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「え? こないだってなにっ?」

 なぜか食い付くテッド。

「ああ、この前、フィールズ公爵邸に呼ばれたときにダンスレッスンをしたんだよ。そのとき、エリオットはフィールズ姉妹やケイトさんとも踊っていて、全然怖がってなかったから」
「はあっ!? おまっ、部長とっ? そして元婚約者のお嬢さんとダンスだとっ!? うらやましいじゃねーかこの野郎っ!!」
「うむ。確かに、踊っていたな」
「あ、ちなみにレザンもケイトさんと踊ったから」
「お前もかっ!!」

 よし、テッドの矛先がレザンに向いた。今のうちにエリオットと話そう。

「で、まだ女の子が怖いの?」
「ぅうっ、そんなかんたんに、いきなりこわくなくなったり、しませんよぉ……」

 まぁ、長年染み付いた恐怖や苦手意識は、そう簡単には拭えないか……

「でも、それだと大変だよ?」
「……なにが、たいへんなんですか?」
「交流会の時期は、パートナーを探す女子生徒達がギラ付いた目で追い掛けて来るから。わたしも、去年の今頃は毎日女子生徒達に追い掛けられて大変だったし」

 毎日、お断りや逃げ隠れしていた。

「ひぅっ!?」

 わたしの話に、がたがたとまた震え出すエリオット。どうやら、フィールズ姉妹やケイトさん以外の女の子はまだ怖いらしい。

「まぁ、ケイトさんがパートナーになってくれたから、しつこい女子生徒達も諦めてくれたけど。それで、わたしはこれからケイトさんにパートナーをお願いするつもり」
「ケイトさまに……?」
「そ。一応、あれね。交流会に出ないとか言っても、女子生徒達はしつこく追い掛けて来るから。出る出ないにかかわらず、パートナーがいると言って断る方がいいよ」

 偶に、パートナーを代わってくださいとか言い出す女子もいるけど……今は、それは言わないでおこう。

「……ぱ、パートナーの宛が、全くありませんっ!? どうしたらいいですかっ? ハウウェル先輩っ!?」

 ガッと詰め寄られる。

「まぁ、無難なのはフィールズ嬢に頼んでみることじゃない?」
「ふぇ? レイラちゃんに、ですか?」
「婚約者の姉君だし。君の、元婚約者でもあるけど……」
「えっと、レイラちゃんは今、婚約者がいないから、僕がパートナーになっちゃったら、レイラちゃんに迷惑だったりとか……しませんか?」
「や、それをわたしに聞かれてもね? 一応、ターシャおば様がフィールズ嬢の婚約者は見繕うって張り切っていたから、大丈夫なんじゃない? とりあえず、聞くだけ聞いてみれば? 女子生徒に追い掛けられるの、怖いんでしょ? 案外、快く引き受けてくれるかもよ?」
「ぁぅ~……はい、そうしてみます」

 と、泣きやんだエリオットと、馬場へ向かった。

 ちなみに、リールは図書館へ向かう途中だったらしく、やれやれと溜め息を吐いて図書館へ向かって行った。

 そして、ケイトさんにパートナーを申し込み、受けてもらった。

 不機嫌なテッドが益々不機嫌になって、鬱陶しかった。交流会の時期にピリ付くの、どうにかならないかな? 全く・・・

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