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しおりを挟む「ええっ!? わかってくれてないっ!?」
「あ、あの、それじゃあ、その、僕がハウウェル先輩と踊ってもいいですか?」
「「え?」」
「その……ハウウェル先輩が女性パートを踊るのが嫌なら、僕が女性パートを踊れば恥ずかしくないと思うんです!」
もじもじとしながら、けれど胸を張って宣言するエリオット。
「全く以て、そういう問題じゃないんだけど」
「成る程、フィールズ様がパートナー役ですか……いいでしょう。実はわたくしも、フィールズ様のポテンシャルには注目していたのです。以前のダンスは、明らかにリード役が実力不足。その下手くそなリーダーをフォローしながら、パートナー役でこっそりとリードしていましたものね」
「ぐはっ……な、流れ弾が来たっ!」
チラッとへこむアホを一瞥し、
「その点、ハウウェル様でしたら、リーダーもバッチリですわね。以前に、ケイト様と踊っていらしているところを拝見致しましたもの! 惜しむらくは、ケイト様もハウウェル様も全力では踊られていらっしゃらなかったことです。どこか遠慮がちなダンスで……至極勿体無かったですわ!」
悔しげに訴える彼女。
「わかりました! それじゃあ、僕は全力で踊ります!」
「期待しておりますわ、フィールズ様!」
「え? なに? 本気?」
「「もちろんです!」」
わたしは了承していないというのに、勝手に話が進んでいる!
「では、早速踊って頂きましょう!」
「行きましょうハウウェル先輩!」
「や、行かないから。わたしは今、ケイトさんの代わりにリヒャルト君の保護者なんだよ」
「ハッ! そっ、そうでした!」
「そういうワケなので、お断りします」
「ぼくならだいじょうぶです! テッドにーちゃんと手をつないでますから、ネイト兄さまはエル兄さまといってきてください!」
キリっとした顔でテッドの手を握りながら、わたしを見上げるリヒャルト君。
「え? あ、俺ってば、責任重大?」
「リール兄さまもいるのであんしんです」
「……いや、俺は不安しかないぞ」
「大丈夫です。ハウウェル様とフィールズ様が不在の間、わたくしもリヒャルト様に付いておりますから!」
「そこまでしてわたしを踊らせたいんですか……」
「当然です! 今回を逃せば、これから先ハウウェル様が踊られるところを拝見する機会など、そうそう無いではありませんか!」
「・・・」
ああ、うちやフィールズ公爵邸ではちょこちょこ踊る機会があって忘れてたけど、わたしが公の場で踊る予定は暫く無い。スピカは隣国にいるし。ケイトさんはセディーの婚約者。セディーの弟であるわたしと公の場で何度も踊るのは、あまり宜しくない。
確かに。今日を逃せば……公の場で踊るのは、短くても数年後とか? に、なるかもしれない。それを考えれば、彼女が必死になるのもわかる気がした。
まぁ、エリオットと踊りたいかは別だけど。
「わかりました。では、一回だけ。それを見たら、満足してください。二度目はありませんから。というか、君は君で、保護者達の前で男と踊るの気にしないワケ?」
「ふぇ? なにがですか? 折角ハウウェル先輩と全力で踊れるんですよ? 楽しみです!」
「エル兄さまはネイト兄さまがだいすきですもんね!」
「はい!」
「ああもう、エリオットは可愛い奴だなっ……と、ハウウェルが思ってる!」
「そんなっ、照れますよっ……」
「……なに勝手なこと言ってんの?」
__________
『『それ』って愛なのかしら?』完結しました。
不貞バカップル共に、冷や水どころかブリザードな現実を示唆して、正論でぶん殴る話。一応、主人公はお節介のつもりです。(。-∀-)
興味のある方は、『月白ヤトヒコ』の作品リンクから飛べますので覗いてやってください。(*´∇`*)
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