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 二人が帰ってから、

「兄様、レイラ様とのお見合い、どうするんですか?」

 真剣な色のコバルトブルーがじっとロイを見据える。

「どう、って言われてもなぁ……」

 少し困ったような返事に、

「わかっているんですか? 兄様は、レイラ様にお断りされたら、他にお見合いお相手がいないんですよ?」

 キリっとした顔で言い募るスピカ。

「っ……」
「あら、それがそうでもないのよ? スピカ」

 と、割り込んだのはミモザさんの声。

「え? 母上?」
「実はね、ここ数日の間にロイへのお見合いが幾つか申し込まれていて。どうしようかをロイに聞こうかと思って」
「ええっ!? あんなにシスコンは嫌だと避けられていた兄様が、今になってっ!? なんでっ!? どうしてですかっ!?」
「お前なぁ……」
「ちなみに、是非ともネイサン君かセディック君に同席して頂きたいそうよ?」

 にこりと、なんだか爆弾を放り込むミモザさん。

「いや、母上? それ、明らかにネイサンとセディックさん狙いの女だよな?」

 ロイは呆れた声で嫌そうに顔をしかめる。

「あら、ロイもやっぱりそう思う?」
「ええっ!? 兄様じゃなくてねえ様とセディックお兄様狙いっ!? そ、そんなの絶対駄目ですっ!? 今すぐキッパリお断りしてください母様!」
「でも、一応ロイへのお見合い申し込みだから。どうするの? ロイ」
「母様っ!? 兄様も、断ってくださいお願いしますっ!?」
「はぁ……断ってください」
「わかったわ。それじゃあ、ネイサン君とセディック君やネヴィラ様の同席を望むお見合いはお断りしておきますね」
「お願いします」

 ミモザさんが返事を書くと言って出て行くと、はぁ~と深い溜め息が落ちる。

「いいの? 僕としては、ネイト狙いの女性は断固拒否だけど。条件次第では、普通の縁談に持ち込めたと思うよ?」
「ああ、いいんですよ。だって、ネイサンやセディックさん狙いの女とか嫌でしょ。本人は勿論。俺もスピカも、そういう女とは仲良くできそうにありませんから」
「確かに。まぁ、普通に嫌だよねぇ。セディーとわたしに婚約者がいるって知らなかったのかな?」

 知っていて敢えてそういうことを言って来るとしたら、どういう真剣しているのかって話だけど。

「こ、婚約者っ……ハッ! け、ケイト様! ケイト様は嫌な気持ちになりませんでしたかっ?」
「ええ、大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます。セディック様が、ネイサン様を利用されることを許す筈がありませんもの。ですよね? セディック様」
「ええ、勿論ですよ。ケイトさん」

 にこりと答えるケイトさんとセディーだけど、目の奥が全く笑っていないような気が・・・

「それで、ロイはどうするの?」
「あ? なにが?」
「レイラ嬢のこと。多分、レイラ嬢的には本当にどっちでもいいんだと思う。この縁談は、ターシャおば……前公爵夫人のアナスタシア様の進めた縁談だし。言ってたでしょ? ロイの好きなようにしていいって」
「それは・・・」
「う~ん……まぁ、そう急いで答えを出さなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「何度か交流してから返事をする、っていう手もあるし。ただ、この縁談をお断りをするなら……僕達はかく、ロイ君はレイラさんとはもう会えなくなっちゃうけどね」
「……そう、ですね」

 と、ロイがどうしたいのかは不明なままで――――

 明日、ロイとレイラ嬢のお見合いをすることになった。

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰

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