虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
428 / 673

373

しおりを挟む


 ケイトさんに元気よく返事を返すリヒャルト君とルリア嬢。

「では、もう一度お手本を見せようと思いますので、わたくしとレイラ様が踊っている姿を見て、気付いたことを教えてくださいね?」
「ピョンピョンですかっ?」
「ふふっ、今度のお手本はスタンダードワルツですよ。フィールズ様とレイラ様が最初に踊ったダンスです」
「もう一度、エル兄様とレイラ姉様で踊るのですか?」
「そうですね。一度目は、フィールズ様とレイラ様。そして、わたくしとネイサン様のペア。二度目は、組み合わせを変えて踊ります。宜しいでしょうか?」

 と、ケイトさんがわたし達へ確認。

「ええ」
「はいっ」
「? ええ、わかりました」
「では、セディック様。ピアノをお願いします」
「はい」

 と、ケイトさんとわたし、エリオットとフィールズ嬢のペアでスタンダードワルツを踊った。

「では、組み合わせを変えて踊ってみますね? 今度は……クロフト様とレイラ様で」
「え?」
「俺が嫌でしたら、ハウウェルにしますか?」

 驚きの声を上げたフィールズ嬢に、わたしを示すレザン。

 まぁ、本人も自覚している通り、奴は長身で目付きが悪い。割と威圧的な見た目をしている。テッドいわくの『強面イケメン』とやららしいけど……性格的にはとぼけた脳筋な奴で、悪い奴ではない。でも、それは付き合ってみないとわからないことだ。初対面や、あまり付き合いの無い女性にはレザンは受けが悪いだろう。

「あ、いえっ。そんなことはありません。宜しくお願いします、クロフト様」

 慌てて否定して、頭を下げるフィールズ嬢。

「フィールズ様は……わたくしと踊って頂けますか?」
「あ、はいっ」
「その……お嫌でしたら、わたしとクロフト様で踊ろうと思うのですが」

 気遣うようにエリオットを見やるケイトさん。

「ケイト様なら大丈夫ですっ!」
「そうですか。では、宜しくお願いします」
「はいっ」

 と、今度はレザンとフィールズ嬢。エリオットとケイトさんのペアが踊る。

「では、今見たことでなにか気付いたことはありますか?」
「はいっ!」
「では、教えてください。リヒャルト」
「はいっ、ケイトねえさまのほうがじょうずでしたっ!」
「そうですね。レイラ姉様よりも、ケイト先生の方が上手いと思いました」
「・・・」
「あ、レイラちゃんが落ち込んだ」
「落ち込んでないわよっ!」
「まぁ、何度も踊った後だからね。疲れもあったんじゃない?」

 素直なリヒャルト君と、率直なルリア嬢の意見にしょんぼりとするフィールズ嬢。そして、フォローを入れるエリオット。

 まぁ、ケイトさんは普通の令嬢よりも鍛えているので、多分体力や体幹、身体の使い方などの違いもあるでしょうね。

「ダンスは得意不得意がありますからね。他に気付いたことはありますか?」

 苦笑して、授業を続けるケイトさん。

「ほか……? あ、レイラねえさまのほうがなかよしさんですっ!」
「? レイラ姉様の方が仲良し?」
「ふふっ、いいところに気付きましたね、リヒャルト」
「? わたくしの方が仲良し? どういう意味でしょうか?」

 ケイトさんに誉められて嬉しそうな顔をするリヒャルト君。そして、フィールズ嬢の方が仲良しという意味がわからなくて首を傾げるフィールズ姉妹。

 まぁ、フィールズ嬢がレザンになにか話しているような気はしたけど・・・多分、わたしに謝ったように、レザンに謝っていたんじゃないかな? それは仲良しとは言えないよね。

「レイラちゃんが仲良し?」

しおりを挟む
感想 175

あなたにおすすめの小説

残念ながら、定員オーバーです!お望みなら、次期王妃の座を明け渡しますので、お好きにしてください

mios
恋愛
ここのところ、婚約者の第一王子に付き纏われている。 「ベアトリス、頼む!このとーりだ!」 大袈裟に頭を下げて、どうにか我儘を通そうとなさいますが、何度も言いますが、無理です! 男爵令嬢を側妃にすることはできません。愛妾もすでに埋まってますのよ。 どこに、捻じ込めると言うのですか! ※番外編少し長くなりそうなので、また別作品としてあげることにしました。読んでいただきありがとうございました。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。

haru.
恋愛
「今ここに、17年間偽られ続けた真実を証すッ! ここにいるアクリアーナは本物の王女ではないッ! 妖精の取り替え子によって偽られた偽物だッ!」 17年間マルヴィーア王国の第二王女として生きてきた人生を否定された。王家が主催する夜会会場で、自分の婚約者と本物の王女だと名乗る少女に…… 家族とは見た目も才能も似ておらず、肩身の狭い思いをしてきたアクリアーナ。 王女から平民に身を落とす事になり、辛い人生が待ち受けていると思っていたが、王族として恥じぬように生きてきた17年間の足掻きは無駄ではなかった。 「あれ? 何だか王女でいるよりも楽しいかもしれない!」 自身の努力でチートを手に入れていたアクリアーナ。 そんな王女を秘かに想っていた騎士団の第三師団長が騎士を辞めて私を追ってきた!? アクリアーナの知らぬ所で彼女を愛し、幸せを願う者達。 王女ではなくなった筈が染み付いた王族としての秩序で困っている民を見捨てられないアクリアーナの人生は一体どうなる!? ※ ヨーロッパの伝承にある取り替え子(チェンジリング)とは違う話となっております。 異世界の創作小説として見て頂けたら嬉しいです。 (❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾ペコ

〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。

藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。 どうして、こんなことになってしまったんだろう……。 私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。 そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した…… はずだった。 目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全11話で完結になります。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?

処理中です...