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番外。ルリア視点。8
しおりを挟む大きいお姉様達の騒ぎは兎も角、ルリはミラ姉様の結婚式で、ひそひそと聴こえて来たお話のことが気になります。
どこのおうちの方なのかはよく聴き取れませんでしたが、
「…………令嬢、婚約を解消したらしいわよ」
「まあ、あの方って、伯爵家の跡取りとして育てられていた方でしょう?」
「ええ、跡取りとして育てられていたのに、弟君がお生まれになったからと次期当主から外されて、お可哀想に」
「今更、他家へ嫁ぐのも難しいのではないかしら?」
と、可哀想と口では言いながらも、イジワルそうな響きの声でした。
彼女達のイジワルそうな話し方はひとまずおいておいて。ルリが気になったのは、伯爵家の跡取りとして育てられていた令嬢がいるというところです。
お話によると、女の子が、次の当主として、爵位を継ぐことができるそうなのです。
ということは・・・お祖父様は、公爵位をエル兄様に継がせたいと思っているみたいですが、レイラ姉様やルリが、公爵位を継ぐことも可能だということなのですっ!
だから、ルリは調べてみることにしました。
おうちの書庫に通って本をあれこれ捲って調べてみると、やっぱり女の子でも爵位を継ぐことはできるのです。実際に、女性で爵位を引き継いだ方は少ないようですが・・・ちゃんと前例があるのです!
一族の方が次々と死に絶えて、残った女性が仕方なく爵位と家を継いだというお話。……これはだめですね。ルリは、みんなが元気でいてほしいのです。
一族男子が碌でもない人物で、悪いことばかりするので、王族から女性が直々に任命されたというお話。国の介入。これも参考になりません。お祖父様も、次の公爵になるお父様も、ルリのおうちは悪いことはしないのです。
あとは、そうですね。おうちの乗っ取りを防ぐために、婿入りした旦那様でなくて、直系女性が爵位を継いだというお話。そして、一族の誰よりも優秀だという女性が爵位を継ぐお話・・・
これですっ!
とっても優秀で、誰が見てもこの人が継いだ方がいい! と思われるようになれば、女性でも爵位が継げるようなのです。
誰が見てもとっても優秀・・・は、レイラ姉様にはちょっと難しいかもしれません。レイラ姉様は、ちょっとうっかりさんで鈍いところがありますからね。公爵夫人としても、ちょっと危うい気が・・・
ということで、ルリが優秀だと示して、女の子でも大丈夫だとお祖父様に思わせればエル兄様が公爵位を継ぐ……レイラ姉様と、渋々ながらに結婚をしなくて済むのです!
レイラ姉様と結婚したら、エル兄様がレイラ姉様にビクビクしながら暮らすのが、目に見えているのです。だから、そんな風にならないように、ルリは頑張ります!
と、決意をしたので……早速行動です。
「ルリはたくさんおべんきょうがしたいです!」
そうおばあ様にお願いをして、家庭教師を付けてもらいました。
まずは、家庭教師の先生にルリを優秀だと思ってもらうのです!
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