508 / 673
443
しおりを挟むそして、お茶会当日。
フィールズ公爵家に続々と集まる顔見知りの人達。タッタッタと軽い足音が近付いて来て、
「セディーにいさまっ、ネイトにいさまっ!?」
ぎゅ~と手が握られる。
「あいたかったですっ!」
「リヒャルト君、久し振りですね」
「っ、ほんとうに・・・おひさしぶりですっ! おにいさまたちだけであそびにいったってききました! ぼくもいきたかったですっ」
と、笑顔だったのが一転。今度はぷぅと頬が膨らんでそっぽを向く。久々に会えて嬉しい気持ちと、長い期間会えなかった寂しさ、そしてその間にわたし達が遊びに行って、自分が誘ってもらえなかったことに対する拗ねた気持ちとで、リヒャルト君の表情が忙しく変わる。
「えっと、それは、その、寂しい思いをさせちゃってごめんなさいリヒャルト君」
と、割り込むアルト。
「え?」
「あの、ハウウェル先輩とセディック様をお誘いしたのは僕なので……」
「ふふっ、フィールズ様が謝らなくても大丈夫ですよ。リヒャルトはなかなかお二人に会えなくて、ちょっと寂しくて拗ねているだけですから。ね? リヒャルト」
しょんぼりするエリオットに、クスクスと笑うケイトさん。
「そうですっ、ぼくはおこってるんですよっ!」
「え? け、ケイト様? リヒャルト君が怒ってるって言ってますよっ!?」
「ネイトにいさまとセディーにいさまは、おやすみのあいだに、ぼくといっしょにあそんでくれないとゆるしませんからねっ!」
「ね? 大丈夫でしょう?」
「ふふっ、わかりました。では、リヒャルト君に許してもらえるよう、どこかへお出掛けしましょうか。いいですか? ケイトさん」
「ええ」
「おやくそく、ですよ? セディーにいさまっ」
「はい。お約束ですね。ケイトさんもお久し振りです。お元気でしたか?」
「ええ。セディック様の方もお元気そうでなによりです」
・・・これは、もしかしてセディーが倒れたことが伝わっているのだろうか? それとも、久々に会って普通に元気そうという意味? まぁ、どっちでもいいか。
「うふふ、ようこそ皆様。いらっしゃいませ~」
と、間延びした声が掛かる。
「ターシャおばあ様、お久し振りですっ」
「本日はご招待ありがとうございます」
「お招きありがとうございます、アナスタシア様」
「わたくしの方こそ、来てくださって嬉しいですわ~。レイラちゃんとルリアちゃんが待っていますわ~。こちらへどうぞ~」
挨拶をして、屋敷の中へ通される。
「皆様。本日は突然のお招きにもかかわらず、フィールズ家へお越しくださりありがとうございます」
「れっ、レイラちゃんがちゃんと挨拶してるっ!?」
「もうっ、人が折角ちゃんと挨拶したのに台無しじゃないのっ!?」
「あ、ごめん」
「レイラ姉様、淑女が崩れてますよ」
「っ、失礼しました」
「うふふ、レイラちゃんもまだまだね~」
と、始まったお茶会。
__________
折角なんで、『愛しいねえ様がいなくなったと思ったら、勝手に婚約者が決められてたんですけどっ!?』にも表紙と挿し絵を入れてみました。
ネイサンの絵は使い回しですが、あっちの表紙と3話、6話目に、大きくなったスピカの絵を載せました。
他にも表紙を付けた話があるので、興味のある方は月白ヤトヒコの作品リンクから覗いてやってください。(*>∀<*)
あと、こっそり前回の挿し絵にネイサン髪下ろしバージョンを増やしました。|ω・`)コソ
16
お気に入りに追加
745
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄ですか?それは死ぬ覚悟あっての話ですか?
R.K.
恋愛
結婚式まで数日という日──
それは、突然に起こった。
「婚約を破棄する」
急にそんなことを言われても困る。
そういった意味を込めて私は、
「それは、死ぬ覚悟があってのことなのかしら?」
相手を試すようにそう言った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この作品は登場人物の名前は出てきません。
短編の中の短編です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子の心が離れたと気づいたのはいつだったか。
婚姻直前にも拘わらず、すっかり冷えた関係。いまでは王太子は堂々と愛人を侍らせていた。
愛人を側妃として置きたいと切望する、だがそれは継承権に抵触する事だと王に叱責され叶わない。
絶望した彼は「いっそのこと市井に下ってしまおうか」と思い悩む……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
瓦礫の上の聖女
基本二度寝
恋愛
聖女イリエーゼは王太子に不貞を咎められ、婚約破棄を宣言された。
もちろんそれは冤罪だが、王太子は偽証まで用意していた。
「イリエーゼ!これで終わりだ」
「…ええ、これで終わりですね」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
これは一周目です。二周目はありません。
基本二度寝
恋愛
壇上から王太子と側近子息達、伯爵令嬢がこちらを見下した。
もう必要ないのにイベントは達成したいようだった。
そこまでストーリーに沿わなくてももう結果は出ているのに。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる