383 / 673
337
しおりを挟むそして、中間テストで赤点を取った生徒以外は帰省解禁になった週末。
渋滞を越えてうちに帰り、のんびりまったり過ごしつつセディーに構われて、ちょっと忘れそうだったエリオットに招待されたお茶会について話す。
「ねえ、セディー。フィールズ伯爵家のエリオットって知ってる?」
「ああ、フィールズ公爵令孫のエリオット様のこと? 確か、内孫にはエリオット様しか男子がいなくて、フィールズ公爵家直系の令嬢と婚約を結ばれているから、次代のフィールズ公爵と目されている方だよね」
あ、なんかわたしよりもセディーの方がエリオットの状況や立場なんかを詳しく知ってたみたい。
騎士学校在籍の経歴。伯爵家嫡男で、公爵家本家の令嬢の婚約者。そして、次代の公爵候補……って、泣き虫で割と残念感の漂う実物のエリオットを知らなかったら、なかなか大層な肩書を持った人に聞こえる。
というか、むしろエリオット本人を知っていると、誰のこと? 名前が一緒の別人? と本気で思えそうなくらいの大物だ。思いっ切り肩書き負けしてるなぁ。
「そのエリオット様が……って、ネイトの一つ下の筈だから、今度の新入生だっけ?」
「まぁ、新入生というか……後輩だね騎士学校の。こっちに入って来たの知らなくて、びっくりしたよ」
再会した? 途端、エリオットだと認識する間もなく、いきなり体当たりをされて押し倒されるし。十時間耐久レース後で疲れてなくて、もうちょっと元気なときだったら、あんな簡単に、エリオットに転がされたりはしなかったと思う。なんかちょっと悔しい。
「え?」
ぱちぱちと驚いたように瞬くブラウン。
「どこの中等部に行ったかは知らなかったんだけど・・・エリオット様って、騎士学校には行く必要なんて無い筈だよね?」
まぁ、次代の公爵にと望まれているような子が入る場所じゃないことは確かだ。
「行く必要は無かったと思うけど、本人の強い希望であの騎士学校に入ったみたい」
「なんでまた、あんな……辺鄙なところへ」
辺鄙、と言葉を濁してはっきりとは言わないけど……セディーって、あの騎士学校のこと嫌ってるんだよね。まぁ、わたしも別に、あそこは好きじゃないけど。
「なんでも、年の離れた姉君達におもちゃ扱いされて育ったようでね。エリオットは女性が苦手なんだよ。だから、姉君達から逃げる為に遠方であること。そして、女性が一人もいない寮制の学校。という条件のみで、あの騎士学校を選んだって言ってたよ」
「それはまた……」
__________
実物は泣き虫で賢いアホの子なのに……肩書きだけを見てみると、なんか強くてかっこよさそうなエリオット。(笑)
21
お気に入りに追加
750
あなたにおすすめの小説


「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。
window
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」
弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。
結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。
それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。
非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

生命(きみ)を手放す
基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。
平凡な容姿の伯爵令嬢。
妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。
なぜこれが王太子の婚約者なのか。
伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。
※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。
にんにん。

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる