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しおりを挟むもしかしたら、体調を崩すかもしれないなぁ……と。
そして案の定、熱発した。
ということをエリオットに伝えると・・・
「だ、大丈夫なんですかっ!?」
「そんな具合悪いのか?」
「ふむ……病院へ運ぶか?」
心配そうな顔をわたしへ向ける面々。
「ああ、大丈夫だよ。あんまり休憩を取らない強行軍で来たから、多分……」
「多分、なんですか?」
「全身筋肉痛での熱発だと思う」
「へ? 筋肉痛?」
「うん。セディー、普段あんまり運動しないから。なのに、急いでこっち来たみたいで。慣れない長距離移動で、全身筋肉痛かな? って。テッドもリールも、こっち着いてから少し具合悪そうにしてたでしょ? あれと似たような感じだよ」
ただ、二人よりもセディーが体力なかっただけで。
「成る程」
「あれ、結構つらいんですよね……大丈夫でしょうか?」
「まぁ、ちょっと迷惑掛けるかも。ごめんね?」
「いえ、ハウウェル先輩もセディック様も悪くないですから、謝らないでください。強いて言えば、お天気のタイミングが悪かっただけですから。全然気にしないでくださいねっ?」
「……ハウウェルは、大丈夫か?」
「うん。ありがと。それじゃ、わたしは部屋に戻るから」
そう言って部屋へ戻ると、少しくたびれた感じのライアンさんが心配そうな顔でドアの前に立っていた。
「ネイサン様、セディック様は」
「ああ、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。多分、慣れない長距離移動での全身筋肉痛だと思いますから。数日も休めば動けるようになります。それより、ライアンさんも休んでください。ここに来るまで、ずっと休んでいないでしょう? セディーが動けるようになるまで、お休みにしてください」
「セディック様の看病はどうするおつもりですか?」
「わたしがするので大丈夫です」
「そうですか……わたしが付いていながら、申し訳ありませんでした」
「いえいえ、今回は自分の体力を考えなかったセディーが悪いんですよ」
「それでも、わたしがセディック様をお諫めすべきでした」
ああ、ライアンさんは本当にセディーのことをよく考えてくれているんだなぁ。と、少し嬉しくなってしまった。
「では、また今回みたいに無茶したときにはセディーを諫められるようになってくださいね?」
「精進します」
「なら、ライアンさんもゆっくり休んでくださいね? セディーに続いてライアンさんにまで体調を崩されては困ります」
「わかりました。では、失礼します。ネイサン様も、あまりご無理はしないでくださいね」
「わかっていますよ」
と、ライアンさんを見送って室内へ。
セディーの荷物を勝手に漁って着替えさせていると、
「? あれ、ネイト?」
ぼんやりしたブラウンがとろんと開く。
「うん。セディー、起きられる? 水飲もうか?」
「みず?」
「うん。喉渇いてなくても水分は摂った方がいいからね。それとも、水じゃなくてなにか甘いものとかミルクの方がいい?」
「みず」
「ちょっと待ってね?」
と、コップへ水を注いでセディーへ飲ませる。
もっと飲むかと聞くと、ううんと首を振ってまた寝てしまった。
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