上 下
542 / 673

番外。メラリア(おかん)視点。1

しおりを挟む



 めっちゃお花畑です。(笑)

__________


 どうして? なんでこうなったの?

 セディーとネイトが――――

 二人でネイトの除籍を求めに来て、エドガー様がその書類にサインをして――――

 その日から、我が家から使用人達が減った。

 わたくしが実家から連れて来た侍女やエドガー様付きの執事、料理人など少人数は残っているけれど、他の通いの使用人達や、庭師、御者・・・一気に人がいなくなってしまったわ。

 どうして?

 いつの間にか、馬車と馬が無くなっていて、これじゃあお出掛けができない。お買い物に行くときにはどうすればいいのかしら?

 わたくし付きの侍女が支度をしてくれるけれど、人が少なくなったからか、お掃除の行き届かない部屋が増えたような気がする。綺麗に花の植えてあったお庭も、雑草が増えて荒れてしまった。

 どうして、こうなったのかしら?

 わからないわ。

 エドガー様は、わたくしに言ったの。わたくしを幸せにしてくれるって。

 それなのに、寂れたお屋敷。

 お掃除の行き届かないお部屋。

 お食事も、前より質素で品数が減ってしまったわ。

 お洋服もアクセサリーも、新しい物は買ってはいけないみたいなの。

 エドガー様がお出掛けしないで一緒にいてくれることは嬉しいけれど、エドガー様のお元気がないみたいなの。

 どうして? わたくしを幸せにしてくれると言ってくれたのに――――

。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・✽

 わたくしは、子爵家の末っ子として生まれたの。

 上にはお兄様が二人とお姉様が一人。四人兄妹でみんなと年が離れていて、とても可愛がってもらったの。

 お父様もお母様もわたくしを可愛いと言ってくれて、ワガママを許してくれたわ。

 家族にも、使用人達もとても大切にされていたの。

「メリーは可愛いなぁ」
「可愛いメリーのおねだりなら叶えてあげるわ」
「お勉強ができない? お兄様が教えてあげよう」
「野菜が嫌い? 僕が食べてあげたのは内緒だよ?」
「刺繍の課題? 手伝ってあげるわ」
「メリーお嬢様はお可愛らしいですね」
「お菓子ですか? 仕方ありませんね。お姉様達には内緒ですよ?」

 みんながわたくしに優しくしてくれた。

 けれど、お勉強が苦手なわたくしは学園で少し苦労することになったの。

 でも、宿題は完璧。お兄様達やお姉様が、いつもわたくしに教えてくれるから。

 授業で当てられたり、テストのときには困ったけれど、留年するほどには酷い成績ではなかったから。

 お友達はあんまりできなかったけれど――――

 その代わり、エドガー様と出逢ったの。

 エドガー様は難しいお勉強ができて、将来侯爵様になると一生懸命だったの。

 なのに、エドガー様のお姉様ったら、エドガー様に「あなたはもっと努力しなさい」ってイジワルばかり言っていたの。

 エドガー様はお勉強ができて、わたくしに親切にしてくれて、とっても優しいのに。

 わたくしのお姉様やお兄様達は、あんなイジワルなことを言わないわ。わたくしがお勉強が苦手でも、教えてくれるし、「メリーは頑張っているよ」って誉めてくれるもの。

 だからわたくしも、

「エドガー様は頑張っていますわ」

 そう言ってお慰めしたの。

 お兄様やお姉様、使用人達に言われて嬉しかったことを、エドガー様に言ってあげたの。

 そうしたら、エドガー様はわたくしと結婚したいとプロポーズしてくれたの。

「君を幸せにするから、僕と結婚してくれないか?」

 と、そう言ってくれたの。

 子爵令嬢のわたくしが、侯爵令息であるエドガー様に結婚を申し込まれたことで、我が家は大騒ぎ。

 お父様もお母様も、お兄様達もお姉様もびっくりしていたわ。

 わたくしは、家族みんなが喜んでくれると思っていたのに――――

 なぜかお父様とお兄様達は浮かない顔。

「メリー。メリーが侯爵夫人になるのは難しいと思うんだ」
「メリー、もっとよく考えてごらん?」
「お断りした方がいいと思うよ?」

 そう言ったの。

 お母様とお姉様は最初は喜んでくれたのに、お父様とお兄様達の言葉で、おめでとうとは言ってくれなくなってしまったの。

 なぜ? エドガー様はわたくしのことが好きで、「僕はメラリアと結婚したい。他の女性とは結婚しない」とまで言ってくれたのよ?

 子爵と侯爵とでは、確かに少し身分差があるけれど、恋愛小説では身分差を乗り越えた二人は幸せに暮らしました、とハッピーエンドになるのよ?

 うちにだって、侯爵様との繋がりができるのに・・・?

 疑問に思っているうちに、エドガー様がどうしてもわたくしがいいと言って、婚約を結ぶことになったの。

 そしたら――――

 お父様とお兄様達が、わたくしには難しいと言っていた意味が少しわかったわ。

 エドガー様のお姉様が厳しくて、少しイジワルなことはわかっていたの。でも、エドガー様のお母様まで厳しくてイジワルだなんて思っていなかったの

 侯爵夫人になるためのお勉強と言って、難しいことをわたくしに要求するの。

 わたくしは、困ってしまって・・・とうとう泣いてしまったの。

 すると、エドガー様がお母様のネヴィラ様からわたくしを庇ってくれたの。そして、

「メラリアはなにも変わらなくていいんだよ。僕が幸せにしてあげるから」

__________


 なんだろ? 邪気や打算の無い、愛され系のおバカなピンク頭ヒロインっぽい感じかも。(笑)

 無邪気なのが一層性質が悪いというか・・・


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

王子妃だった記憶はもう消えました。

cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。 元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。 実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。 記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。 記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。 記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。 ★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日) ●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので) ●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。  敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。 ●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る

堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」  デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。  彼は新興国である新獣人国の国王だ。  新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。  過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。  しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。  先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。  新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

私をもう愛していないなら。

水垣するめ
恋愛
 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。

貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。

もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」 隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。 「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」 三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。 ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。 妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。 本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。 随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。 拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

処理中です...