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 いつもと変わらないけど、ひたひたと近付いて来る卒業の日――――の前に、ある意味在学生にとっての一大イベント、進級テストがありますよ。三年生は三年生で卒業テストがあるワケなんだけど。

 まぁ、わたしは進級するだけなら余裕なんだけど・・・

 あれだ。テストの度に毎度毎度わーわー騒ぐアホ共が、またもや騒いでいる。

 そして、一年生のエリオットに進級テストの勉強を教わるってどうなの? ちなみにエリオットは、余裕だそうで、にこにこと二人に教えている。

 それをひややかに見やるリール。

「・・・学習しないアホ共め」
「まぁ、セディーとライアンさんの作ってくれた問題集を地道にやってれば、あんなに慌てる必要ないのに……とは思うけどね」

 なんだかんだで、ばたばたしていた二人も無事に進級が決まった。

 一応、普通クラスだそうで。

「よかったね。まさか、次の部長がまた二年生やり直しなんて、ケイトさんに申し訳ないし」

 六年間上位クラス在籍。しかも、上位クラスの中でも成績優秀、品行方正、下級生や女子生徒にもよく頼られて、貴族平民かかわらずに人望もあるという、才色兼備を地で行くケイトさんが選んだ次の部長が留年というのは、マジでシャレにならない。

「・・・うむ」

 と、わたしの言葉に冷や汗を垂らすレザン。

「ぁ~……そう言や、部長ももう卒業かー。はぁ~……凛とした美人さんで目の保養だったのにな~。寂しくなるぜ。あ、そだ。な、な、部長の卒業おめでとう&慰労会とかやらねぇ?」
「慰労会、か……確かに、ケイトさんはかなり苦労したって話だし。いいかも」
「部長を慕う女子集めてさー」
「それはそれでどうなの?」

 なんというか、テッドの下心が透けて見える。

「だが、セルビア部長を慕う女子生徒は多い」

 それを言われると、ケイトさんを慕うのは女子生徒が多いのは確かだ。

「ん~……だったら、もう乗馬クラブの生徒とかは関係無く、純粋にケイトさんを慕う生徒を集めてにした方がいいんじゃない? それか、乗馬クラブだけで慰労会をして、その後で他の生徒も参加するケイトさん卒業おめでとうパーティーをするとか?」
「うむ。その方がいいかもしれん」
「じゃあ、次の副部長の子にも声掛けなきゃなー」
「ああ、そうだね」

 と、次期副部長の女子後輩にも声を掛けたら・・・

「さすがハウウェル様とクロフト様ですね! わかりました! ケイト様にお世話になった方々へお声を掛けて来ます!」

 なんだかめちゃくちゃ張り切って、女子生徒達へ声を掛けていた。そして、

「あの、先輩……レイラちゃんが」

 申し訳なさそうな顔のエリオットがやって来て、

「皆様、なんだか面白そうなことを企画していると聞きましてよ? わたくしも是非、一枚噛ませて頂きますわ! ケイト様には、ルリアがお世話になっていますもの!」

 そのエリオットをぐいっと押しのけたレイラ嬢までもが一枚噛むことに。

「ね、レイラちゃん。いっそのこと、大ホールを貸し切りにした方がよくない?」
「う~ん……それならもう、学園内でやるより、市民ホールでも貸し切りにして、平民の方も参加できるようにした方がいいんじゃないかしら? それだったら、ケイト様にお世話になった平民の方でも気兼ねなく参加できると思うの」
「そうですわね、フィールズ様の仰る通りです。ケイト様にお世話になったという卒業生の方で、ご自分も参加したいという声も出ていますから」
「ふぇ~……ケイト様は人気者なんですね~」
「当然です! ケイト様は成績優秀、文武両道、才色兼備、品行方正で麗しく、その上お優しくていらっしゃる素晴らしい方なのですからっ!!」

 うん……薄々というか、わかってはいたけど、この子ケイトさんの崇拝者だっ!?

 そして、当初考えていたケイトさんの慰労会は、どんどん規模が大きくなって――――

 ケイトさんへの感謝を伝える、『ケイト様謝恩会』へと変わって行った。

「ところで、あなた。フィールズだとエリオットと紛らわしいし、同じ一年ですもの。レイラで宜しくってよ」

 レイラ嬢と次期副部長が仲良くなり、

「どうせなら、わたくしも乗馬クラブへ入ろうかしら? エリオット、わたくしが入って大丈夫?」
「えっと、レイラちゃんが乗馬に興味があるなら、入ってもいいよ」
「そう、なら決まりね」

 と、レイラ嬢の乗馬クラブ入部があっさり決まった。

 エリオットが嫌がったら、入るのはやめるつもりだったみたいです。以前に比べると、格段に気遣いができるようになりましたね。

 まぁ、猪突猛進な感じは変わってないようですが。

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰


 レイラちゃん、乗馬クラブ入部決定。

  エリオット「レイラちゃん、乗馬に興味あったの?」(・∀・)

 レイラ「今度ね、ルリアが習う予定なの。一応わたくしも軽くなら馬に乗れるけど、どうせならもっと勉強してみようと思ったのよ」(^∇^)

 エリオット「それなら、僕も協力するねっ」o(`・д・´)o

 レイラ「ふふっ、頼りにさせてもらうわ」( ・∀・)ノ


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