虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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番外。俺はシスコンじゃねぇ! 11

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 ミリアリア嬢が戻って来て、ミリアリア嬢を応援すると決めたスピカは、なにやら変なことを始めたようで――――

「むぅ……兄様はシスコンじゃないって言ってるのに、なんでわたしが『ブラコンなのね』って言われるの? 納得がいかない……」
「ふふっ、お二人は仲が宜しいですからね」
「ええ~……ミリア様が知らないだけで、兄様はわたしにイジワルなんですよっ?」
「ほほぅ……なんっか最近、また変なことを言われると思ったら、お前のせいだったか、スピカ」

 昼ごはんを食べている亜麻色の頭にぽんと手を置くと、

「ぅええっ!? に、兄様っ!?」

 ビクっとその肩が跳ね上がった。

「こんにちは、お兄様、ロイ様」
「うん。ミリィは今日も元気そうでなによりだね」
「はい、ありがとうございます」

 にこにこと挨拶を交わすスタンとミリアリア嬢。

「ちょっ、兄様っ? わたしのせいってなんですかっ!?」
「それはだなぁ・・・」
「ふふっ、スピカさんが、『兄様はシスコンじゃない』って主張したことで、ロイは『シスコンなのに妹さんに嫌われて可哀想に』って思われているみたいですよ」

 にこにこと楽しそうにスタンが話す。

「ええっ!?」
「なぁ、スピカぁ……なんで、俺が、そんなことを言われなきゃいけねーんだ?」
「やっ、違っ、わたし、そんなつもりなくてっ!」
「ったく、もういい。お前はもう、余計なことすんな」
「ぅ~……ごめんなさい、兄様」

 しょんぼりする頭をわしゃわしゃと掻き混ぜ、

「ええっ!? 謝ったのに頭ぐしゃぐしゃにするの~っ!?」

 騒ぐスピカの頭を放す。

 そんなことがあって――――

 高等部の経営科も卒業し、これから本格的に父上の下に付いて領地経営に携わることになる。

 俺が卒業して、来年度からはスピカが一人で中等部三年に通うことになる。

 父上は、今から心配している。スピカに悪い虫が付かないか、と。

 ぶっちゃけ、普通の顔のスピカにがっかりしている子息は多かったから、そんな心配もあんまりする必要はないと思うんだけどな?

 そして、やっぱり婚約者はできていない。

 爵位持ちの嫡男的にどうなんだ?

 と、若干へこんでいる。

 まぁ、焦って変な女掴むよりはいいと思うけどさ。

 シスコンって、そんな事故物件なのか? つか、俺は自分でシスコンだとは思ってねーのに・・・

 なんて思いながら一年が過ぎ――――

 スピカの十五歳の誕生日。誕生日パーティーがてら、婚約のお披露目をすると父上が言って、ネイサンを招待することにしたという。

 ネイサンと会えるって聞かされたのに、スピカはなぜかぐぬぬと唸っていた。

 どうやら、まだ拗ねているらしい。

 やっぱあれか? なにも言わないでいきなりいなくなったことをずっと根に持ってんのか?

 そして、スピカを喜ばせるつもりだった父上は、いつもよりも塩対応で睨み付けられてめっちゃへこんでいた。

「ふふっ、スピカもお年頃なのね」

 と、母上は言っていた。

 女の子のお年頃というのは、わからん。

「……ああ、そうだ。ロイ、お前のお見合いも近々する予定だからな。相手のお嬢さんに失礼のないようにしなさい」

 元気をなくした父上についでのように言われて、ちょっと驚いた。

  もっと詳しく話を聞きたかったが、父上はスピカの塩対応で元気がない。

「決まったら話すから……」

 と、言われてしまった。

 シスコンは嫌だと同年代のお嬢さん達から嫌がられていた俺にも、とうとうお見合い相手がっ!?

 相手が変な女じゃなくて……顔はそんな美人じゃなくても、性格が良くて優しい子だといいなぁ。


✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰


 次からネイサン視点に戻る予定です。(*>∀<*)

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