虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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番外。メラリア(おかん)視点。1

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 めっちゃお花畑です。(笑)

__________


 どうして? なんでこうなったの?

 セディーとネイトが――――

 二人でネイトの除籍を求めに来て、エドガー様がその書類にサインをして――――

 その日から、我が家から使用人達が減った。

 わたくしが実家から連れて来た侍女やエドガー様付きの執事、料理人など少人数は残っているけれど、他の通いの使用人達や、庭師、御者・・・一気に人がいなくなってしまったわ。

 どうして?

 いつの間にか、馬車と馬が無くなっていて、これじゃあお出掛けができない。お買い物に行くときにはどうすればいいのかしら?

 わたくし付きの侍女が支度をしてくれるけれど、人が少なくなったからか、お掃除の行き届かない部屋が増えたような気がする。綺麗に花の植えてあったお庭も、雑草が増えて荒れてしまった。

 どうして、こうなったのかしら?

 わからないわ。

 エドガー様は、わたくしに言ったの。わたくしを幸せにしてくれるって。

 それなのに、寂れたお屋敷。

 お掃除の行き届かないお部屋。

 お食事も、前より質素で品数が減ってしまったわ。

 お洋服もアクセサリーも、新しい物は買ってはいけないみたいなの。

 エドガー様がお出掛けしないで一緒にいてくれることは嬉しいけれど、エドガー様のお元気がないみたいなの。

 どうして? わたくしを幸せにしてくれると言ってくれたのに――――

。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・✽

 わたくしは、子爵家の末っ子として生まれたの。

 上にはお兄様が二人とお姉様が一人。四人兄妹でみんなと年が離れていて、とても可愛がってもらったの。

 お父様もお母様もわたくしを可愛いと言ってくれて、ワガママを許してくれたわ。

 家族にも、使用人達もとても大切にされていたの。

「メリーは可愛いなぁ」
「可愛いメリーのおねだりなら叶えてあげるわ」
「お勉強ができない? お兄様が教えてあげよう」
「野菜が嫌い? 僕が食べてあげたのは内緒だよ?」
「刺繍の課題? 手伝ってあげるわ」
「メリーお嬢様はお可愛らしいですね」
「お菓子ですか? 仕方ありませんね。お姉様達には内緒ですよ?」

 みんながわたくしに優しくしてくれた。

 けれど、お勉強が苦手なわたくしは学園で少し苦労することになったの。

 でも、宿題は完璧。お兄様達やお姉様が、いつもわたくしに教えてくれるから。

 授業で当てられたり、テストのときには困ったけれど、留年するほどには酷い成績ではなかったから。

 お友達はあんまりできなかったけれど――――

 その代わり、エドガー様と出逢ったの。

 エドガー様は難しいお勉強ができて、将来侯爵様になると一生懸命だったの。

 なのに、エドガー様のお姉様ったら、エドガー様に「あなたはもっと努力しなさい」ってイジワルばかり言っていたの。

 エドガー様はお勉強ができて、わたくしに親切にしてくれて、とっても優しいのに。

 わたくしのお姉様やお兄様達は、あんなイジワルなことを言わないわ。わたくしがお勉強が苦手でも、教えてくれるし、「メリーは頑張っているよ」って誉めてくれるもの。

 だからわたくしも、

「エドガー様は頑張っていますわ」

 そう言ってお慰めしたの。

 お兄様やお姉様、使用人達に言われて嬉しかったことを、エドガー様に言ってあげたの。

 そうしたら、エドガー様はわたくしと結婚したいとプロポーズしてくれたの。

「君を幸せにするから、僕と結婚してくれないか?」

 と、そう言ってくれたの。

 子爵令嬢のわたくしが、侯爵令息であるエドガー様に結婚を申し込まれたことで、我が家は大騒ぎ。

 お父様もお母様も、お兄様達もお姉様もびっくりしていたわ。

 わたくしは、家族みんなが喜んでくれると思っていたのに――――

 なぜかお父様とお兄様達は浮かない顔。

「メリー。メリーが侯爵夫人になるのは難しいと思うんだ」
「メリー、もっとよく考えてごらん?」
「お断りした方がいいと思うよ?」

 そう言ったの。

 お母様とお姉様は最初は喜んでくれたのに、お父様とお兄様達の言葉で、おめでとうとは言ってくれなくなってしまったの。

 なぜ? エドガー様はわたくしのことが好きで、「僕はメラリアと結婚したい。他の女性とは結婚しない」とまで言ってくれたのよ?

 子爵と侯爵とでは、確かに少し身分差があるけれど、恋愛小説では身分差を乗り越えた二人は幸せに暮らしました、とハッピーエンドになるのよ?

 うちにだって、侯爵様との繋がりができるのに・・・?

 疑問に思っているうちに、エドガー様がどうしてもわたくしがいいと言って、婚約を結ぶことになったの。

 そしたら――――

 お父様とお兄様達が、わたくしには難しいと言っていた意味が少しわかったわ。

 エドガー様のお姉様が厳しくて、少しイジワルなことはわかっていたの。でも、エドガー様のお母様まで厳しくてイジワルだなんて思っていなかったの

 侯爵夫人になるためのお勉強と言って、難しいことをわたくしに要求するの。

 わたくしは、困ってしまって・・・とうとう泣いてしまったの。

 すると、エドガー様がお母様のネヴィラ様からわたくしを庇ってくれたの。そして、

「メラリアはなにも変わらなくていいんだよ。僕が幸せにしてあげるから」

__________


 なんだろ? 邪気や打算の無い、愛され系のおバカなピンク頭ヒロインっぽい感じかも。(笑)

 無邪気なのが一層性質が悪いというか・・・


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