662 / 673
569
しおりを挟む「ああ、そうだ。ネイサン。お前、なんか言うことある?」
「? わたし? えっと、なにを?」
「あ? そりゃ勿論、セディックさんに。お前、うちで暫く俺の代わりすんだろ? セディックさんのあのブラコンっ振りが変わってねぇなら、お前が帰らないと心配して、こっち来そうだし」
「ああ、そう言えばそうだね」
セディーなら、本当に来ちゃうかもしれない。
「一応、後で手紙で事情を説明しようとは思ってたけど」
「まぁ、確かに。手紙のが早いだろうけど、どうせ向こう行くんだからな。伝言くらいは伝えてやってもいい」
「ん~……『ロイの心配性度合でわたしの滞在期間が伸びると思うけど、あんまりロイにキツく当たらないであげてね?』って感じかな」
「お前……それを俺の口から言わせるとか、マジでイイ性格してるよな」
「ふふっ、言い難いなら、エリオットから伝えてもらうといいんじゃない?」
じとっとした視線に、ニヤリと返す。
「任せてください!」
エリオットがふふんと胸を張ると、
「やっぱり、お二人共いらしていたんですのね」
クスクスと笑うレイラさんが宿から出て来た。
「レイラお姉様! お元気ですか?」
「ふふっ、一日二日で体調はそうそう変わりませんわ。でも、ご心配ありがとうございます」
「そうなんですか?」
「ええ。ネイサン様」
「はい」
「暫くご迷惑をお掛けしますが、ロイ様の代わりを宜しくお願い致します」
「ええ。お任せください」
「セディック様とケイト様の方には、わたくしの方からも事情を説明致しますのでご安心を」
「はい。お願いします」
「それと、あちらのカフェはケーキが美味しかったですわ。スピカ様と食べて行かれては如何でしょうか?」
「ふふっ、ありがとうございます」
「では、行きますわよ。ロイ様、エリオット」
「ハッ! い、行ってらっしゃいレイラお姉様!」
「ええ、行って来ますわ」
と、レイラさん一行が馬車に乗って次の町へ向った。
「それじゃあ、スピカ。レイラさんお勧めのケーキ、食べに行こうか?」
「はい!」
レイラさんお勧めのカフェで軽食やケーキを数種類頼んで二人でシェアして食べて、ゆっくりと町を散策。
最初は乗馬服姿なのを気にしていたスピカだけど、途中からは気にしないで手を繋いで歩いた。
雑貨屋さんを見て回ったり、小物やアクセサリーを買ったりして・・・
なんか、普通のデートっぽいことをしている! と、ちょっと感激してしまったのは内緒だ。
いつもは誰かしらが側にいて、グループデートみたいな感じで。二人だけで出掛けるなんてことはなかったからなぁ。セディーやケイトさん、レイラさんがいると、みんなスピカを可愛がっているから、わたしがなにかを買ってあげるより前に、誰かがなにかしらをスピカに買ってあげていたし。
日が傾いて来る前に、
「それじゃあ、そろそろ帰ろうか?」
切り上げようと告げると、
「……もう、帰っちゃうんですか? せっかく、ねえ様と二人きりなのに……」
名残惜しそうな表情をするスピカが可愛い♪
「ロイが帰って来る前に、また二人でデートしようね?」
「はい!」
と、約束をしてクロシェン家に帰った。
。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・✽
宣伝です。(*>∀<*)
4話完結の短篇、『淘汰案件。~薬屋さんは、冤罪だけど真っ黒です~』を投稿しました。
冒険者が酒場死亡。その原因は、アルコールと飲み合わせの悪い粗悪なポーションだった。
その粗悪なポーションを製作したとある薬屋が容疑者として挙がったので、任意で事情聴取をすると、薬屋は嬉しそうに笑いながら冤罪だと主張した。
という内容のブラックな話です。
興味のある方、読んでやってもいいよ。という方は、月白ヤトヒコのリンクから飛べるので、覗いてやってください。(*´∇`*)
11
お気に入りに追加
745
あなたにおすすめの小説
母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる