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しおりを挟む「そ、そんなっ、助けてくれないんですかっ!?」
「あのね、助けるって、誰から誰を?」
「ね、姉様達から、僕、を……」
半泣きの顔を見据え、
「落ち着きなよ。今、ここはどこで、なにをしている場所?」
ゆっくりと訊ねる。
「えっと、フィールズ公爵家の、ガーデンパーティー? です……」
「そうだね。その、祝いの席の主役の一人である君に、君の姉君達がなにをするワケ? 人目があるんだから、滅多なことがある筈ないでしょ。なにか言われるにしても、どうせ下手なことを言って困るのは君じゃなくて姉君達の方なんだから。君は堂々としてればいいんだよ」
「ふぇ?」
「だから、姉君達を怖がる必要は無いってこと」
「姉様達を、こわがらなくて、いい……?」
「そう言ってるでしょ。今、君がしなきゃいけないのは、わたしに助けを求めることじゃない。ルリア嬢の隣に立って、姉君達からのお祝いの言葉を受けるべきでしょ」
わたしに助けを求めるのは、次期公爵候補(ルリア嬢が当主に立候補している状態は周知されていないので、対外的にはまだエリオットが公爵候補)としては失格だ。けど、ルリア嬢の背中に隠れなかったことについては、誉めてやってもいい。年下の婚約者を持つ者同士の誼として。
「そ、そ、そうなんですかっ!?」
「そうなんだよ。というか、身内同士のあれこれに、他人のわたしを巻き込むのってどうなの?」
「ハウウェル先輩は他人なんかじゃありませんよっ、頼れる先輩ですっ!」
「・・・ほら、人に頼っちゃ駄目な部分って、少なからずあるよね?」
「そんなこと言わないでくださいっ!! な、ならせめて手を握ってていいですか?」
「は? なに言って……」
断ろうと口を開く前に、いつもよりも冷えた手に、手を掴まれてぎゅっと強く握られる。そんなやり取りをしていると・・・
「エリー・・・」
緊張したような面持ちの女性が、エリオットを呼んだ。
「っ!? ろ、ローザ姉様……」
ビクッとして下がろうとする仕種。握られた手を、逃げるなという意図でぐっと掴み返し、エリオットをこの場に留める。
小さく返し、エリオットの姉君方へ微笑む。
「初めまして。わたしはアナスタシア様の友人のネヴィラ・ハウウェルの孫。ネイサン・ハウウェルと申します。エリオットとは一つ学年が違いますが、騎士学校時代からの知人です」
「そ、そこは友人か、せめて可愛がってる大事な後輩って言ってくださいよっ」
言い返すエリオットの図々しい言葉に、
「エリーの、友人……」
どこかほっとしたような、少し泣きそうに顔を歪める女性。
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