虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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番外。俺はシスコンじゃねぇ! 5

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 俺はスピカにおねだりされても、お揃いのリボンなんざ絶対に着けねぇし、好物をくれと言われても……まぁ、どうしても! ってなら、ちょっぴりなら分けてやってもいいけど。

 一応面倒は見てやるが、俺はスピカを甘やかしたりもしない。

 偶に『コイツ可愛くない』とか思ったりもするし……特に、泣き過ぎた後の顔とか、普通にブスだと思うし。まぁ、ブスなのはちょっと可哀想だから、顔が腫れないよう気を付けろとかは言ってやるけど。

「兄さまヒドい! 兄さまのイジワル!」

 なんて、しょっちゅうスピカに言われてるし。

 こんな俺がシスコン呼ばわりされるのはおかしいだろ、全く。

 そんな風に思いながら過ごして――――

 ネイサンはなかなか律儀な奴で、俺らの誕生日やら季節ごとのイベントなんかに贈り物やらメッセージカードが届く。

 スピカは贈り物を嬉しそうに、けれど偶にぐぬぬなんて悔しそうに呻りながらお返しの品を選んだりしている。

 やっぱり、ネイサンが近くにいないから拗ねてんだろうな。

 父上にも塩対応が続いている。スピカの塩対応に父上が涙目になることがあるけど・・・あれは見ない振りしといてやろう。

 あんまりめそめそしなくなったスピカも武術を習い始め・・・まぁ、なんだ。鈍くせぇな、コイツ。剣は向いてないな、うん。他にできそうなのをさせるか。とりあえず、走り込みだけは続けさせよう。

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰

 俺も十二になって、そろそろ学校へ通う。

 中等部の修了課程は入学前に終えて、騎士科へ入る予定だ。んで、高等部からは経営科へ進むことが決まっている。

 うちは少々特殊なので、普通に自衛のためと、対外的にクロシェンは鍛えてんだぞっていうアピールらしい。

 父上も騎士科に通ってから、高等部は経営科に進んだって話だし。

 ネイサンもこっちにいたら、一緒に通えたのに。なんて思っていたら・・・

 どうやらネイサンは、騎士学校に通わされることになったらしい。それも、かなり厳しいところで、全寮制の上、帰省の制限。挙げ句、手紙の検閲もされるようなところって・・・なんでまた、そんな厳しいとこに? って思ったら、ネイサンの両親が大おば様夫妻に了承を得ず、勝手に軍事系の騎士学校に入れてしまったのだとか。

 あの両親、マジでクソだな!

 なにが、『ネイサンはうちの国の学校に通わせる』だよ! 騎士学校ならこっちでもよかったはずだろっ!!

 ったく、ホント、あんなのが親でネイサンは大変だな。会ったことないけど。

 で、ネイサンからの贈り物が減った。ま、全寮制で帰省の制限までされてんだから仕方ない。しかも、手紙が検閲されるってなら、普通に書けないよなぁ。

 ぶっちゃけ、赤の他人に手紙読まれるとか最悪だろ。

 スピカにも事情を話し、ネイサンとは手紙のやり取りをするのが難しいことを伝えた。きょとんとしていたから、ちゃんと理解してんのかは不明だけど。

 誕生日の贈り物も無い……かもしれない、って覚悟したのに、ちゃんと誕生日プレゼントを贈って来るって、アイツすげぇな! とは言え、メッセージカードは今までに添えられていたものよりもかなりシンプルになっていたけど。

 贈られて来る物が減ったスピカは、相変わらずぐぬぬとして、なにを返したらいいか? と俺にアドバイスを求めることが多くなった。

 ん? あれはもしかして……プレゼントが前より減ったことにじゃなくて、俺にアドバイスを求めることに対してのぐぬぬ、なのか?

 ちなみに俺は、普通に国立の、学科が複数ある共学に通っている。ちっと遠いから、寮に入ってるけど。ちゃんと週末には帰省できるし。そんな規則も厳しくない。

 それに比べ、アイツあの顔で男子校とか大丈夫かよ? って、心配しながら・・・

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰

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