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しおりを挟むなに今の笑顔……怖いんだけどっ!?
嬉々として向かって来るレザンを躱しつつ、立ち位置を調整して、ちょこちょこと動くエリオットを使ってレザンの動線を邪魔しながら、レザンを使ってエリオットの動きの邪魔をする。
理想的な連携って、実はかなり難しいんだよねぇ? 実力や気心が知れているからと言って、相手が自分の思うように動いてくれるとは限らないし。案外、味方の邪魔をしないように動くのは難しい。
さて、そろそろ避けてるだけじゃなくて反撃しますか。と、向かって来るエリオットの腕を掴み、
「うわわっ!?」
レザンの方へとぶん投げる。
「ハウウェルがフィールズ投げたっ!?」
「っと、大丈夫か? フィールズ」
「ふぁいっ!」
「よし」
と、自分に向かって投げられたエリオットを受け止め、地面へ降ろすレザン。
アイツ、実は結構優しいから投げられたり吹っ飛ばされた味方が怪我をしないよう、カバーしてやることが多いんだよね。飛んで来たのが敵なら、受け止めた後そのまま意識を刈ったりとかするけど・・・
それから、エリオットを投げたり腕や足を掴んで振り回したりしてレザンに当てたりして・・・そうやって相手の集中力と体力を削りながら、微妙に二人を苛立たせて自分の体力は温存。我ながら、性格が悪いと思う。
「またフィールズを投げたっ!? しかもレザンに当てるだなんて、なんて酷いことしやがるんだ、鬼畜だぞハウウェルっ!! 怪我させんなよなっ!!」
外野から酷い、鬼畜だとの声を浴び、
「フィールズばっか投げてないでレザンを投げてみろよなっ!?」
という声には、
「や、あれはさすがに重くて無理。持ち上げられないから」
と返す。レザンは長身且つ、バッキバキの身体をしている。デカくて重たい。本人の協力があればどうにか持ち上げることはできるかもしれないけど、模擬とは言え戦闘中の相手に、自分を持ち上げさせるようなへまはしないだろう。というか、普通に抵抗されるに決まっている。
それにわたしは、レザンを持ち上げる為に、自分からレザンに捕まりに行くような馬鹿はしない。
・・・でも、そうだな。エリオットばかり投げるのも可哀想だ。
エリオットを使ってレザンの動きを阻害して、奴の背後に回り込み、膝裏へ踏み付けるような蹴りをお見舞いする。必殺の体勢崩し、その名も膝カックン! だ。子供がイタズラでするような攻撃ではあるけど、体勢を崩すのにはかなり効果的な技ではある。
「っ!?」
「レザンが膝を着いたっ!?」
「レザン先輩っ!? って、え?」
レザンに気を取られたエリオットの腕を掴み、
「ふぇぇぇっ!?」
レザンへ向かってそのままぶん投げる。
「うっ、ぐっっ!?」
「ぁぅ~、すみませんレザン先輩」
さすがに体勢を崩した状態ではエリオットを受け止めるのは難しかったのか、二人が折り重なって倒れている。
「うわ、ひっでっ!? ハウウェルの鬼畜っ!! 大丈夫か二人共っ!?」
と、テッドが駆け寄って二人を起こす。
「うむ。この程度は……問題、無い。フィールズは怪我は無いか?」
「はい~……ちょっとあちこち痛いですけど、多分大丈夫です~……」
すくっと立ち上がるレザンに、よたよたと立ち上がるエリオット。
まぁ、あれだけぽんぽん投げられて、レザンにぶつけられているんだから、あちこち痛いのかもしれない。やったのはわたしなんだけどね?
「エリオットもへろへろみたいだし、今日はこれくらいにしない?」
「ふむ・・・いいだろう」
「はい~。ありがとうございました~」
と、お互いに怪我や痛いところはないかの確認をして、細かい傷に手当て。そして、確りとストレッチをして解散。
頭上でまとめていた髪を解いて、部屋へ戻った。
「ぁ~、つっかれた~」
汗を流しながら、痛む肩と腕を解す。レザンの本気気味の一撃を受け止めたり、重たいモノをぽんぽん投げて酷使した。ああ、明日からの筋肉痛が怖い・・・
それからテッドに、
「ハウウェルがあんなに酷い奴だとは知らなかったぞ。つか、フィールズを投げるとき笑ってて怖かったんだけど? あ、でもでも、ハウウェルが一対多数戦のが得意って言ってたのめっちゃわかったわー」
わーわーと騒がれながら夕食を食べて、部屋に戻って爆睡した。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰
投げられる方はもちろん、投げる方も大変。受け止める方も体力使います。(笑)
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