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しおりを挟む翌日、まだ少し心配しながら授業を受けて――――
寮に戻ると、速達で手紙が届いていた。
『もう大丈夫だから、心配掛けてごめんね?』と、セディーからの手紙。と、おばあ様からも、『セディーのことはちゃんと見てるから安心なさい』と。
どうやら、手紙を書けるくらいには回復したらしい。よかった・・・それに、おばあ様が見てるなら安心だ。
そして、『もう、あんまり無理しないでね。ゆっくり休まないとダメだからね』と、返事を書いて出した。
まぁ、セディーに無茶させた原因はわたしなんだけど・・・と、少しの自己嫌悪。あれって、わたしの成人に合わせてくれたんだよねぇ。
だけど、セディーを忙しくさせていた要因とは縁が切れたワケだし。これからは、セディーももっと自分の為に時間を使える筈。
誰かはきっと、実の両親を排除したセディーとわたしの選択を冷酷だと言うかもしれない。でも・・・きっと、後悔はしない。
むしろ、あのまま両親を排除しないことの方を後悔することになっただろう。
父は、あの母を選んだ時点で高位貴族としては失格だ。
人の上に立てる器じゃない。お祖父様のように侯爵領を治める姿が、全く思い浮かばない。まぁ、わたしがあの人を知らないだけかもしれないけど。
その点、セディーなら安心かな? ちょっと……いや、かなり甘いところはあると思うけど、ケイトさんもいるし。セディーが迷ったり悩んだりすることもあると思うけど、そういうときにはケイトさんが引っ張ってくれそうだし。なんだかんだ、あの二人ってとってもお似合いなんだよねぇ。
そんなことを考えていて、ふと気付いた。うちって、みんな自分で決めた相手を選んでるんだよなぁ……ってことに。
お祖父様はおばあ様を選んで結婚した。言葉はそこまで違わないとして、それでも国際結婚だ。更に、当時は今よりも男尊女卑の気色が強かった時代。そんな時代に……言っちゃなんだけど、かなり気の強いおばあ様を娶るのは大変なことだっただろう。
数十年経った今でも、おばあ様の名前を聞くと顔を顰める人もいる。それでも、お祖父様はおばあ様を選んだ。そして、ずっとおばあ様を守って来た。
伯母様も、自分で決めて選んだ相手と結婚したと聞いた。
父も、自分で母を選んで結婚した。その結果は、兎も角・・・
セディーも、自分でケイトさんを選んだ。
わたしも、自分でスピカを選んだ。
それを考えると・・・実は似ているところもあったのか、と妙な感心をしてしまった。
とりあえず、今週末は帰ってセディーとゆっくり話をしよう。
そして・・・ちゃんとお礼を言わなきゃね。
__________
お祖父様からのハウウェル家の人達は、みんな自分で結婚相手を選んでいます。(*´艸`)
考えてみると、煩い周りを一番黙らせて来たのはお祖父様。あんまり出てないけど、実はしれっと腹黒で、怒らせるとかなり怖い人なんだろうなぁ……と思いました。( ̄□ ̄;)!!
ということは、エドガー(おとん)の目はやっぱり節穴ですね。(笑)
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