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「ふむ……」
「それに、身分差がどうのと言う輩はきっと、レイラ嬢が黙らせると思うし……最悪、彼が副部長に就くことに文句を言うような奴がいたら、『なら、あなたが副部長をやってみますか?』って言えばいいと思う」

 レイラ嬢とアンダーソン嬢の並び……というか、その間に挟まるのは普通の男子には非常にハードルが高いだろう。

「あと、心配ならエリオットにフォローさせればいいよ。副部長にはならなくても、フォローしちゃいけないってことはないんだし」
「そうか、成る程。女性への対処は難しいが、男ならばフィールズにも対処できるか」
「うん。アイツ、女の子にはへたれだけど、なにげに男には厳しいし。もし暴力沙汰になるようなことが起きたとしても、今の乗馬クラブ部員にエリオットに敵う奴はいないと思う」

 実は、学園内でエリオットに喧嘩を売る奴はほとんどいない。

 エリオットが次期フィールズ公爵(ルリア嬢が後継候補なのはまだ公表していないので)と見做みなされていることも大きいんだろうけど。

 一番の要因は、寮の裏手で偶にレザンと組み手をしているのを目撃されてから、『あんな可愛い顔して、実はめっちゃヤバい奴だった!』と思われているそうだ。

 まぁ、わたしもあんまり人に言えないけど……

 わたしとレザンは今年で卒業だ。

 なので、もう一人の副部長のフォローはエリオットに丸投げすることに決定した。

 それからしばらくして、中間テストがあって――――

「う、うそだろっ……」

 と、答案を見詰めて深刻な顔をするテッド。

「ど、どうしたんですかっ? メルン先輩っ」
「聞いてくれフィールズ!」
「はいっ」
「じ、実は……」
「実は?」
「テストの点数めっちゃ上がってたっ!!」
「おめでとうございますっ!!」
「や~、マジびっくりしたわ。一瞬、別の奴の答案なんじゃねーかって疑っちまったぜ。な、レザン」
「うむ」
「ハウウェル、おにーさんとライアン先輩にお礼言っといてくれ」
「わかった」
「……まさか、学年一位を取ってしまうとは」
「わ~! グレイ先輩もおめでとうございます!」
「あ、ああ……その、ありがとう」
「ふふっ、実は僕も……学年三位取っちゃいました♪」
「くっ……俺達の点数アップが見劣りする結果! だが、おめでとう!」
「ありがとうございます♪」

 と、みんなセディーのお陰でかなり成績が上がった模様。

 実は、テッドとレザンの成績がかなり上がってカンニングを疑われたらしいけど、『ネイサン・ハウウェルの兄のセディック・ハウウェル様に勉強を教わった』と教師に言ったら、即行で疑いが晴れたのだとか。

 なんでも、セディーに勉強を教わった人の成績が伸びるのは、有名な話だそうで。セディーの在学中は、よくあることだったそうだ。

 卒業して、三年以上になるのに、セディーはまだ有名なようだ。

 さすがセディー♪

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰

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