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しおりを挟むケイトさんに元気よく返事を返すリヒャルト君とルリア嬢。
「では、もう一度お手本を見せようと思いますので、わたくしとレイラ様が踊っている姿を見て、気付いたことを教えてくださいね?」
「ピョンピョンですかっ?」
「ふふっ、今度のお手本はスタンダードワルツですよ。フィールズ様とレイラ様が最初に踊ったダンスです」
「もう一度、エル兄様とレイラ姉様で踊るのですか?」
「そうですね。一度目は、フィールズ様とレイラ様。そして、わたくしとネイサン様のペア。二度目は、組み合わせを変えて踊ります。宜しいでしょうか?」
と、ケイトさんがわたし達へ確認。
「ええ」
「はいっ」
「? ええ、わかりました」
「では、セディック様。ピアノをお願いします」
「はい」
と、ケイトさんとわたし、エリオットとフィールズ嬢のペアでスタンダードワルツを踊った。
「では、組み合わせを変えて踊ってみますね? 今度は……クロフト様とレイラ様で」
「え?」
「俺が嫌でしたら、ハウウェルにしますか?」
驚きの声を上げたフィールズ嬢に、わたしを示すレザン。
まぁ、本人も自覚している通り、奴は長身で目付きが悪い。割と威圧的な見た目をしている。テッド曰くの『強面イケメン』とやららしいけど……性格的にはとぼけた脳筋な奴で、悪い奴ではない。でも、それは付き合ってみないとわからないことだ。初対面や、あまり付き合いの無い女性にはレザンは受けが悪いだろう。
「あ、いえっ。そんなことはありません。宜しくお願いします、クロフト様」
慌てて否定して、頭を下げるフィールズ嬢。
「フィールズ様は……わたくしと踊って頂けますか?」
「あ、はいっ」
「その……お嫌でしたら、わたしとクロフト様で踊ろうと思うのですが」
気遣うようにエリオットを見やるケイトさん。
「ケイト様なら大丈夫ですっ!」
「そうですか。では、宜しくお願いします」
「はいっ」
と、今度はレザンとフィールズ嬢。エリオットとケイトさんのペアが踊る。
「では、今見たことでなにか気付いたことはありますか?」
「はいっ!」
「では、教えてください。リヒャルト」
「はいっ、ケイトねえさまのほうがじょうずでしたっ!」
「そうですね。レイラ姉様よりも、ケイト先生の方が上手いと思いました」
「・・・」
「あ、レイラちゃんが落ち込んだ」
「落ち込んでないわよっ!」
「まぁ、何度も踊った後だからね。疲れもあったんじゃない?」
素直なリヒャルト君と、率直なルリア嬢の意見にしょんぼりとするフィールズ嬢。そして、フォローを入れるエリオット。
まぁ、ケイトさんは普通の令嬢よりも鍛えているので、多分体力や体幹、身体の使い方などの違いもあるでしょうね。
「ダンスは得意不得意がありますからね。他に気付いたことはありますか?」
苦笑して、授業を続けるケイトさん。
「ほか……? あ、レイラねえさまのほうがなかよしさんですっ!」
「? レイラ姉様の方が仲良し?」
「ふふっ、いいところに気付きましたね、リヒャルト」
「? わたくしの方が仲良し? どういう意味でしょうか?」
ケイトさんに誉められて嬉しそうな顔をするリヒャルト君。そして、フィールズ嬢の方が仲良しという意味がわからなくて首を傾げるフィールズ姉妹。
まぁ、フィールズ嬢がレザンになにか話しているような気はしたけど・・・多分、わたしに謝ったように、レザンに謝っていたんじゃないかな? それは仲良しとは言えないよね。
「レイラちゃんが仲良し?」
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