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しおりを挟む卒業式を終えた翌日から――――
セディーとライアンさんの二人から色々と教わっている。
ルリア嬢とリヒャルト君の領主教育のときにも、お邪魔させてもらうこともあって。
フィールズ公爵邸に顔を出すと・・・
「いらっしゃいませ、セディー兄様、ネイト兄様」
出迎えてくれたのはルリア嬢。
ちなみに、ターシャおば様が出迎えるとお茶に誘いたくなるそうなので、セディーが家庭教師をするときには遠慮してもらっているそうです。帰る前には、お茶をしてからお見送りをしてくれるそうですが。
「こんにちは、ルリアさん」
「お邪魔します」
「いらっしゃいませっ! お久し振りです! 今日はこっちに来るって聞いたので、楽しみに待ってましたっ♪」
にこにこと、犬ならきっと尻尾をパタパタ振っているだろう上機嫌な顔でわたしを出迎えたのは・・・
「こんにちは、エリオット君」
「はいっ、こんにちはですセディック様!」
「・・・」
「あ、あの、ハウウェル先輩、お久し振りです!」
「・・・お久し振りって程でもないよね?」
卒業式から、まだ十日も経ってないような気がする。
「ええっ!! 僕達、あれからもう一週間以上会ってないんですよっ!?」
「卒業したら、普通はもっと長い期間会わないものだと思う」
「そ、そんなことないです! ほらっ、今会ってますよ!」
「まぁ、そうだけど・・・というか、あれだけ号泣しといて。すぐ会ってるし」
『僕のこと忘れないでくださいね!』と、顔ぐちゃぐちゃで号泣して。それから十日も経たずに会うって、コイツ、気まずくなったり恥ずかしいと思ったりしないのかな?
「全然すぐじゃないですよ! 学園ではレザン先輩やメルン先輩、グレイ先輩とも毎日会ってたのに、一週間以上も会えないなんて寂しいじゃないですかっ!?」
「え~……」
「僕、今学園で一人なんですよっ!?」
「ああ……そう言えば君、学園ではわたし達にべったりで同学年の友人作ってなかったっけ」
「……エル兄様」
「エル兄さま、ひとりぼっちなんですか? それはさみしいですね」
深い溜め息でエリオットを見やるルリア嬢と、エリオットの腰の辺りをぽんぽんと叩いてよしよしと宥めるリヒャルト君。
「エリオット君」
「はい、なんですか? セディック様」
「お友達、作ろうね?」
「ふぇ?」
「別に、ネイトやレザン君達みたいに仲良くなれるお友達じゃなくていいから、ちゃんと交流のできるお友達を作ろうね?」
にっこりと、けれど若干圧のある笑顔でセディーが言う。
「公爵補佐予定の君が人付き合いが全くできないとなると、将来ルリアさんが苦労するでしょ?」
「ハっ!? そ、そうです……よね……」
「うん。だから、同級生である必要はないけど、交友関係は広げようね?」
「はいっ、わかりましたっ! ルリアちゃんのためにもがんばります!」
「・・・」
「どうかした? ネイト」
「ん~……なんというか、エリオットって学園では結構変人で通ってるから今から友人作るのも難しいかも? って思って」
「エリオット君が、変人? なんで?」
「ああ、セディーは知らないか。最近は大分マシになってるけど、エリオットって女性が苦手で。一年のときには、登校時から顔をストールでぐるぐる巻きにして、そのまま授業に出てたらしいんだよね」
わたし達は学年が違うから、そのなんとも言えない授業風景を実際に見たワケじゃないけど。
「え?」
「その、不審者スタイルで一年以上過ごしてて。基本的に、エリオットが覆面状態のストールを外すのは男子寮内で過ごすときと食事のとき、乗馬クラブにいるときくらいなもので」
「え……」
「しかも、不審者扱いで人が寄って来ないのが楽だって笑ってたし。そんなエリオットが、今更友人募集したところで友人ができるのかな? って」
「エル兄様……」
「エリオット君……」
「ふぇ?」
__________
卒業式、あれだけ泣いてたのに即行登場なエリオット。ꉂ(ˊᗜˋ*)
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