ところで彩乃さん?どうしてここにいるんですか?」

すると彩乃は言いよどんでしまった。

「うーん。」

そして言いにくそうに二実に言った。

「実はさここに来たら美羽(みう)の声が聞けるかもって思ったんだ。」

三緒が彩乃に尋ねた。

「彩乃さん?美羽(みう)の声が聞けるかもってどういう事ですか?」

二実が彩乃に言った。

「美羽ちゃんは彩乃(あやの)さんの妹さんでしたよね。もしかして美羽ちゃんも???」

彩乃が二実に言った。

「うん、明井田大規模火災以降行方不明になっててね。あの日から一切の連絡も取れなくなっちゃったの。みんなには心配かけたくなかったから美羽(みう)は無事だって言ってたんだけど。」

二実が彩乃に聞き返した。

「そうだったんですか?」

彩乃が二実に言った。

「うん、ごめんね。みんな自分の家族や友達の事でいっぱいいっぱいだったから話しにくくてね。でも毎日毎日美羽の事が心配で仕方なかったんだ。それでもう我慢ができなくてここに来てしまったの、美羽がこの辺りを彷徨ってるんじゃないかって思ったの。」

すると三緒が二実に尋ねた。

「ねえ二実??もしかして彩乃さんも??」

二実が三緒に言った。

「ええ、彩乃さんも私と一緒でかなり霊感が強いわ。いや霊感だけなら私以上かもしれない。」

彩乃が三緒に言った。

「私は霊媒体質ってだけで二実ちゃんみたいに霊を見る事ができないから。声は聞く事はできるけどね。」

二実が彩乃に尋ねた。

「良かったら私たちと一緒に行きませんか?私たちもこの先に行こうと思ってるんです。」

三緒が二実に言った。

「彩乃さんを連れていくのは危ないんじゃない?二実より霊感が強いんでしょ?」

二実が三緒に言った。

「分かってる、でも私も明洋や敏子が行方不明になって彩乃さんの辛さはよく分かるから。だから少しでも彩乃さんの力になってあげたいんだ。」

三緒が二実に言った。

「分かった。」

彩乃も二実達に同行することになった。

すると彩乃が二実に尋ねた。

「二実ちゃん達は何をしに来たの?」

二実が彩乃に言った。

「彩乃さんと似てます。私たちは明洋を探しにいくつもりです。それであの日に何があったのかを尋ねるつもりです。」

そう二実達は死んでしまったであろう明洋の幽霊を探し出して当日何があったを直接聞き出そうとしていた。

三緒が二実に尋ねた。

「ねえ二実??本当にいいのね?この先はかなり危ない気配が漂ってるけど?」

二実が三緒に言った。

「ええもちろんいいわ。たぶんもうこれしか方法がないと思うから。さっき別の場所で明洋を降霊できないか試したけどダメだったわ。たぶんまだ明井田駅前を彷徨っているんだと思う。」

二実が三緒に尋ねた。

「敏子や里穂ちゃんの方はいいの?」

二実が三緒に言った。

「今回は仕方ないわ。明洋には絶対に話を聞きたいから。」

三緒が二実に言った。

「分かった、ならもう何も言わないわ。」

すると二実がみんなに言った。

「それじゃあみんな、これからこの先に進むけどここから先は何も言葉を発しちゃダメよ。そして何か声が聞こえても絶対に振り返らないで。」

優斗が二実に尋ねた。

「え?どういう事ですか?」

二実がみんなに言った。

「この先にはかなり危ないから。すごい数の浮遊霊がいるはずよ。だから呼びかけられても必ず無視してね。絶対に反応しちゃダメ?」

拓也が二実に尋ねた。

「反応したらどうなるんですか?」

二実が拓也に言った。

「浮遊霊達が集まってきて大変な事になるから。」

三緒が拓也に言った。

「最悪あっちの世界に引きづり込まれちゃうわ。」

晃太が二実に尋ねた。

「でもそれじゃあ二実さんと会話ができませんよ?」

二実が晃太に言った。

「私が先頭を歩くからみんなは私についてきて。それで三緒が最後尾を歩くから。」

すると三緒が二実に尋ねた。

「でも二実?明洋君や美羽ちゃんを見つけたらどう知らせればいい?」

二実が三緒に言った。

「手を上げてくれればいいわ。明洋を見つけたら左手美羽ちゃんを見つけたら右手を上げるの。私も見つけたらそうするから。」

三緒が二実に言った。

「分かった。」

二実が三緒に言った。

「たぶん明洋はこの場所に縛られてると思うからここの外には連れていけないわ。だから霊達が少ない場所を見つけて明洋をそこに誘導するわ。私の体に明洋の霊を降霊させるからその後は三緒に任せるわよ??大火災の事を明洋に尋ねてね。」

三緒が二実に言った。

「分かった。」

三緒が二実に言った。

「でも明洋君、ちゃんと憑いてきてくれるかな?」

二実が三緒に言った。

「明洋だって私たちの姿を見ればついてくるはずよ。」

二実がみんなに言った。

「みんな?約束事をちゃんと守ってね。」

晃太が晴南に言った。

「晴南??ちゃんと二実さんの約束事を守ってくれよ。」

晴南が晃太に言った。

「もう、分かってるわよ。」

そして晴南達は明井田大規模火災の現場だった明井田駅前に入っていった。

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