虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
396 / 673

350

しおりを挟む


 エリオットの家でのお茶会から少し経って――――

 公爵家のガーデンパーティーにお呼ばれされてしまいました。

 お祖父様とおばあ様、セディーとケイトさん。そしてわたしも参加です。

 セディーはケイトさんをセルビア家まで迎えに行くので、行き帰りと別の馬車で行動。

 広い公爵邸の、美しく整えられ、華やかに飾り付けされた庭園。

 招待されていたのはそう多い人数ではないようですが、お祖父様曰く、フィールズ公爵家の重要な取引相手が参加しているとのこと。

 そこで、色々な発表がありました。

 まずは、フィールズ公爵位の譲渡の発表。フィールズ公が、これまで公爵補佐をしていたご子息(フィールズ嬢の父君)へと爵位を譲るとのこと。

 それから、レイラ・フィールズ嬢とエリオットとの婚約の見直しで、その妹君のルリア嬢との婚約の発表。実質上の婚約者のすげ替え。レイラ・フィールズ嬢には、新しい婚約者を吟味中とのこと。

 新フィールズ公爵、そしてエリオットとルリア嬢の婚約のお披露目。

 ルリア嬢がまだ夜会へ出られる年齢ではないので、ガーデンパーティーで内々のお披露目となったようです。

 緊張した面持ちのエリオットと、にこやかに微笑んで……嬉しそうにエスコートされているルリア嬢。この様子と、お披露目内容を見る限り、ルリア嬢はフィールズ公の説得には大成功したようですね。

 やっぱり、エリオットよりもルリア嬢の方が公爵には向いている気がします。

 セディーとケイトさんと合流。

 それから、フィールズ公とフィールズ公爵にご挨拶をしに。

 お祖父様とフィールズ公が話していると思ったら、

「ネイサン君」

 名前を呼ばれて驚いた。

「君には感謝をしている。君のお陰で、レイラとエリオットの関係を見直すことができた。どうかこれからも、エリオットと仲良くしてほしい」

 深く感謝をされ、エリオットをこれからも宜しくされてしまいましたよ。

「わたしで宜しければ」

 と、答えるしかないですよねぇ・・・

「セディック君とセルビア嬢も、どうかエリオットとルリアの二人と仲良くしてやってくれ」
「ええ、喜んで」
「なにか困った・・・こと・・があったら手を貸そう」
「ありがとうございます」

 セディーと二人、フィールズ公とご子息の公爵に、エリオットとルリア嬢を宜しく、と。握手をされました。

 これでわたしとセディーは、フィールズ公とご子息の公爵公認の、エリオットのお友達決定です。

 そしてセディーは、フィールズ公爵家に懇意にされている、という認識を得たことになります。あと、明確に次期侯爵という認識もかな? 今日はハウウェル子爵夫妻あの二人は呼ばれていないみたいだし。

 それから、フィールズ公はニヤリと笑うお祖父様に話があるとかで、お祖父様とは一旦分かれて。セディーはケイトさんをエスコートして、わたしはお祖父様の代わりにおばあ様をエスコートして、ターシャおば様と公爵夫人にご挨拶です。

 にこやかに笑うターシャおば様と公爵夫人を取り囲むご婦人方の輪の中へ入って行くと……

「は、ハウウェル先輩っ……」

 と、潤っとした目と情けない声のアルトがわたしを呼んだ。

「エル兄様、笑顔です。ほら、笑ってください。ご挨拶しますよ」

 すかさず、小さな声の注意。

「ぁぅ~……」

 もう既に、エリオットは七つも離れた年下の婚約者の尻に敷かれているようだ。

「ふふっ、本日はご招待ありがとうございます。そしてフィールズ公爵令嬢、フィールズ伯爵令息とのご婚約、おめでとうございます」

 微笑ましいという風にクスリと笑って、二人へ挨拶をするおばあ様。

「お祝いありがとうございます、ハウウェル侯爵夫人。わたくしのことはどうか、ルリアとお呼びくださいませ」
「では、ルリア様。わたくしのこともネヴィラと」
「はい、ネヴィラ様」
「ルリアさん、こちらは僕の婚約者のセルビア伯爵令嬢、ケイトさんです」
「初めまして、フィールズ公爵令嬢。ケイト・セルビアです」
「はじめまして。セルビア伯爵令嬢のお噂はかねがね。お会いできて光栄です」

 と、ケイトさんとルリア嬢の顔合わせと挨拶。そこへ、

「あら~、ようこそいらっしゃいませ~。ネヴィラ様」

__________



 2月13日分の更新は、350の次ではなくて、325と326の間に番外として割り込みで更新しました。

 『虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い』の表紙からアクセスか、目次から飛べます。

 番外は突発的に書いた話で、一応読まなくても大丈夫な内容(ネイサンに負けた先輩の婚約者視点の話)となっているので、気が向いたら読んでやってください。

しおりを挟む
感想 175

あなたにおすすめの小説

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

眠りから目覚めた王太子は

基本二度寝
恋愛
「う…うぅ」 ぐっと身体を伸ばして、身を起こしたのはこの国の第一王子。 「あぁ…頭が痛い。寝すぎたのか」 王子の目覚めに、侍女が慌てて部屋を飛び出した。 しばらくしてやってきたのは、国王陛下と王妃である両親と医師。 「…?揃いも揃ってどうしたのですか」 王子を抱きしめて母は泣き、父はホッとしていた。 永く眠りについていたのだと、聞かされ今度は王子が驚いたのだった。

婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います

ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」 公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。 本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか? 義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。 不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます! この作品は小説家になろうでも掲載しています

【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました

鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
 伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。  ところが新婚初夜、ダミアンは言った。 「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」  そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。  しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。  心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。  初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。  そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは───── (※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)

【完結】本当の悪役令嬢とは

仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。 甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。 『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も 公爵家の本気というものを。 ※HOT最高1位!ありがとうございます!

【完結】自業自得の因果応報

仲村 嘉高
恋愛
愛し愛されて結婚したはずの夫は、モラハラDVな最低男だった。 ある日、殴られて壁に体を叩きつけられ、反動で床に倒れて頭を打ったマリアンヌは、その衝撃で前世を思い出した。 日本人で、ちょっとヤンチャをしていた過去を持った女性だった記憶だ。 男尊女卑の世界に転生したにしても、この夫は酷すぎる。 マリアンヌは、今までの事も含め、復讐する事に決めた。 物理で。 ※前世の世代は、夜露死苦な昭和です(笑)

異母妹にすべてを奪われ追い出されるように嫁いだ相手は変人の王太子殿下でした。

あとさん♪
恋愛
リラジェンマは第一王女。王位継承権一位の王太女であったが、停戦の証として隣国へ連行された。名目は『花嫁として』。 だが実際は、実父に疎まれたうえに異母妹がリラジェンマの許婚(いいなずけ)と恋仲になったからだ。 要するに、リラジェンマは厄介払いに隣国へ行くはめになったのだ。 ところで隣国の王太子って、何者だろう? 初対面のはずなのに『良かった。間に合ったね』とは? 彼は母国の事情を、承知していたのだろうか。明るい笑顔に惹かれ始めるリラジェンマであったが、彼はなにか裏がありそうで信じきれない。 しかも『弟みたいな女の子を生んで欲しい』とはどういうこと⁈¿? 言葉の違い、習慣の違いに戸惑いつつも距離を縮めていくふたり。 一方、王太女を失った母国ではじわじわと異変が起こり始め、ついに異母妹がリラジェンマと立場を交換してくれと押しかける。 ※設定はゆるんゆるん ※R15は保険 ※現実世界に似たような状況がありますが、拙作の中では忠実な再現はしていません。なんちゃって異世界だとご了承ください。 ※拙作『王子殿下がその婚約破棄を裁定しますが、ご自分の恋模様には四苦八苦しているようです』と同じ世界観です。 ※このお話は小説家になろうにも投稿してます。 ※このお話のスピンオフ『結婚さえすれば問題解決!…って思った過去がわたしにもあって』もよろしくお願いします。  ベリンダ王女がグランデヌエベ滞在中にしでかしたアレコレに振り回された侍女(ルチア)のお話です。 <(_ _)>

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

処理中です...