上 下
506 / 673

442

しおりを挟む


 エリオットに連絡を取ってセディーと二人でフィールズ伯爵家にお礼をしに行ったら、エリオットのご両親に大歓迎されて、なぜか逆にお礼を言われましたよ。

「エルちゃんと仲良くしてくださって、本当にありがとうございます。エルちゃんが嬉しそうな顔をしていて、本当にっ……」
「あんなに学園に行くのを渋っていたエリオットが、お友達と遊びに行きたいと言うとは……」
「もうっ、なに言ってるんですかっ!? 恥ずかしいからやめてくださいよっ!?」

 涙を流して喜ぶルクレツィア夫人と、噛み締めるようにうんうん頷くフィールズ伯爵。二人の様子に顔を赤くして恥ずかしそうにしているエリオット。

 相変わらず、フィールズ伯爵家は家族仲がいいようです。

「お父様とお母様はあっち行っててください!」

 と、またもやエリオットに追い出される夫妻。前も見た光景だなぁ。

「はぁ……えっと、すみません。その、僕、お友達が少なくて……それでその、ハウウェル先輩とセディック様がまたうちに来てくれたので、お父様とお母様が感激しちゃったみたいで……」
「ふふっ、まぁ、僕もネイトがお友達と仲良くしているのを見ると嬉しくなりますからねぇ」

 クスリと笑うセディー。

 まぁ、恥ずかしそうにするエリオットの気持ちもわからなくはない。わたしも、うちにアホ共が来たときのお祖父様とおばあ様、セディーの微笑ましいという視線が気恥ずかしかったから。

 それからエリオットとお茶をして、ターシャおば様に招待されていることを話すと、

「ターシャおばあ様は、ハウウェル先輩とダンスをするつもりなのかもしれないですね……」

 思案げに言うエリオット。

「え? ターシャおば様がダンス? 大丈夫なんですか?」

 心配そうな顔をするセディー。

「一応、スタンダードワルツは実際に僕がペアを組んでちゃんと踊れることを確認して、その上でハウウェル先輩と踊る為に張り切って練習もしているんですけど・・・やっぱり、僕も行きます。おばあ様が無茶をするようなら、がんばって止めますっ」
「エリオット君が一緒なら、心強いよ」

 と、フィールズ公爵家に一緒に行く約束をした。

 日程を決めて、フィールズ公爵家の方へ連絡。

 翌日。それならいっそのこと、『皆さんでお茶会を開きましょう』というお返事が。

 参加者はハウウェル兄弟わたしとセディー、ターシャおば様、エリオット、セルビア姉弟ケイトさんとリヒャルト君フィールズ姉妹フィールズ嬢とルリア嬢と、なんだかちょっと規模が大きくなってしまった気がする。

 案内状には、『よろしければ、ネヴィラ様もどうぞ』と書かれていたけど、

「参加人数が多いみたいだから遠慮します。あなた達二人で行ってらっしゃいな」

 と、おばあ様は苦笑。

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰


 すみません、夏バテです。(´ε`;)ゞ

 暑くてやる気が……というワケで、テンションを上げるために『カミに愛されし聖女との婚約を破棄するっ!?』というアホな短編を投稿しました。

 前中後の3話で完結してます。気になった方は、月白ヤトヒコの作品リンクから覗いてやってください。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──

今更「結婚しよう」と言われましても…10年以上会っていない人の顔は覚えていません。

ゆずこしょう
恋愛
「5年で帰ってくるから待っていて欲しい。」 書き置きだけを残していなくなった婚約者のニコラウス・イグナ。 今までも何度かいなくなることがあり、今回もその延長だと思っていたが、 5年経っても帰ってくることはなかった。 そして、10年後… 「結婚しよう!」と帰ってきたニコラウスに…

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

処理中です...