虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
581 / 673

500

しおりを挟む


 ちょい変更。卒業式の前に……

__________


 あっという間に卒業式・・・を迎える前に、サプライズで慰労会が開かれた。

 乗馬クラブの部員一同から、

「「「クロフト部長、ハウウェル副部長、三年間お疲れ様でした!」」」

 労われ、アンダーソン嬢とレイラ嬢からレザンとわたしへそれぞれ花束が渡されました。

 レザンが部長になってから、乗馬クラブ内での男子の喧嘩が無くなった。あの、レイラ嬢に泣かされた新入生が男子の一件以来、女子生徒へ判り易く敵愾心を剥き出しにする男子がいなくなった。貴族なのに平民生徒にも気さくな態度で、丁寧に乗馬を教えてもらった……などなど、後輩達から感謝の言葉が。

 まぁ、長身でムキムキ、三白眼で威圧感のある、しかも軍閥関係出身のレザンに喧嘩を売る度胸のある奴がいなかっただけだと思う。

 それに、女子生徒へ敵意剥き出しにする男子がいなくなったのは、レイラ嬢のお陰? だし。まぁ、アレを止めなかったことへの感謝なのかもしれないけど。

 わたしの方にも……

 威圧感のあるクロフト様に話し掛けるのは勇気が要りますが、ハウウェル様がいらっしゃることで話し掛け易くて助かりました。ケイト様と並んでいたハウウェル様が素敵でした。ハウウェル様が男子生徒から庇ってくださったことに感謝しております。麗しいハウウェル様とお可愛らしいフィールズ様がお二人で並んでいると、大層眼福でした。ハウウェル様の麗しい氷の微笑みは忘れません。クロフト様やメルン先輩、フィールズ様と楽しげに話している姿に大変胸が高鳴りました。颯爽と鞭を持つ姿が最高でした。

 うん? 途中から、なんかおかしいのが混じってない? と思ったら、

「レザン先輩もハウウェル先輩もメルン先輩も、皆さん卒業なんでずね……寂しくなりまずっ……」

 号泣しながらエリオットが突進して来た。

「うわっ、ちょっ、鼻水付けるな、汚い!」
「ぅう~……ハウウェルぜんばい……」

 エリオットの頭を押さえて引き離そうとすると、

「ぷはっ……そう言や、フィールズが最初に顔出したときもそんな感じだったな! アハハハっ!!」

 ケラケラと笑うテッド。

「こら、エリオット! クロフト様とネイサン様に迷惑掛けちゃ駄目じゃないの!」
「ふぇっ……レイラちゃん」
「ほら、鼻拭きなよ」

 レイラ嬢に叱られてひくひくしているエリオットへ、ハンカチを差し出す。

「来年度からは、君達が三年生なんだから。もう泣かないの」
「ハウウェルせんぱい……」

 「レイラ嬢と アンダーソン嬢を  宜しくね?  君が彼女達を 守るんだよ」

 小さくそう囁くと、エリオットがコクンと頷いた。

 なんてことがあって――――卒業式を迎えた。


しおりを挟む
感想 175

あなたにおすすめの小説

【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。

木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。 「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」 シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。 妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。 でも、それなら側妃でいいのではありませんか? どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

処理中です...