(完結)私は一切悪くないけど、婚約破棄を受け入れます。もうあなたとは一緒に歩んでいけないと分かりましたから。

しまうま弁当

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「親父??なんでもう戻ってきたんだ。3か月は帰ってこないって言ってたじゃないか?」

そうロベルトが言っていた策というのは、外交交渉で外国に出かけている国王様に今の窮状を伝えることでした。

国王様は外国にてリスタール帝国との協定を結ぶための交渉を行っていて、国内にはいらっしゃらなかったのです。

ロベルトの読み通り国王様は急いで戻ってきてくれました。

国王様がゼスタに言いました。

「ロベルト殿から知らせを受けたのだ。お前が好き放題暴れていると聞いたからな。」

ロベルトが国王様に言いました。

「国王様、無理を言ってしまい申し訳ありません。」

国王様がロベルトに言いました。

「ロベルト殿、そのような事を気にするな。知らせをくれた事を感謝する事はあっても咎めるような事は絶対にせぬ。」

そして国王様が言いました。

「まずは触れを出しておいた方が良さそうだな。ゼスタがこれまでに出したすべての命令を無効とする。そして衛兵達よ。直ちにゼスタとリアナの二人を捕らえるのだ。」

すぐにゼスタとリアナの二人は衛兵に取り押さえられて手錠がかけられたのだった。

国王様がロベルトに言いました。

「ロベルト殿!!溺れた人々の救助活動や混乱した海上交通網の回復など何から何まで本当に世話になった。国王としてお礼申し上げる。」

ロベルトが国王様に言いました。

「あいえ、それに関しては気になさらないでください。当然の事をしたまでです。ただ一つそれとは別に国王様にお願いしたい事がございます。」

国王様がロベルトに尋ねました。

「何なりと言うてみよ。」

するとロベルトはこう国王様に言ってくれました。

「このゼスタとリアナがルーテシアに婚約破棄を働いた事を厳しく問い質して頂きたいのです。」

私は慌ててロベルトに言いました。

「ロベルト??私は別に。」

ロベルトはこう私に言ってくれました。

「ルーテシア。俺は君が誰よりも大切だ。だから君を困らせた連中が何の処罰も受けないのは絶対に我慢できないんだ。」

私はこれを聞いて恥ずかしくなりました。

私の頬は赤くなっていると思います。

国王様がロベルトに言いました。

「ロベルト殿の言う事は最もだ。ルーテシア殿に無礼千万を働いたゼスタとリアナにはちゃんと問い質すとしよう。しかしロベルト殿??そちはルーテシア殿とは親しい間柄だったのか?」

ロベルトは国王様に言いました。

「はい、俺はルーテシアを愛しています。さきほどルーテシアに告白をしたところです。」

私はまた恥ずかしくなりました。

国王様がロベルトに言いました。

「そうだったのか、それはすまぬ事をした。それを知っておれば愚息との婚約など結ばせなかったのだが。」

ロベルトが国王様に言いました。

「俺の事は別に構いません。それよりもルーテシアに。」

国王様が私に言いました。

「そうだな。ルーテシア殿、此度は誠にすまなかった。わが愚息が婚約破棄などをしてしまい、本当に申し訳ない。」

国王様はそういうと私に深く頭を下げてくれました。

するとルーカスさんが私に言いました。

「ルーテシア様、何のお役にも立てずに申し訳ございません。」

私はルーカスさんに言いました。

「あっいえ、気になさらないでください。」

国王様はルーカスさんにこう尋ねました。

「ルーカス??なぜこのゼスタを止めなかったのだ。お前らしくもない。」

ルーカスさんが国王様に言いました。

「それは国王様がゼスタ様にこのスバルト王国の全権(ぜんけん)委任状(いにんじょう)を出されていたからです。」

国王様は何の事か分からないようでした。

「委任状??なんの事だ?そんなもの余は出しておらんぞ。」

ルーカスさんが国王様に言いました。

「ですが、ゼスタ様が国王様から出して頂いたと。」

すると国王様は納得した様子でこうルーカスさんに言いました。

「なるほど、ゼスタがみなにいう事を聞かせるために、偽の書状をこしらえたようだな。」

ルーカスさんが驚いて聞き返しました。

「なんと?それでは。」

国王様がルーカスさんに言われました。

「うむ、その委任状は真っ赤な偽物よ。」

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