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番外。エドガー(おとん)視点。5
しおりを挟むセディックと名付けた。
セディックは少し身体が弱いようだ。よく泣いて煩い。赤ん坊は、泣くことで不調を知らせるというが・・・死なないように気を付けなければ。
セディックの体調が悪くてぐずると、メラリアが一緒になって泣く。そして、僕に慰めてほしそうに、構ってというアピールをする。これには、少し困った。
ベテランの乳母を雇い、
「高位貴族夫人になるメラリアが、自分でセディックの世話をしなくていい。乳母に任せればいいんだ」
そう言った。
やっぱり、子守は慣れている者に任せればいい。
子供は、特に男の子は小さい頃は身体が弱くても、成長するにつれ段々と丈夫になる、と医師も乳母もそう言っていた。
現に、セディックは少し虚弱な程度で、特定の病気や日常生活に支障が出たりするような重病に罹っているワケじゃない。なら、このまま様子見でいいだろう。
セディックが乳児期を脱した頃、メラリアの再びの妊娠が判った。
不安定なメラリアに子守は無理だと判断して、乳母の他に侍女をセディックに付けることにした。
そして、生まれたのは――――
母と同じ髪色をした赤ん坊。男の子だそうだ。
顔立ちも、母や姉と似ている。
瞳は薄茶だが、僕やメラリアとは似ていない。光の加減で薄い……母と同じ、黄緑っぽく見えることがある。
次男はネイサンと名付けたが・・・あまり、見ていたい顔ではない。
そしてまた、赤ん坊の世話でメラリアが不安定になっている。
まぁ、それだけとも思えないが。
メラリアは、よくぐずっていた赤ん坊の頃のセディックの世話をしていたときよりも、明らかに苛立っている。
「生まれたときから思っていたが・・・ネイサンは母上にそっくりな顔をしているな」
そう零した瞬間、メラリアの顔が嫌そうに顰められた。それからだ。メラリアが、ネイサンのことを全く見なくなった。
世話をするのは、侍女達かセディックの乳母。それも、よく体調を崩すセディックの世話があるから付きっ切りというワケには行かず、ネイサンが放置されていることがあるようだ。
そう、報告された。けれど・・・ネイサンの為に動く気にはなれなかった。
そんな状態見兼ねた誰かが、母に告げ口したのだろう。ある時期から、赤ん坊の泣き声が家から消えた。
セディックが赤ちゃんがいなくなったと喚いていたので、どうしたのかと執事に聞くと、母がネイサンをハウウェル侯爵邸へ連れて行ったとのこと。
セディックも連れて行こうとしたらしいが、メラリアが騒いだのでネイサンだけを連れて行ったのだと。
僕は・・・
「そうか」
とだけ返した。母に、姉に似たネイサンが家にいないことに、どこかほっとした。
それからメラリアは、日中はセディックの側から離れなくなったようだ。
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