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しおりを挟む「ん? それ、とはどれのことだ?」
ニヤリと人の悪い笑み。この野郎……
「とりあえず、襲撃やらなにやらは来ないってこと前提でいいんだよね?」
「ああ。連中も、異国の権力者のお膝元で無茶をしようとはすまい」
「それにしても・・・君を即位させる、ねぇ? 大丈夫なの? その連中の頭とか」
キアンは、その置かれた特殊な環境と生い立ちのせいか、どこか生死について達観しているところがある。『自分が死んでも誰も悲しまない』、と。そうやって自分の命を軽く見る者が、為政者に向いているとは思えない。
それになにより、コイツは変人だ。幾ら占いが得意でその的中率が高いとは言え、厄介な追手に追われている最中、その道行きを単なる棒倒しだけで決めるなど、わたしからすると正気の沙汰ではない。
普通の人にはよくわからない独特の基準で動く、なんとも酔狂な奴だ。
「相変わらず、麗しい顔で毒を吐く」
「顔は関係無いでしょ」
「まぁ、あれだ。亡き母上が相当に優秀で、そのせいで俺への期待値がやたら高いか、傀儡の王を欲する者がいるのか、今の王冠を頂く者が余程の愚物か……いずれにしろ、俺は知ったことではないがな」
ふん、と冷ややかな顔が嫌そうに鼻を鳴らす。
「そう。それじゃあ、君はもう寝なよ。体調悪いんでしょ? この部屋に泊まってあげるから、お休み」
と、話を打ち切る。
「ほう、共寝でもしてくれるのか? 麗しき同志よ」
「はいはい、頭沸いてる奴はさっさと寝る。眠れないなら、鳩尾か顎に一発食らわせるけど? それとも締め落とされたい? 勿論、やるのはわたしじゃなくてレザンだけど」
「ふむ……いいだろう」
「小動物と同志は兎も角、さすがに屈強なる剣士相手では分が悪いな」
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