【完結】婚約者に改めてプロポーズしたら、「生理的に無理です」と泣かれた。俺の方が泣きたい……

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
2 / 5

しおりを挟む


 なにかの間違いだと思いながら、どうか夢であってくれ! と強く願いながら数日が経った。

 そして――――

 彼女の家から、正式に婚約者の交代を申し入れられたと両親に告げられた。

「・・・」

 彼女の言った、「生理的に無理なんです」という言葉はやっぱり夢ではなかったらしい。

 絶望しかない。

「・・・俺は、臭いのだろうか?」
「は?」
「臭いのは口かっ!? それとも腋かっ!? 足なのかっ!? それとも香水のチョイスが悪いのかっ!? 息ができない程キツく香水を匂わせていたりするのかっ!?」

 気付けば俺は、近くにいた侍女に詰め寄ってそう訊いていた。

「い、いえ、そんなことはありません」

 侍女は驚いた顔で否定する。

「じゃあなんなんだっ!? あれか、俺の話し方が威圧的だったりするのかっ!? それともこの顔が悪いのかっ!? 食べ方が汚いのかっ!?」
「い、いえ、わたしにはわかりかねますっ!」
 
 と、侍女は怯えた顔で逃げて行った。

「・・・俺の、なにがいけなかったんだ・・・」

 実はあれか? 今侍女が逃げて行ったように、彼女も俺のことを怖がっていたのだろか? 政略だからと、家の為にと、ずっと俺に我慢していたのか?

 でも、とうとう結婚するとなってやっぱり無理だと、断るならあのタイミングだと思って、『生理的に無理』なのだと打ち明けたのだろうか?

 俺の、なにが生理的に駄目だったのかはわからないまま、時間だけが過ぎて行き――――

 父から、彼女の家から新しい婚約者候補にと釣書が送られて来たとのこと。

 俺は、絶対に嫌だと、ごねにごねた。

 だって、数年間一緒に過ごして、いい感じだと思っていた相手に、「生理的に無理なんです」と涙目で言われて振られた男だ。

 そんな男が、嬉々として新しい婚約者を探せると思うか? そんなの、俺には無理だ。

 せめて、俺の一体なにが『生理的に無理』なのかを知りたい。そうじゃないと、涙目だった彼女みたいに、他の女性も傷付けてしまうことになる。そんなのは怖い。

 俺は今、ハートブレイク……というか、絶賛ハートクラッシュ中だっ!! 粉々なんだよっ……だから、もう少しそっとしておいてほしい。

 それに、あんなことを言われたというのに――――

 俺はまだ……彼女のことが好き、なんだ。

 結婚するなら、彼女がいい。と、そう思って――――

 って、もしかしてこういうところなのかっ!? 俺が彼女に生理的に無理って言われたのはっ!? 俺は気持ち悪い男なのか~~~~っ!!

 と、俺は更にへこんだ。

 ・・・ツラいっ!!!!!!

 こんな気持ちのまま、新しい婚約のことなんか考えられない。

 送られて来た釣書きは見たくないと言ってうだうだと過ごしていた。

 うじうじと、うじうじと過ごして――――

 彼女の家の方から、また連絡があった。

 俺からの返事が遅いのは、新しく選出した婚約者候補が気に入らないからだろうか? というようなことを遠回しで伺うような、催促の手紙。

 それを読んで・・・俺のことを気に入らないのはそっちの方だろっ!! と、思った。

 だから、彼女に会わせてほしいと返事を返した。『一体、俺のなにがいけなかったのかを、どうか直接会って教えてほしい。長年不快な思いをさせてしまっていたのなら、謝りたい。もし、顔も見たくない程に俺のことが嫌いなのだとしたら、この手紙は無視して構わない』と。

 すると、彼女から俺と会ってもいいという返事が返って来た。

 彼女とまた会えることに嬉しく思い、けれど彼女には『生理的に無理なんです』と言われてしまうくらいに嫌われていることを思い出して滅茶苦茶ツラくなる。

 毎日身体を清潔にして(使用人達にはやり過ぎだとドン引きされた)、話し方や自分の癖が他人を不快にさせていないか? と、考えて不安な日々を過ごし――――

 とうとう、彼女と話す日がやって来た。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

【完結】ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件

ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。 スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。 しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。 一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意に気付かない。 「一生側に」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。 これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

退屈扱いされた私が、公爵様の教えで社交界を塗り替えるまで

有賀冬馬
恋愛
「お前は僕の隣に立つには足りない」――そう言い放たれた夜から、私の世界は壊れた。 辺境で侍女として働き始めた私は、公爵の教えで身だしなみも心も整えていく。 公爵は決して甘やかさない。だが、その公正さが私を変える力になった。 元婚約者の偽りは次々に暴かれ、私はもう泣かない。最後に私が選んだのは、自分を守ってくれた静かな人。

婚約者は無神経な転生悪役令嬢に夢中のようです

宝月 蓮
恋愛
乙女ゲームのモブに転生したマーヤ。目の前にいる婚約者はそのゲームの攻略対象だった。しかし婚約者は悪役令嬢に救われたようで、マーヤそっちのけで悪役令嬢に夢中。おまけに攻略対象達に囲まれている悪役令嬢も転生者で、何だか無神経発言ばかりで少しモヤモヤしていしまうマーヤ。そんな中、マーヤはゲームには関係ない隣国の公爵令息と仲良くなり……!? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

処理中です...