1 / 14
それはそれは残念なシナリオだった。主人公たるヒロインが・・・
しおりを挟むどうやら『わたし』は、暗殺者候補生Aのようだ。
暗殺者候補生最後の仕上げとして、精神がクラッシュして感情が消え失せ、命令に忠実で従順になるという、危険極まりない薬を飲まされ……いや、そもそも飲まないという選択肢自体が無かったので、『自ら』飲んだのだったが。
すると、薬の効果は抜群で見事に精神がクラッシュしたようだ。それはもう、再起不能な感じに・・・と、同時に、自我が壊れたショックでなのか、おそらくは前世の記憶とやらの類を一部思い出したようだ。
ある意味、テンプレだな。
まぁ、状況はかなりアレなんだが――――
ヤバい薬での影響か、身体が動かない。目も耳も一応機能して、こうして思考はできているのだが・・・困ったな? 『この身体』は大丈夫なのだろうか? ヤバい薬の後遺症などが至極気になるのだが。
ちなみに、暗殺者候補生Bは薬を飲むなりバタン! と受け身も取らずに床に倒れて、身動ぎ一つしない。息をしているのか、不安になる程だ。できれば助けたいが・・・動けない。一応、生きていることを祈ろう。まぁ、生きていたとして、それが『彼女』にとってはいいことなのかの判別は、わたしには付かないが。
「どうだ?」
「どうやら成功したようです」
「では、やはりこの者を学園へ?」
「はい。預言の聖女を探し出させ……そして、適うならばその聖女を御す為の手駒とします」
「御せない場合、聖女はどうする?」
「消せばいいでしょう。おそらくは数年もすれば、新しい聖女が生まれるかと」
予言の聖女、学園、聖女を御す手駒、聖女を消す……? そして、『わたし』は暗殺者で……?
なんかこう、どこかで……って、もしかしてっ!?
暗殺者の養成……いや、以前の『わたし』を壊した碌でも無い連中の会話と、たった今思い出した断片的な智識によると、どうやらここは乙女ゲームとよく似た世界のようだ。
テンプレだ。しかし――――
チクショーっ!!
アレかっ!? アレなのかっ!?!?
タイトルは思い出せないが、なんかこう……内容がアレだったことは思い出したぜっ!!
ストーリーは好みじゃなかったけど、一応購入したのと、出演声優さん達と絵師さんと隠しキャラがドストライクだったので、ボイスとスチル集めの為、意地で全ルート制覇しましたともっ!!
なんというか、それはそれは残念なシナリオだった。主人公たるヒロインが・・・まぁ、わたしの主観だが。
明るく前向きで、けれど芯が強くて、少しおっちょこちょい。守ってあげたくなるようなタイプ・・・と、登場人物紹介には載っていた。
まぁ、ものは言いよう。というのが、わたしの感想だが。
なんだろうか? 他人の話を聞かず、周囲の迷惑も考えず、猪突猛進でトラブルに突っ込み、または自らトラブルを引き起こして中途半端に手を出し、それが自分の手に負えなくなると、自分を庇護してくれる攻略対象へと守ってもらう……ということを繰り返す、学習しない厄介極まりない女。
それでいて愛されキャラ。という、真顔で「は?」と言いたくなるような・・・全体的に、イラッとするタイプのヒロインだった。まぁ、わたしの主観なのだが。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
31
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる