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しおりを挟むエリオットの家でのお茶会から少し経って――――
公爵家のガーデンパーティーにお呼ばれされてしまいました。
お祖父様とおばあ様、セディーとケイトさん。そしてわたしも参加です。
セディーはケイトさんをセルビア家まで迎えに行くので、行き帰りと別の馬車で行動。
広い公爵邸の、美しく整えられ、華やかに飾り付けされた庭園。
招待されていたのはそう多い人数ではないようですが、お祖父様曰く、フィールズ公爵家の重要な取引相手が参加しているとのこと。
そこで、色々な発表がありました。
まずは、フィールズ公爵位の譲渡の発表。フィールズ公が、これまで公爵補佐をしていたご子息(フィールズ嬢の父君)へと爵位を譲るとのこと。
それから、レイラ・フィールズ嬢とエリオットとの婚約の見直しで、その妹君のルリア嬢との婚約の発表。実質上の婚約者のすげ替え。レイラ・フィールズ嬢には、新しい婚約者を吟味中とのこと。
新フィールズ公爵、そしてエリオットとルリア嬢の婚約のお披露目。
ルリア嬢がまだ夜会へ出られる年齢ではないので、ガーデンパーティーで内々のお披露目となったようです。
緊張した面持ちのエリオットと、にこやかに微笑んで……嬉しそうにエスコートされているルリア嬢。この様子と、お披露目内容を見る限り、ルリア嬢はフィールズ公の説得には大成功したようですね。
やっぱり、エリオットよりもルリア嬢の方が公爵には向いている気がします。
セディーとケイトさんと合流。
それから、フィールズ公とフィールズ公爵にご挨拶をしに。
お祖父様とフィールズ公が話していると思ったら、
「ネイサン君」
名前を呼ばれて驚いた。
「君には感謝をしている。君のお陰で、レイラとエリオットの関係を見直すことができた。どうかこれからも、エリオットと仲良くしてほしい」
深く感謝をされ、エリオットをこれからも宜しくされてしまいましたよ。
「わたしで宜しければ」
と、答えるしかないですよねぇ・・・
「セディック君とセルビア嬢も、どうかエリオットとルリアの二人と仲良くしてやってくれ」
「ええ、喜んで」
「なにか困ったことがあったら手を貸そう」
「ありがとうございます」
セディーと二人、フィールズ公とご子息の公爵に、エリオットとルリア嬢を宜しく、と。握手をされました。
これでわたしとセディーは、フィールズ公とご子息の公爵公認の、エリオットのお友達決定です。
そしてセディーは、フィールズ公爵家に懇意にされている、という認識を得たことになります。あと、明確に次期侯爵という認識もかな? 今日はハウウェル子爵夫妻は呼ばれていないみたいだし。
それから、フィールズ公はニヤリと笑うお祖父様に話があるとかで、お祖父様とは一旦分かれて。セディーはケイトさんをエスコートして、わたしはお祖父様の代わりにおばあ様をエスコートして、ターシャおば様と公爵夫人にご挨拶です。
にこやかに笑うターシャおば様と公爵夫人を取り囲むご婦人方の輪の中へ入って行くと……
「は、ハウウェル先輩っ……」
と、潤っとした目と情けない声のアルトがわたしを呼んだ。
「エル兄様、笑顔です。ほら、笑ってください。ご挨拶しますよ」
すかさず、小さな声の注意。
「ぁぅ~……」
もう既に、エリオットは七つも離れた年下の婚約者の尻に敷かれているようだ。
「ふふっ、本日はご招待ありがとうございます。そしてフィールズ公爵令嬢、フィールズ伯爵令息とのご婚約、おめでとうございます」
微笑ましいという風にクスリと笑って、二人へ挨拶をするおばあ様。
「お祝いありがとうございます、ハウウェル侯爵夫人。わたくしのことはどうか、ルリアとお呼びくださいませ」
「では、ルリア様。わたくしのこともネヴィラと」
「はい、ネヴィラ様」
「ルリアさん、こちらは僕の婚約者のセルビア伯爵令嬢、ケイトさんです」
「初めまして、フィールズ公爵令嬢。ケイト・セルビアです」
「はじめまして。セルビア伯爵令嬢のお噂はかねがね。お会いできて光栄です」
と、ケイトさんとルリア嬢の顔合わせと挨拶。そこへ、
「あら~、ようこそいらっしゃいませ~。ネヴィラ様」
__________
2月13日分の更新は、350の次ではなくて、325と326の間に番外として割り込みで更新しました。
『虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い』の表紙からアクセスか、目次から飛べます。
番外は突発的に書いた話で、一応読まなくても大丈夫な内容(ネイサンに負けた先輩の婚約者視点の話)となっているので、気が向いたら読んでやってください。
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