虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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 久々のネイサン視点。

__________

 学園寮の食堂にて。

「おはようございますっ、ハウウェル先輩!」

 今日も元気な挨拶のエリオット。

「ん、おはよう……」

 眠い目を擦りながら、返す。

「どしたよ、ハウウェル? 今日はいつになくテンションひっくいのなー」
「ふむ……昨日、帰って来なかったこととなにか関係があるのだろうか?」
「えっ!? なになに? ハウウェルってば朝帰りっ!? やっるー!」
「……いや、どう見てもそういう顔じゃないだろう。なにがあったんだ?」

 一瞬、ニヤニヤ顔を殴ってやろうかと思ったけど、リールが呆れ顔でテッドを窘める。

「ぁ~……なんて言うか、昨日色々あって、疲れたセディーがちょっと体調を崩してね。心配だったから、うちに泊まってたんだよ。で、セディーも大丈夫みたいだから、夜明け前にうちを出て、さっき学園に着いたとこ」

 朝方というよりは未明の時間に起きて、準備して馬車を走らせて来た。

 なにげに、セディーが侯爵家こっちの方でいきなり倒れるのは初めてだったようで、少しバタバタしていたんだよねぇ。珍しく、みんな慌てていた。

 そして今朝は、お祖父様が少し疲れた顔で見送ってくれた。

「うっわ、なんか茶化してごめん!」
「セディック様は大丈夫でしょうか?」
「ん。大丈夫。昔はよく体調崩してたし」

 医者が言うには、疲労と精神的なストレスだろうとのこと。

 両親あの人達のことでの証言集めに、侯爵位を継ぐ為の勉強。お祖父様の補佐。それに加えて、ルリア嬢の家庭教師役もして……と、セディーが結構忙しくしていたのも事実。

 わたしが帰省するのに合わせて予定を空ける為、スケジュールを詰めていたりとかもして・・・ライアンさんがめっちゃ落ち込んでいたなぁ。セディーが自分で無茶をしたことだからと、お祖父様は秘書としてのライアンには責任は問わないって言ってたけど。

 とりあえず、しばらくはセディーのスケジュールをゆったりめにすることは決定。

「ハウウェル先輩、朝ごはんは食べましたか?」
「一応、馬車の中で軽く食べたけど、もっかい食べとこうと思って」
「うむ。寝ないのなら、食べないと保たんからな」

 と、朝食を食べて授業へ出た。

 それから、戸籍関係で少しごたごたする予定なので職員室へ。

 父エドガー・ハウウェルが病気療養となり、ネイサン・ハウウェルわたしはハウウェル子爵家の籍を抜けるので、少しの間戸籍が宙ぶらりんの状態になることを説明。

 案外、あっさりと了承された。

 まぁ、『病気療養』の一言で職員が一瞬だけ遠い目になったのは、事情を察せられたからだろうけど。貴族の『病気療養』は、様々な事情があるからなぁ。

 前にお祖父様が乗り込んで来たのが効いているのかもしれない。

「ああ、セディック・ハウウェルの弟……」

 と、職員に目を逸らされたのが気になるけど。

 なんだったんだろ? セディーは、優等生だったんだよね?

 とりあえず……疲れた。

 セディーのことはちょっと心配だけど・・・

 今日はもう、早く寝よ。

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰


 セディーは優等生だったけど、その腹黒さも知る人ぞ知る的な感じで有名だったり。実は一部の人達の間では、鬼畜な人認定されてます。(笑)

 きっと、『転校生』を複数作っているのはネイサンだけじゃないんですよ……|・`ω・)

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