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しおりを挟む「まさか、あなたをそんなに追い込んでいただなんて、全然思ってなかったの」
姉君達の口から語られたのは、謝罪の言葉。
なんでも、ポートレイ夫人……ロザリア様は、エリオットが生まれる前までは女子しかいないフィールズ伯爵家の、嫡子としての教育をある程度受けていたそうで、下の妹君達が楽しく遊んでいるのを尻目に、厳しい教育に泣くこともしばしば。
まぁ、嫡子教育って、男子が普通に受けるよりも、淑女教育も平行して受けなくてはいけない女子の方が、色々とやることは多いようですからね。そして、嫡子教育と淑女教育とで相反する教えもあったりして、混乱もしたのだとか。
ケイトさんは本当に凄いです。
ちなみに、ロザリア様が泣いているのを間近で見ていた為、ミラベル様は次期伯爵となるべく頑張っている当時のケイトさん(まだリヒャルト君が生まれる前)のことを気に掛けていたのだとか。
そして、嫡子としての教育が本格的になる前にエリオットが誕生し、エリオットが嫡男となったことでロザリア様は厳しい教育から解放され、「今までできなかった女の子の遊びをしよう!」「妹達を可愛がろう!」というのがはっちゃけてしまったとのこと。
色々とはっちゃけ過ぎだと思います。
そして、自分が嫡子としての教育に泣く思いをしたのだから、エリオットには気晴らしをさせてあげようと、自分がしたかった遊びに誘って付き合わせていたのだとか。
「お恥ずかしい話ですが……わたくし、セルビア伯爵令嬢やエリー程にはできが良くなくて……自分が嫌だったから、エリーもきっと嫌なんだろうと思って……楽しく遊んでいるつもり、だったの……」
そして、一番上のロザリア様がそうやって遊ぶのを見ていた、ユージェニー様とミラベル様も、エリオットと……いや、エリオットで遊ぶようになった、と。
「お父様とお母様は、わたくしに厳しくしていたという負い目があったのか、わたくしにあまり強くものを言うことがなくて……」
「それに……その、エリーがとっても可愛くて……」
「ええ、だって、髪はサラサラで、つやつやもちもちのほっぺた、長い睫毛……その辺の女の子よりよっぽどエリーの方が可愛いんですものっ!」
「着飾ったら、どんどん可愛くなって行って……」
「楽しくってやめられなかったの。ごめんなさい」
ぁ~……まぁ、女の子というのはお洒落が好きなものらしい。一応、お洒落に興味の無い女の子もいるとは思うけど。
昔。お出掛けの前に、リボンやワンピースを真剣な顔で選んでいたスピカを思い出すなぁ。「ねえさま、どっちがスピカににあいますか?」って聞かれて、「どっちも似合うよ」って答えて……迷いに迷ったスピカは結局、別のものを選んでいた記憶がある。そして、「ねえさまも、スピカとおそろいです!」と同じ色のリボンを付けるように言われたりとか。
「エリーが……エリオットが男の子だってことを、すっかり忘れてしまっていたの」
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