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さて、これからどうするか? が、当面の問題だ。
しおりを挟むそう、例えば……複合毒など。
複数種類の毒を混ぜ、解毒や治療が困難な毒を作り上げて暗殺に使用すると、毒殺の確率は格段に上がる。複合毒であれば、とある毒には解毒作用のある薬が別の毒には効かない。または、別の毒の毒性を高めてしまう……などなど、薬や毒自体の効果を高めたり、打ち消し合ったりと、複雑な効果や様々な副作用が出たりする。それに加え、性別や体重、個人の体質などによっては使用できない薬なども存在し、解毒剤の調合自体が困難になる。
基本的には治癒魔術師の腕によるが、おおよその毒に効果があるのが解毒魔術だ。しかし、中には魔術を掛けることで……というよりも、魔力に反応して毒性が増すというかなりマイナーな毒だって存在している。その毒は治癒魔術師にはお手上げ。下手に解毒や治癒の魔術を掛けると患者の寿命を縮めてしまう。無論、複合毒に組み込むことを真っ先に決めた、希少でお高く、非常にヤバい毒だ。
故に、毒を食らってしまった場合は、治癒魔術を掛けるよりも先にまずは解毒をするのがセオリーとなっている。治癒で代謝を上げたり血流を上昇させると、その分毒が早く回っちゃうからね。偶~に、そのことを知らないで毒を悪化させ、治療を失敗するというマヌケな話も聞かれるが。
そして、解毒や治癒が魔術が掛けられない毒の場合、医学的……物理的に解毒剤を作らなくてはいけない。が、その解毒剤の作成を困難にするのが、複数種類の毒を混ぜた複合毒という存在。
複合毒の解析をして解毒するのが先か、危険を承知で解毒魔術を使用して他の毒を弱めるか……という、命懸けの選択を迫られることになる。
これは、暗殺者として教育された『わたし』の知識。
というワケで、オリジナルな複合毒を作成してみよー!
まずは、起きられると困るのでオッサン共に睡眠薬を打って昏睡させる。多少多めに打っとくか。死なれるのは困るが、コイツらに後遺症が残っても全く構わん。
軽~く部屋を物色して・・・発見した例の、解毒魔術で毒性の強くなる希少な毒物を使い、調合を開始。
意識の混濁、衰弱、身体機能の低下、循環器系へのダメージ、麻痺、永続的な倦怠感、緩やかな内臓の壊死……などなど、パパっと解毒困難且つ、実にえっぐい効果の複合毒を作り上げた。
うむ。我ながら、普通に解毒とか無理な気がする。覚醒してガンガンレベル上げた聖女なら辛うじてイケるかも? という感じのガチやべぇ毒だ。まぁ、現時点ではヒロインは聖女に覚醒していないので、これを解毒できる人がいる可能性は、ほぼ皆無と断じていいだろう。
オマケとして、複合毒と共に魔力低下、体力低下、衰弱、意識混濁、混乱の呪いをオッサン共の身体へ刻み込む。闇組織のトップとナンバー2だ。結構頑丈な筈。これくらい徹底的にやっても、しばらくは死なないだろう。
むしろ、長く苦しめばいい・・・
なんて思いながら、手に付いたオッサン共の血を拭う。なんだか、ノリノリでえぐいことをしてしまったなぁ。もしかしたら、『わたし』が殺されてしまったことに、そして彼女……ノインを殺され掛けたことに、わたしは激怒しているのかもしれない。
さて、これからどうするか? が、当面の問題だ。組織のトップとナンバー2にここまでのことをしたのだ。まずは、安全なとこに逃げないとね~?
でも、その前に・・・
応援ありがとうございます!
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