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しおりを挟むそして、中間テストで赤点を取った生徒以外は帰省解禁になった週末。
渋滞を越えてうちに帰り、のんびりまったり過ごしつつセディーに構われて、ちょっと忘れそうだったエリオットに招待されたお茶会について話す。
「ねえ、セディー。フィールズ伯爵家のエリオットって知ってる?」
「ああ、フィールズ公爵令孫のエリオット様のこと? 確か、内孫にはエリオット様しか男子がいなくて、フィールズ公爵家直系の令嬢と婚約を結ばれているから、次代のフィールズ公爵と目されている方だよね」
あ、なんかわたしよりもセディーの方がエリオットの状況や立場なんかを詳しく知ってたみたい。
騎士学校在籍の経歴。伯爵家嫡男で、公爵家本家の令嬢の婚約者。そして、次代の公爵候補……って、泣き虫で割と残念感の漂う実物のエリオットを知らなかったら、なかなか大層な肩書を持った人に聞こえる。
というか、むしろエリオット本人を知っていると、誰のこと? 名前が一緒の別人? と本気で思えそうなくらいの大物だ。思いっ切り肩書き負けしてるなぁ。
「そのエリオット様が……って、ネイトの一つ下の筈だから、今度の新入生だっけ?」
「まぁ、新入生というか……後輩だね騎士学校の。こっちに入って来たの知らなくて、びっくりしたよ」
再会した? 途端、エリオットだと認識する間もなく、いきなり体当たりをされて押し倒されるし。十時間耐久レース後で疲れてなくて、もうちょっと元気なときだったら、あんな簡単に、エリオットに転がされたりはしなかったと思う。なんかちょっと悔しい。
「え?」
ぱちぱちと驚いたように瞬くブラウン。
「どこの中等部に行ったかは知らなかったんだけど・・・エリオット様って、騎士学校には行く必要なんて無い筈だよね?」
まぁ、次代の公爵にと望まれているような子が入る場所じゃないことは確かだ。
「行く必要は無かったと思うけど、本人の強い希望であの騎士学校に入ったみたい」
「なんでまた、あんな……辺鄙なところへ」
辺鄙、と言葉を濁してはっきりとは言わないけど……セディーって、あの騎士学校のこと嫌ってるんだよね。まぁ、わたしも別に、あそこは好きじゃないけど。
「なんでも、年の離れた姉君達におもちゃ扱いされて育ったようでね。エリオットは女性が苦手なんだよ。だから、姉君達から逃げる為に遠方であること。そして、女性が一人もいない寮制の学校。という条件のみで、あの騎士学校を選んだって言ってたよ」
「それはまた……」
__________
実物は泣き虫で賢いアホの子なのに……肩書きだけを見てみると、なんか強くてかっこよさそうなエリオット。(笑)
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