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序章
奇妙
しおりを挟む身体の変容には相当ショックを受けたが、気を取り直して上流に向かおう。
昨日と同じ装備でロップを肩車して滝を飛び越える。
今日は寝坊したので、探索地域は広げずに昨日と同じルートを辿る。
行者ニンニクの採取は今日は少しにしよう。昨日結構な量を刈ったからな。
取りすぎはいくない。
大カギムシ君と、赤ヘッピリムシ君に出会った場所に来ると、げんなりする光景に遭遇した。俺が昨日倒した赤ヘッピリムシ君達の死骸に5匹の大カギムシ君達が群がってお食事している。君達にはもう会いたくないんだが。
だが魔石を取って早く進化しないと、俺は今の嫌な身体のままだ。
俺の現在の攻撃手段は、
・物理攻撃(剣スコップ、剣鉈)
・生命魔法
・痰吐き
・屁
痰吐きは元々ヤツラの能力だしやめておこう。屁も論外だ。
初対面でいきなり痰を吐いて来たヤツに、俺の生尻を晒すなんて屈辱には耐えられない。物理攻撃も昨日の教訓から控える。近付くと痰を吐かれるからな!
やはり昨日のセオリー通りに、パラライズからのダークなんちゃらで成仏して頂こう。宙に浮かんで、上からパラライズを掛ける。効果バツグンだ。
お食事中のカギムシ君達がビクビクしている。そしてダークなんちゃら!
闇の炎に抱かれて成仏しろ!
しばらくすると黒炎のエフェクトが徐々に小さくなって消えた。成仏された様だ。
南無。昨日と同じように剣スコップで魔石をほじくった。結構慣れたね。
だがコイツラを食べる気はないよ。俺はゲテ村でもコウエイ様でもないのだ。
魔石を回収した後、毒フルーツの林に向かった。あれはいいものだ。
毒フルーツの林にたどり着くと、1メートル位の体長の、角が2本生えた黒い猪みたいな生き物が地面に落ちた毒フルーツを食べている。眼が赤く光っているな。
おそらく魔物だろう。ロップに確認してみた。
「ロップ、あれは魔物だよな?」
「そっすね。アレはダイアボアの幼獣っすね。この島にもいるんすね~」
ロップと会話していると、黒猪がこちらを見つめて右前足をガツガツしている。何?うおっ、突っ込んできた!飛ぶのも間に合わない、まだ俺は急には飛べない
んだよ!魔法も同じだ。
剣スコップで引っ叩こうとしたが、間に合わない!咄嗟に左手を突き出して黒猪の頭を押さえようと突き出したらゴキュンと変な音がして黒猪がひっくり返った。
あれ?ご成仏なさってるんですか?俺が首を傾げていると、
「星母神様の使徒の身体能力ならあんなの問題ないっすよ。ダイアボアの成獣は、あれの何倍もデカいっすよ。それでも余裕っす」
なにそれ!凄いね!俺そんなに強いの?実感ないけど。取り合えずこの猪は持ち帰って食べてみようか。獣の初解体に挑戦しよう。面倒くさいんだけどね~。
今は道具が足りないから、魔法の収納袋に収納しよう。血抜きに関しては俺に考えがある。魔法の収納袋に黒猪の死体を入れる前に、ダークなんちゃらを掛けた。
ダニとかいるからな。黒猪の身体で小さい黒い火がポワポワ燃えてる。黒い火が収まってから魔法の収納袋に黒猪を回収した。
その後ワスプの実を土嚢袋3袋分回収した。まだまだワサワサ実ってるからこの位いいよね。しかし魔物には毒とか効かないのかね?
倒したダイアボアも、コレをガツガツ食ってたし。
今日は寝坊したからな、今は正午過ぎだ。そろそろ帰ろう。
今日は昼飯抜きだロップごめんな。
来た道を戻りカギムシ広場に戻ると、朝に来た時を上回るげんなりする光景に
遭遇した。俺が成仏させた大カギムシの死骸を、1匹の変な生き物がお食事中だ。
なんかチューチュー吸ってるよ!体長2メートル位、色は灰色だが、毛は生えていない。ヨーロッパのどっかの国にいた皮がだぶついたデカい豚みたいだ。
ただ爪が生えた足が8本もあるよ!皮がだぶついている様にも見えるが、
どう見ても哺乳類には見えない。それに顔が分けわからない。眼があるのか鼻が
あるのかも分からない。ただ口と思われるもので大カギムシの死体を啜っている。
「ロ、ロップ君!あれは何かね?」
ロップが生き物から目を逸らして嫌そうに答えた。
「ボクに分るわけないっすよ。でも魔物っす」
距離を取ってから、ちょっと前世で似たような生物がいなかったか、
思い出してみた。
あ、思い出したぞ。8本の脚!アレは巨大化したクマムシなんじゃないだろうか?
地球では1ミリ以下位の生き物で、確かもの凄い過酷な環境に耐える生物だった
はずだ。乾燥、高温から極低温。それに真空環境から放射線にもミイラみたい
になって耐え抜くらしい。そして水を掛けると元通り、乾物みたいだな。
今回はスルーしよう、動きも遅いし静かにお食事中じゃないか。
それに、カギムシより気色悪い。
「ロップ君、そろそろおうちにかえろうか」
ロップが俺を引き留めた。
「何言ってるんすか!コウエイ様は、最初の頃は、どんな魔物でも倒して、魔石吸収してたっすよ!コウエイ様は吸収を控え始めたのは2度目の進化後っす」
ロップがプルプル震えながら続けた。
「レイ様は甘いっすよ。コウエイ様は魔王の迷宮から吐き出された、もっと気持ち悪い魔物も倒して魔石を吸収してたっすよ!進化すれば、魔力も身体も強くなるし、もっと速く、長く飛べる様になるっす!」
ロップが涙を浮かべながら続けた。
「ボクはもちろん、今はレイ様の相談役っすよ。でもコウエイ様の仲間だったみんなにも、また会いたいっす。ガルゼさんやガラムドさんは高齢っす。生きているうちにまた会いたいんすよ。この島にずっといるのかどうかは、レイ様が決める事っすけど星母神様もそれは望んでいないっす。ボクは早くレイ様に強くなってもらって、この島から出る気概を持って欲しいっす!」
俺はロップを抱きしめて謝った。
「そうか、ごめんなロップ!俺はこの島で生き抜く事だけ考えてた、ごめんな!
俺は星母神様の使徒だもんな、カダス聖教打倒を目指さなきゃな!
ロップの昔の仲間への想いも受け取った!これからはガンガン魔物を倒して、
ギュンギュン魔石を吸ってやんよ!そして、必ず昔の仲間にも会わせてやるよ!
これからも俺がヘタレそうになったら叱咤してくれよ、親友」
俺は新たな決意をした。俺は最近は食い物ばかりを気にしていたが、そういえば、
そんなに食べなくてもいい種族体質だった、ロップもそうだしな。
明日からは魔法修行と魔物狩りもスケジュールに入れよう。ただ海遠征は今後も
続ける。まあ取り合えずはあの巨大クマムシだが、1点だけ気になっている事が
ある。俺に抱きついて、ぐすぐすしているロップに聞いてみた。
「なあロップ。これからも魔物は倒すし、魔石も吸収するよ。ただ見た目にも影響してくるのか?嫌だぞあんな連中みたいになるのは。見た目が化物になると、
この島を出るのは、やっぱり難しいぞ」
「大丈夫だと思うっすよ。コウエイ様も最初は芋虫の魔物とかの魔石をたくさん吸収してたっす。口から糸を吐くようになったっすけど、見た目は変わらなかったっすよ。キリーネさんがコウエイ様の仲間になったのは、コウエイ様が2回進化して人族の姿になった後っす。コウエイ様が使徒だとバレて、魔石を吸収出来ると分ると、キリーネさんが色々実験を始めたっす。コウエイ様にいろんな魔石を差し出して見た目や能力がどうなるか試そうとしてたっすけど、コウエイ様は大体拒否してたっすね」
....キリーネさんは大分怖い人のようだ。探すのはやめようかな。まあ見た目は変わらないみたいだから、取り合えずあの巨大クマムシを倒そう!
チューチューお食事中の巨大クマムシに対して、いつものパラライズ!
....ちょっとビクッとしたが、こちらに見向きもせずお食事を再開した。パラライズが効かねー!もう一度試したがビクッとするだけで、チューチューを始める。
でもコイツって放っておけば無害な生物なんじゃね?
「なあ、ロップ?魔物って本当に倒さなければならないのか?アイツもそうだけど、お食事中のカギムシやヘッピリムシを俺が虐殺してるだけじゃね?」
ロップが答えた。
「キリーネさんはどんな無害な魔物でも倒すべき、そして魔石は抜いた後にコウエイ様に吸収してもらうか、砕いて埋めるしか無いって言ってたっす。
パイノワールさんも同じ意見で、カダス聖教に魔石を渡すなんてもっての外って言ってたっすね」
やっぱり、早く島を脱出してコウエイ様の仲間達を探そう。魔石が色々この世界の真実に繋がっているようだ。
その後、巨大クマムシに状態異常魔法を次々試したが、全くお食事の邪魔にはならなかった様だ。"痒い痒い"とか、"くすぐり"とか"小指ガツン"まで試した。
途方に暮れて、物凄く嫌だが痰とか屁を試そうと思ったが、まだダークうんちゃらを試していなかったね。結構諦めモードでダークファイアーボルトを打ち込んでみた。
おおっ!暗黒の火矢(笑)が命中すると、巨大クマムシが盛大な黒炎エフェクト
で燃え上がったよ!どうやらコイツは状態異常には滅法強いが、魔法抵抗は激弱
らしい。
その後、黒炎エフェクトが徐々に消えると巨大クマムシが横たわった。南無。
コイツはなんか薄っすら体内が透けているので魔石の場所は見える。
物凄く嫌だったが、剣スコップ君の出番だ!
胸?の辺りに使徒の膂力で剣スコップを突き入れると、でろんちょと、いろんな汁とか気味悪い内臓?とかが流れ出て来た。我慢だ俺!一緒に流れ出て来たのはテニスボール位のデカい魔石だ。剣スコップで魔石を掬って土嚢袋に入れる。
俺はゲテ村やコウエイ様ではないのだ。軍手をしていても触るのは嫌だ。後で川で綺麗に洗ってから吸収してみる。だがこのクマムシの特性が気になる。
もし俺がコイツの特性を取得したら、飯をチューチュー啜るようになるのだろうか?しかし進化するまでの我慢だ!ロップの想いに答えるために、どんな人外になっても頑張ろう。
その後、洞窟に戻った。ダイアボアを解体しなければ!洞窟からタライ、バケツとナイフ類、それにタワシとデッキブラシを持ち出して河原に行く。
取り合えず血抜きを試そう。ロップから説明された基本魔法は、温度変化と気化と乾燥だけだったが、基本魔法は物質に魔力で干渉して状態を変化させる魔法だとすると、
液体を流動させる事も出来るんじゃないだろうか。試しにバケツに汲んだ水にぐるぐる回るイメージで魔力を込めた。おおっ数秒後にバケツの水がぐるぐる渦を巻き始めた。
あと魔法はイメージだって言ってたよな。取り合えずダイアボアの頭を鉈で落とした。もう死んでるんだけど、南無。そして血を手で受けて舐めた。この感じの液体をこの黒猪から抜けばいいんだな。魔力を込めていろいろ試してみた。しばらくすると血が切り落とした首から流れ出してきた。血を排出するイメージでさらに魔力を込める。数分後に血が出なくなった。結構しんどいね。かなり疲れたよ。だが、まだやることがたくさんある。やり方はうろ覚えだが、腹を裂いて内臓を取り出した。やっぱ使徒のパワーは凄いね。レバーとハツは取っておこう。今日の晩飯だ。腸とか腎臓にも興味はあったんだが時間がない。下流の滝から流した。お魚さん達に食べてもらおう。魔石もゲットしたよ、緑色の魔石が心臓の辺りにあった。これを吸収すると、猪突猛進の特性とかをゲットするのだろうか?ちょっと不安だ。次は毛皮だ。
ゲテ村の実家で猪を解体した時は、皮剥ぎとかはしなかった。熱湯を掛けてこすると毛が抜けるらしい。猟友会の皆さんと熱湯を掛けながらゴシゴシこすったな。
皮を剥いでも利用出来ないしな。なめし方法とか知らないし。まずタライに水を汲んで魔法で加熱する。ダイアボアに熱湯を掛けてデッキブラシとタワシでゴシゴシする。ボロボロ毛がこそがれていくね。何度か同じ工程を繰り返すと、きれいな豚さんになった。だがもう疲れたよ。まあ肉は熟成が必要だしな。衣装ケースに放り込んで滝壺に沈めた。今日の晩飯はダイアボアのレバーとハツを行者ニンニクと一緒に炒めてみよう。
ロップに食べるか聞いてみると、魚の方がいいと言うので残りの干物をバケツに入れた。そしてデザートは毒フルーツだ。
明日は下流の方を詳しく調べよう。それでは皆さん頂きま~す。
昨日と同じ装備でロップを肩車して滝を飛び越える。
今日は寝坊したので、探索地域は広げずに昨日と同じルートを辿る。
行者ニンニクの採取は今日は少しにしよう。昨日結構な量を刈ったからな。
取りすぎはいくない。
大カギムシ君と、赤ヘッピリムシ君に出会った場所に来ると、げんなりする光景に遭遇した。俺が昨日倒した赤ヘッピリムシ君達の死骸に5匹の大カギムシ君達が群がってお食事している。君達にはもう会いたくないんだが。
だが魔石を取って早く進化しないと、俺は今の嫌な身体のままだ。
俺の現在の攻撃手段は、
・物理攻撃(剣スコップ、剣鉈)
・生命魔法
・痰吐き
・屁
痰吐きは元々ヤツラの能力だしやめておこう。屁も論外だ。
初対面でいきなり痰を吐いて来たヤツに、俺の生尻を晒すなんて屈辱には耐えられない。物理攻撃も昨日の教訓から控える。近付くと痰を吐かれるからな!
やはり昨日のセオリー通りに、パラライズからのダークなんちゃらで成仏して頂こう。宙に浮かんで、上からパラライズを掛ける。効果バツグンだ。
お食事中のカギムシ君達がビクビクしている。そしてダークなんちゃら!
闇の炎に抱かれて成仏しろ!
しばらくすると黒炎のエフェクトが徐々に小さくなって消えた。成仏された様だ。
南無。昨日と同じように剣スコップで魔石をほじくった。結構慣れたね。
だがコイツラを食べる気はないよ。俺はゲテ村でもコウエイ様でもないのだ。
魔石を回収した後、毒フルーツの林に向かった。あれはいいものだ。
毒フルーツの林にたどり着くと、1メートル位の体長の、角が2本生えた黒い猪みたいな生き物が地面に落ちた毒フルーツを食べている。眼が赤く光っているな。
おそらく魔物だろう。ロップに確認してみた。
「ロップ、あれは魔物だよな?」
「そっすね。アレはダイアボアの幼獣っすね。この島にもいるんすね~」
ロップと会話していると、黒猪がこちらを見つめて右前足をガツガツしている。何?うおっ、突っ込んできた!飛ぶのも間に合わない、まだ俺は急には飛べない
んだよ!魔法も同じだ。
剣スコップで引っ叩こうとしたが、間に合わない!咄嗟に左手を突き出して黒猪の頭を押さえようと突き出したらゴキュンと変な音がして黒猪がひっくり返った。
あれ?ご成仏なさってるんですか?俺が首を傾げていると、
「星母神様の使徒の身体能力ならあんなの問題ないっすよ。ダイアボアの成獣は、あれの何倍もデカいっすよ。それでも余裕っす」
なにそれ!凄いね!俺そんなに強いの?実感ないけど。取り合えずこの猪は持ち帰って食べてみようか。獣の初解体に挑戦しよう。面倒くさいんだけどね~。
今は道具が足りないから、魔法の収納袋に収納しよう。血抜きに関しては俺に考えがある。魔法の収納袋に黒猪の死体を入れる前に、ダークなんちゃらを掛けた。
ダニとかいるからな。黒猪の身体で小さい黒い火がポワポワ燃えてる。黒い火が収まってから魔法の収納袋に黒猪を回収した。
その後ワスプの実を土嚢袋3袋分回収した。まだまだワサワサ実ってるからこの位いいよね。しかし魔物には毒とか効かないのかね?
倒したダイアボアも、コレをガツガツ食ってたし。
今日は寝坊したからな、今は正午過ぎだ。そろそろ帰ろう。
今日は昼飯抜きだロップごめんな。
来た道を戻りカギムシ広場に戻ると、朝に来た時を上回るげんなりする光景に
遭遇した。俺が成仏させた大カギムシの死骸を、1匹の変な生き物がお食事中だ。
なんかチューチュー吸ってるよ!体長2メートル位、色は灰色だが、毛は生えていない。ヨーロッパのどっかの国にいた皮がだぶついたデカい豚みたいだ。
ただ爪が生えた足が8本もあるよ!皮がだぶついている様にも見えるが、
どう見ても哺乳類には見えない。それに顔が分けわからない。眼があるのか鼻が
あるのかも分からない。ただ口と思われるもので大カギムシの死体を啜っている。
「ロ、ロップ君!あれは何かね?」
ロップが生き物から目を逸らして嫌そうに答えた。
「ボクに分るわけないっすよ。でも魔物っす」
距離を取ってから、ちょっと前世で似たような生物がいなかったか、
思い出してみた。
あ、思い出したぞ。8本の脚!アレは巨大化したクマムシなんじゃないだろうか?
地球では1ミリ以下位の生き物で、確かもの凄い過酷な環境に耐える生物だった
はずだ。乾燥、高温から極低温。それに真空環境から放射線にもミイラみたい
になって耐え抜くらしい。そして水を掛けると元通り、乾物みたいだな。
今回はスルーしよう、動きも遅いし静かにお食事中じゃないか。
それに、カギムシより気色悪い。
「ロップ君、そろそろおうちにかえろうか」
ロップが俺を引き留めた。
「何言ってるんすか!コウエイ様は、最初の頃は、どんな魔物でも倒して、魔石吸収してたっすよ!コウエイ様は吸収を控え始めたのは2度目の進化後っす」
ロップがプルプル震えながら続けた。
「レイ様は甘いっすよ。コウエイ様は魔王の迷宮から吐き出された、もっと気持ち悪い魔物も倒して魔石を吸収してたっすよ!進化すれば、魔力も身体も強くなるし、もっと速く、長く飛べる様になるっす!」
ロップが涙を浮かべながら続けた。
「ボクはもちろん、今はレイ様の相談役っすよ。でもコウエイ様の仲間だったみんなにも、また会いたいっす。ガルゼさんやガラムドさんは高齢っす。生きているうちにまた会いたいんすよ。この島にずっといるのかどうかは、レイ様が決める事っすけど星母神様もそれは望んでいないっす。ボクは早くレイ様に強くなってもらって、この島から出る気概を持って欲しいっす!」
俺はロップを抱きしめて謝った。
「そうか、ごめんなロップ!俺はこの島で生き抜く事だけ考えてた、ごめんな!
俺は星母神様の使徒だもんな、カダス聖教打倒を目指さなきゃな!
ロップの昔の仲間への想いも受け取った!これからはガンガン魔物を倒して、
ギュンギュン魔石を吸ってやんよ!そして、必ず昔の仲間にも会わせてやるよ!
これからも俺がヘタレそうになったら叱咤してくれよ、親友」
俺は新たな決意をした。俺は最近は食い物ばかりを気にしていたが、そういえば、
そんなに食べなくてもいい種族体質だった、ロップもそうだしな。
明日からは魔法修行と魔物狩りもスケジュールに入れよう。ただ海遠征は今後も
続ける。まあ取り合えずはあの巨大クマムシだが、1点だけ気になっている事が
ある。俺に抱きついて、ぐすぐすしているロップに聞いてみた。
「なあロップ。これからも魔物は倒すし、魔石も吸収するよ。ただ見た目にも影響してくるのか?嫌だぞあんな連中みたいになるのは。見た目が化物になると、
この島を出るのは、やっぱり難しいぞ」
「大丈夫だと思うっすよ。コウエイ様も最初は芋虫の魔物とかの魔石をたくさん吸収してたっす。口から糸を吐くようになったっすけど、見た目は変わらなかったっすよ。キリーネさんがコウエイ様の仲間になったのは、コウエイ様が2回進化して人族の姿になった後っす。コウエイ様が使徒だとバレて、魔石を吸収出来ると分ると、キリーネさんが色々実験を始めたっす。コウエイ様にいろんな魔石を差し出して見た目や能力がどうなるか試そうとしてたっすけど、コウエイ様は大体拒否してたっすね」
....キリーネさんは大分怖い人のようだ。探すのはやめようかな。まあ見た目は変わらないみたいだから、取り合えずあの巨大クマムシを倒そう!
チューチューお食事中の巨大クマムシに対して、いつものパラライズ!
....ちょっとビクッとしたが、こちらに見向きもせずお食事を再開した。パラライズが効かねー!もう一度試したがビクッとするだけで、チューチューを始める。
でもコイツって放っておけば無害な生物なんじゃね?
「なあ、ロップ?魔物って本当に倒さなければならないのか?アイツもそうだけど、お食事中のカギムシやヘッピリムシを俺が虐殺してるだけじゃね?」
ロップが答えた。
「キリーネさんはどんな無害な魔物でも倒すべき、そして魔石は抜いた後にコウエイ様に吸収してもらうか、砕いて埋めるしか無いって言ってたっす。
パイノワールさんも同じ意見で、カダス聖教に魔石を渡すなんてもっての外って言ってたっすね」
やっぱり、早く島を脱出してコウエイ様の仲間達を探そう。魔石が色々この世界の真実に繋がっているようだ。
その後、巨大クマムシに状態異常魔法を次々試したが、全くお食事の邪魔にはならなかった様だ。"痒い痒い"とか、"くすぐり"とか"小指ガツン"まで試した。
途方に暮れて、物凄く嫌だが痰とか屁を試そうと思ったが、まだダークうんちゃらを試していなかったね。結構諦めモードでダークファイアーボルトを打ち込んでみた。
おおっ!暗黒の火矢(笑)が命中すると、巨大クマムシが盛大な黒炎エフェクト
で燃え上がったよ!どうやらコイツは状態異常には滅法強いが、魔法抵抗は激弱
らしい。
その後、黒炎エフェクトが徐々に消えると巨大クマムシが横たわった。南無。
コイツはなんか薄っすら体内が透けているので魔石の場所は見える。
物凄く嫌だったが、剣スコップ君の出番だ!
胸?の辺りに使徒の膂力で剣スコップを突き入れると、でろんちょと、いろんな汁とか気味悪い内臓?とかが流れ出て来た。我慢だ俺!一緒に流れ出て来たのはテニスボール位のデカい魔石だ。剣スコップで魔石を掬って土嚢袋に入れる。
俺はゲテ村やコウエイ様ではないのだ。軍手をしていても触るのは嫌だ。後で川で綺麗に洗ってから吸収してみる。だがこのクマムシの特性が気になる。
もし俺がコイツの特性を取得したら、飯をチューチュー啜るようになるのだろうか?しかし進化するまでの我慢だ!ロップの想いに答えるために、どんな人外になっても頑張ろう。
その後、洞窟に戻った。ダイアボアを解体しなければ!洞窟からタライ、バケツとナイフ類、それにタワシとデッキブラシを持ち出して河原に行く。
取り合えず血抜きを試そう。ロップから説明された基本魔法は、温度変化と気化と乾燥だけだったが、基本魔法は物質に魔力で干渉して状態を変化させる魔法だとすると、
液体を流動させる事も出来るんじゃないだろうか。試しにバケツに汲んだ水にぐるぐる回るイメージで魔力を込めた。おおっ数秒後にバケツの水がぐるぐる渦を巻き始めた。
あと魔法はイメージだって言ってたよな。取り合えずダイアボアの頭を鉈で落とした。もう死んでるんだけど、南無。そして血を手で受けて舐めた。この感じの液体をこの黒猪から抜けばいいんだな。魔力を込めていろいろ試してみた。しばらくすると血が切り落とした首から流れ出してきた。血を排出するイメージでさらに魔力を込める。数分後に血が出なくなった。結構しんどいね。かなり疲れたよ。だが、まだやることがたくさんある。やり方はうろ覚えだが、腹を裂いて内臓を取り出した。やっぱ使徒のパワーは凄いね。レバーとハツは取っておこう。今日の晩飯だ。腸とか腎臓にも興味はあったんだが時間がない。下流の滝から流した。お魚さん達に食べてもらおう。魔石もゲットしたよ、緑色の魔石が心臓の辺りにあった。これを吸収すると、猪突猛進の特性とかをゲットするのだろうか?ちょっと不安だ。次は毛皮だ。
ゲテ村の実家で猪を解体した時は、皮剥ぎとかはしなかった。熱湯を掛けてこすると毛が抜けるらしい。猟友会の皆さんと熱湯を掛けながらゴシゴシこすったな。
皮を剥いでも利用出来ないしな。なめし方法とか知らないし。まずタライに水を汲んで魔法で加熱する。ダイアボアに熱湯を掛けてデッキブラシとタワシでゴシゴシする。ボロボロ毛がこそがれていくね。何度か同じ工程を繰り返すと、きれいな豚さんになった。だがもう疲れたよ。まあ肉は熟成が必要だしな。衣装ケースに放り込んで滝壺に沈めた。今日の晩飯はダイアボアのレバーとハツを行者ニンニクと一緒に炒めてみよう。
ロップに食べるか聞いてみると、魚の方がいいと言うので残りの干物をバケツに入れた。そしてデザートは毒フルーツだ。
明日は下流の方を詳しく調べよう。それでは皆さん頂きま~す。
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五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
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もはや文字ですら無かった
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本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
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