カラフル*レイヴン♪~アホの相手は面倒ですね~

月白ヤトヒコ

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赤い瞳の姫君

もうお前料理作るなー。

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「いつもこれくらいすんなり起きて頂ければ、これ程に疑わなくて済んだのですけれどね?」
「あははっ、無理! だってー、いっつも携帯食料ばっかで味気ないしー? ご飯食べる楽しみが無い!」

 笑顔でキッパリと言うフィンに、

「マスター。携帯食料だけでも、あるだけマシでしょうに?」

 呆れ顔で返すヴァン。

「それはそうなんだけどー」

 フィンは口を尖らせる。

「そんなに食べるのが楽しみなら、ご自分で調理でもされたら如何ですか?」

 ヴァンは料理ができない……ということもない。が、肉、魚、卵を一切使わない料理はおよそ限られて来る。つまり、彼女が作る料理は野菜のみ。
 野菜オンリー、ビバ☆ベジタブル!
 フィンには、「もうお前料理作るなー」と言われるくらいには絶不評だ。

 ただ単に、一日三食毎日そこらに生えている野草(別名雑草という)で、サラダを作っていただけなのに・・・一応、塩コショウやドレッシングで味付けもして、水とパンも添えていたというのに。
 更には、雑草のソテー。雑草のスープ。雑草のリゾット。雑草のパスタなどなど・・・飽きないようにレパートリーもちゃんと増やした。
 だというのに、マスターがなぜ不満に思うのか、ヴァンには本気で判らない。

「それはヤだ。ボク、料理は誰かに作ってもらいたい派なんだよねー」
「料理なんて、食べたい方が食べたい物を、食べたいだけ作ればいいのですよ」
「お前なー、そんなんだからあんな悲惨な料理が出せるんだよー」
「失礼な」
「大体さー、ボクはうさぎじゃないの。毎日毎日、一日三食雑草ばっかり食べさせられてみてよー? あれを悲惨と言わず、なにを悲惨と言う? って気分になるからさー」
「我が儘ですね」
「大体さー、ヴァン。君の理論で言うと、料理屋さんとかレストランとか、全く成り立たないよー?」
「一般家庭は、大体が自炊ですよ?」
「家庭を持たない寂しい奴だっているってー」
「自炊すれば食費が浮きます。浮いたお金を、結婚資金に当てればいいのですよ」
「・・・よ、世の中、そう正論ばかりが通ると思うなー」
「それもそうですね。現に今、マスターの逆ギレされていますし」
「そうだそうだー」
「・・・もういいです。さっさと行きましょう。朝食が待っていますよ」

 思わず溜息が出るヴァン。

「! そうだよねっ!? 早く行かないと、無くなっちゃうもんねっ!?」

 そんなワケはない。仮にもフィンとヴァンの二人は客だ。泊まった客に朝食を出さないなんて、そんなことがある筈が無い。あるとしたら、余程嫌われているか、自分で朝食を断った場合。もしくは、捕らえられた場合だろうか?
 まあ、私達は罪人ではないし、昨日の城主…サファイアの様子からも、嫌われているという感触は無かった。なので、朝食の心配は要らないと思うが・・・
 と、ヴァンは能天気に食事の心配をする主を、冷めた目で見下ろした。
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