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しおりを挟む「え? そ、そんなっ、もっと真剣に僕の話聞いてくださいよっ?」
「遅刻する前に教室に行け? そもそも、先週はちゃんと教室で授業受けてたんだろ。今更がたがた言うな。それに、フィールズ嬢とはクラスが違うんでしょ」
「・・・はい」
「一応言っとくけど、フィールズ嬢や君の姉君達みたいな女性の方が少ないからね。普通の女性は、仮令自分の弟であろうとも、男に女装は勧めたりしないと思う。それに、エリオット。君、一応仮にも騎士学校で訓練を受けた男なんだから、大抵の女性よりは強い筈でしょ。体力もあるし。嫌なら、力尽くで逃げればいいんだよ」
「お、女の子に酷いことはできませんよっ!!」
青ざめた顔で必死に首を振るエリオット。
「そ、そんなことをしたら、昔に酷い目に遭って死んじゃった女の人の幽霊に取り憑かれて、不幸にされちゃうんですからねっ!? 男の幽霊なら兎も角、女の人の幽霊が四六時中一緒なんてそんなの耐えられませんっ!?」
「幽霊って・・・」
なに言ってるんだか? しかも、男の幽霊なら耐えられるのか。相変わらず、根性があるんだか無いんだかよくわからない奴だな?
「ね、姉様達が言ってたんですっ。女の人に酷いことした人が、自分の殺した女の人の幽霊に取り憑かれて、一日中女の人が見えるって言って、段々と頭がおかしくなって自殺したってっ!」
それは単に、殺人を犯したことへの罪の意識だとか、殺してしまった人に対する罪悪感の問題で、精神を病んだだけなんじゃ……? もしくは、姉君達がエリオットの反応を面白がっての作り話。非道な貴族……というか、非道な男の話はよくあることだし、基になった話は実在してそうだけど。
「まぁ、君がそれを信じてるならそれはそれでいいけど。そうじゃなくて、誰が女性に暴力を振るえって言った? 君、逃げ足は速いし、かくれんぼも得意なんだから。普通の女の子が追い付けるワケないでしょ。掴まれても振り解いて、とっととダッシュで逃げて、見付からないよう隠れる。OK?」
「はいっ!!」
「あと、しつこい女の子を退散させる、おばあ様直伝の魔法の言葉を教えてあげる」
「そ、そんな魔法の言葉があるんですかっ!? ぜ、是非教えてくださいっ!! お願いしますハウウェル先輩っ!!」
「うん。まぁ、これ言うとナルシスト疑惑は避けられないから。そのつもりでね」
「ナルシスト疑惑くらいなんですかっ!! 女の子が退散してくれるなんてものすっごい魔法の言葉ですよっ!! ど、どんなお言葉なんですか?」
「しつこい女の子には、面と向かってにっこりとこう言うんだって。『わたし、鏡を見慣れているもので』って」
「ふぇ? 鏡?」
きょとんと首を傾げるエリオット。
「ぷはっ!! ま、マジかよそれっ!? ははっ、ネヴィラ様すっげぇなっ!? ハウウェルが言うと、マジでシャレんなんねーけどっ……」
「……くくっ、それは確かにっ……普通の女子は、退散するしかないなっ……」
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