虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
400 / 673

354

しおりを挟む


「まさか、あなたをそんなに追い込んでいただなんて、全然思ってなかったの」

 姉君達の口から語られたのは、謝罪の言葉。

 なんでも、ポートレイ夫人……ロザリア様は、エリオットが生まれる前までは女子しかいないフィールズ伯爵家の、嫡子としての教育をある程度受けていたそうで、下の妹君達が楽しく遊んでいるのを尻目に、厳しい教育に泣くこともしばしば。

 まぁ、嫡子教育って、男子が普通に受けるよりも、淑女教育も平行して受けなくてはいけない女子の方が、色々とやることは多いようですからね。そして、嫡子教育と淑女教育とで相反する教えもあったりして、混乱もしたのだとか。

 ケイトさんは本当に凄いです。

 ちなみに、ロザリア様が泣いているのを間近で見ていた為、ミラベル様は次期伯爵となるべく頑張っている当時のケイトさん(まだリヒャルト君が生まれる前)のことを気に掛けていたのだとか。

 そして、嫡子としての教育が本格的になる前にエリオットが誕生し、エリオットが嫡男となったことでロザリア様は厳しい教育から解放され、「今までできなかった女の子の遊びをしよう!」「妹達を可愛がろう!」というのがはっちゃけてしまったとのこと。

 色々とはっちゃけ過ぎだと思います。

 そして、自分が嫡子としての教育に泣く思いをしたのだから、エリオットには気晴らしをさせてあげようと、自分がしたかった遊びに誘って付き合わせていたのだとか。

「お恥ずかしい話ですが……わたくし、セルビア伯爵令嬢やエリー程にはできが良くなくて……自分が嫌だったから、エリーもきっと嫌なんだろうと思って……楽しく遊んでいるつもり、だったの……」

 そして、一番上のロザリア様がそうやって遊ぶのを見ていた、ユージェニー様とミラベル様も、エリオットと……いや、エリオット遊ぶようになった、と。

「お父様とお母様は、わたくしに厳しくしていたという負い目があったのか、わたくしにあまり強くものを言うことがなくて……」
「それに……その、エリーがとっても可愛くて……」
「ええ、だって、髪はサラサラで、つやつやもちもちのほっぺた、長い睫毛……その辺の女の子よりよっぽどエリーの方が可愛いんですものっ!」
「着飾ったら、どんどん可愛くなって行って……」
「楽しくってやめられなかったの。ごめんなさい」

 ぁ~……まぁ、女の子というのはお洒落が好きなものらしい。一応、お洒落に興味の無い女の子もいるとは思うけど。

 昔。お出掛けの前に、リボンやワンピースを真剣な顔で選んでいたスピカを思い出すなぁ。「ねえさま、どっちがスピカににあいますか?」って聞かれて、「どっちも似合うよ」って答えて……迷いに迷ったスピカは結局、別のものを選んでいた記憶がある。そして、「ねえさまも、スピカとおそろいです!」と同じ色のリボンを付けるように言われたりとか。

「エリーが……エリオットが男の子だってことを、すっかり忘れてしまっていたの」

しおりを挟む
感想 175

あなたにおすすめの小説

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?

処理中です...