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しおりを挟む筋肉痛があまり痛まなくなって来た今日この頃。
セディーから速達で手紙が届いた。
速達で来た手紙に、一体なにがあったんだろう? と少し心配になって封を切ると――――
今週末の休日は帰って来てほしいとのこと。なにやら、ルリア嬢とリヒャルト君へ勉強を教える中で少し困ったことがあるので、一緒にフィールズ公爵邸に出向いてほしいのだとか。そして、なるべくならエリオット。そして、できるならレザンも一緒に来てくれると助かる……という内容の手紙だった。
セディーが困っているなら、そしてわたしを頼っているならと、今週末は帰ることに決めた。そして・・・
「エリオット」
「はい、なんですか? ハウウェル先輩」
「セディーがルリア嬢に勉強を教えていることは知ってるよね?」
「あ、はい。セディック様の教え方は丁寧でわかり易いって、ルリアちゃんが言ってました。ありがとうございますっ」
「お礼ならセディーにね。で、そのお勉強会で、セディーが君とわたしに手を貸してほしいことがあるみたい。今週末、フィールズ公爵邸に来てって」
「わかりましたっ!」
と、エリオットは快諾。
「それで、レザン。週末の君の予定を聞いても?」
「うん? まあ、いつも通りに鍛錬だな」
「それじゃあ、君も付き合って」
「ふむ・・・いいだろう」
レザンが頷くと、
「お、なになに? なんの話?」
テッドがやって来た。
「えっと、フィールズ家の方でお勉強会のお話です」
「え? なにそれズルいっ! 勉強会なら俺も誘えよなー」
「……テスト勉強なら、俺も参加するのに吝かではない」
「ぁ~……今回のは多分、学園の勉強じゃなくて貴族当主としての勉強会だと思う。エリオットの家の方じゃなくて、フィールズ公爵家の方だし」
「あ、俺パス」
「……行って来い」
と、テッドとリールに見送られて、うちに帰った週末。
金曜日はセディーに構われて・・・
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰
土曜日。
「ねぇ、セディー」
「なぁに? ネイト」
「今日ってなにするの?」
「ああ、今日は・・・」
セディーは、どことなく浮かない顔だ。
「行けばわかるよ。はぁ……」
と、溜め息。どうしたんだろう? と思いながら馬車に揺られて――――
フィールズ公爵邸にやって来ましたよ。
ちなみに、エリオットとレザンはフィールズ伯爵家の方から馬車を回してもらってフィールズ公爵邸に来るのだとか。
「ようこそいらっしゃいませ、セディックお兄様。ネイサンお兄様」
と、ルリア嬢にお出迎えされました。そして、通された場所で・・・
「セディーにいさまっ、ネイトにいさまっ! おひさしぶりですっ!」
きゃっきゃと走って来たリヒャルト君に飛び付かれました。
「はい、お久し振りですね。リヒャルト君」
「リヒャルト、いきなり飛び付いては危ないですよ! お怪我はありませんか? ネイサン様」
「はい、わたしは大丈夫ですよ」
「リヒャルト、ネイサン様にごめんなさいは?」
「ごめんなさい、ネイトにいさま」
ケイトさんに叱られてしょんぼりと謝るリヒャルト君。
「ふふっ、久し振りにネイトと会えたのが嬉しかったんですよね? リヒャルト君は」
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