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しおりを挟む「お、おばあ様がすみませんでしたっ!!」
「や~、フィールズのおばあ様もすごかったけどさー、お嬢様もすごかったじゃねーか。で、フィールズはあーんな熱烈なアタックされてたけどどうすんのっ?」
ワクワクとした顔での質問。
「ふぇ?」
「ほら? 婚約者のお嬢様とは、婚約見直すっつってたじゃん。つかさ、まさか女の子にあそこまで言わせて、なんもしないとか、そんなクズなこと言わねーよな? フィールズは」
口だけは笑みを浮かべ、目は全く笑っていないテッドが聞いた。
「え? あ、そ、そのっ……る、ルリアちゃんはまだ小さいし……」
「まぁ、小さいこた小さかったけど、あんなにしっかりしたお嬢様だし。背ぇ低くても十二歳とかくらいだろ? 十分女の子じゃん」
「ふぇ? えっと、ルリアちゃんは、今年九歳で、僕とレイラの七こ下ですよ?」
「・・・え? マジで?」
「はい」
「なら・・・あれは、きっとあれだな。うん」
テッドがふっと、遠い目でどこかを見詰める。
「?? あれって、なんですか?」
「ああ、あるじゃん。小さい女の子が、大きくなったらお父さんと結婚する! 的なやつ。あれの、イトコバージョン。大きくなったらエル兄様と結婚してあげます♪って感じじゃね? 今のうちだけだなー」
「おお、成る程ですっ。やっぱりそうですよねっ?」
「そうそう、きっと大きくなったら、気が変わってるって。振られても元気出せよ? フィールズ」
はははと、ルリア嬢のプロポーズともとれる言葉を子供の言葉だと笑い合うテッドとエリオット。
ひそひそとセディーと言い合う。
まぁ、ルリア嬢のあの様子だと、フィールズ嬢との婚約を続けるよりはいいと思う。ルリア嬢は、フィールズ嬢とは違って、エリオットのことをちゃんと見ている。エリオットの嫌がることは、そうそうしないだろう。
・・・九歳の女の子に守ってあげる宣言をされて、エリオットにプライドは無いのか? と、思わないでもないけど。
「それにしても……まさか、あのハウウェルが婚約者を溺愛しているとはなー?」
ニヤニヤと、揶揄うような笑みでテッドが言う。
「しかも年下かー、そっかそっかー」
「なにが言いたいワケ?」
コイツ、面白がってやがる。
「え~? だってよー、学校では女の子に言い寄られんのから逃げ回ったり、ときにはバッサリ切ったりしてる、ちょっぴり女の子に冷たいあのハウウェルが、年下の可愛らしい婚約者は溺愛って言うからー」
「あのね、婚約者がいるのに、別の女の子に言い寄られたからって、それにホイホイ応じる方が問題でしょ。馬鹿なの?」
「ヤだっ、そんな虫ケラを見るような目はやめてっ! 視線が刺さるっ!」
「……お前が馬鹿なことを言うからだろう」
「うむ。誠意の無い男は最低だぞ」
「そういう浮気者の駄目男は、女の人達に浮気がバレて、地獄を見せられる羽目になるんですよ? 知らないんですか? メルン先輩」
「ふふっ、テッド君はもう少し発言に気を付けた方がいいかもねぇ?」
「フィールズとおにーさんまでっ!」
ターシャおば様……フィールズ公爵夫人とルリアちゃんの乱入? で、色々と思わぬ話が出たけど、その後はいつものようにわちゃわちゃとした雰囲気になって、お茶会は終了。
わたしとセディーはうちに戻ったけど、レザン達はフィールズ家の馬車で学園に戻るとのこと。そして、エリオットもそのまま一緒に学園へ戻るらしい。
「また学校で会いましょうねっ! セディック様も、ご迷惑じゃなかったらまたご一緒して頂けると嬉しいですっ!」
と、言っていた。
「フィールズ公爵夫人からのご招待か……ケイトさんに話しておかなきゃ」
「・・・きっと、ターシャおば様がすっごく張り切って準備してると思う」
「・・・おばあ様にもご出席をお願いしよう」
「うん、その方がいいかも」
帰りの馬車で、ちょっと疲れながらセディーとそんな話をした。
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