あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ？

序章

女神の憂鬱

ここは異世界ドルイアである。

今この世界の人々は魔王ゼルゴンの脅威に晒されていた。

ここはガランという名前の要塞都市であった。

ガランの町の周囲は高い壁が築かれており、高い防御力を有する都市であった。

この要塞都市ガランには、周辺地域から魔王軍から逃げてきた人々が避難してきていた。

魔王軍討伐の為に各地から集められた精鋭達からなるトゥナス騎士団が編成されていた。

トゥナス騎士団は数週間前に、魔王軍討伐のためにこの要塞都市ガランから出発していった。

だがすぐに魔王軍の激しい攻撃を受けて壊滅してしまった。

魔王軍はトゥナス騎士団を潰した後、要塞都市ガランへの侵攻を開始した。

すぐに魔王ゼルゴン配下の魔物達が要塞都市ガランを包囲し攻め始めた。

魔王軍の攻撃は激しくガランの陥落は時間の問題となっていた。

正門前を守備している隊長が皆に言った。

「魔物共を中に入れるな！何としてもここで踏み止まれ！！」

要塞の兵士達は必死に魔物達の攻勢を凌いでいたが、また一人また一人とやられていった。

そして魔物達の激しい攻勢によって、ついに正門の守りが破られてしまった。

無数の魔物達が正門から要塞都市ガランの市街地になだれこんだ。

人々は成すすべが無く町の至るところで殺戮が繰り広げられ、さながら地獄絵図であった。

紫色の大きなミノタウロスがこの魔物達を指揮していた。

「さあ魔王ゼルゴン様にこの町を献上する。汚い人間共は一人残らず始末しろ！！」

魔物達が一斉に雄叫びをあげた。

「シャッー！」

こうして要塞都市ガランは魔王軍の手に落ちた。

ここは異世界の管理を司るダギルス天廊(てんろう)という場所である。

ダギルス天廊の中央部にある大きな中央広場で一人の女神が天写鏡(てんしゃきょう)(神が下界を見る道具)を使いこの様子を見ていた。

その女神は白髪のロングヘアーでスタイルも良かった。

その女神はセルティアという名前で異世界ドルイアを司る女神であった。

魔王軍を想像を絶する攻勢を苦々しく見ていた。

「魔王ゼルゴンめ、想像以上にやっかいね。トゥナス騎士団をあっさり潰した上に、逆攻勢をかけて要衝のガランまで奪取してくるとはね。」

女神セルティアは頭を抱えて悩んでいた。

「あー、もう！！あれだけ苦労してトゥナス騎士団を編成したのに！！また地球から勇者を召喚するべきかしら？でも不発で神通力を空になったら嫌だし。」

すると中央広場の天井の方から一人の女神がゆっくりと宙を降りてきた。

「セルティア様大変です。」

その女神は黒髪のショートヘアで小柄な女神だった。

「一体何の用？ローザ？こっちはたてこんでるんだけど？」

すると女神ローザは女神セルティアに言った。

「大託宣(だいたくせん)です。大託宣を賜りました。」


すると女神セルティアが女神ローザに尋ねた。

「大託宣ですって？！！本当に？」

女神ローザが女神セルテアに答えた。

「はい、本当です。」

大託宣とは神々が使っている予言書の事である。

女神セルテアが女神ローザに尋ねた。

「それで？大託宣はどんな内容なの？」

ローザがセルティアに言った。

「地球から勇者達が召喚される事。そしてその者達がセルティア様が司っている異世界ドルイアを救うとありました。」

セルティアがローザに言った。

「やったわ！！これで魔王ゼルゴンを倒せる！！」