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しおりを挟む「ハウウェルの本気か~。なんかこう、腹黒さの出てる作戦だよなー」
なにやら、よくわからない納得をされている気がする。
でも、まぁ・・・これでもまだ、今日は上品な戦い方をしている方なんだけどね。
わたしの剣は、陰険で邪道だと専らの評判だ。
相手と正面から切り結ばず、相手のリズムや呼吸、集中を乱して力やスピードを削いだり、無駄に動かして体力を削ったり、同士討ちを狙うようないやらしい剣。更には、剣ではなくて拳や足が出たりもする。
一応、正統派な剣でちゃんと正々堂々戦うこともできる。けど、それだと普通に弱いのだから仕方ない。あの騎士学校では、弱い者は舐められて大変な目に遭う。自衛の為にも、汚い手だろうとなんだろうと使うしかなかった。強者だとは思われなくても、弱者ではないと示すことが肝要……だった。
でも、今のわたしは騎士学校卒の一般人だ。そこまで必死にならなくてもいい。
暴力のあんまり無い学園最高!
「剣も折れちゃったし、今日はここまでということで」
「なにを言う、ハウウェル。まだ始まったばかりだぞ? 剣が折れたのなら、組手でもしようではないか。それに、フィールズは素手の方が得意だっただろう?」
「はいっ、レザン先輩覚えててくれたんですねっ」
と、きらきらした顔でレザンを見上げるエリオット。
「それじゃあハウウェル先輩、行きましょうっ!」
「え~……」
「なんだよ、まさかフィールズを一人でレザンに向かわせる気かよハウウェルっ!」
これはもしかして、逃げられないやつだろうか?
「ふむ・・・それなら、俺の方から行くとしよう」
そう言うや言わずや、
「っ!?」
振り抜かれる拳を慌てて避ける。
「いきなりかよっ!?」
「反応できているではないか」
「さすがですねっ、ハウウェル先輩!」
や、さすがとかじゃない。普通に当たると痛いから避けただけだ。
「顔はやめとけよっ!」
「うむ。善処しよう。では、フィールズもハウウェルを狙え」
「はいっ、今度はレザン先輩と僕が組むんですねっ!」
「ちょっ、エリオットっ?」
「行きますっ!」
と、木剣を手放してイキイキとした顔で突っ込んで来るエリオット。
「ぁ~、ま、フィールズをレザンに向かわせるよりは、ハウウェルが二対一で困ってる方が安心して見れる……ような気がする! がんばれハウウェルっ!!」
なんか、外野が無責任なことを言ってやがるっ!?
「ハッ!」
向かって来るエリオットの横合いから、レザンが向かって来ている。挟撃するつもりのようだ。逃げるな、と態度で示しているのだろう。
「・・・ああもうっ、まとめて掛かって来いっ!!」
ヤケクソ気味で言うと、ニヤリと獰猛に笑うレザンの顔が見えた。
なに今の笑顔……怖いんだけどっ!?
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