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しおりを挟む翌朝。若干の怠さを感じながら、起きて身支度。
食堂へ向かうと、
「よう、ハウウェル」
「ハウウェルせんぱい・・・」
「空いてるぞ」
「……体調はどうなんだ?」
と、いつもの面子プラス、泣きそうな顔のエリオットがいた。
「……ん、おはよ」
ぼ~っとしながら挨拶。
そう言えば、昨日よりは筋肉痛も、エリオットにやられた脇腹もよくなったと思う。脇腹はまだ青あざが消えないけど、触ったりしなければあまり痛まない。
「ふむ。まだ寝惚けているようだな」
「お、起きてくださいハウウェル先輩っ!」
「……なに? 朝っぱらからウルサいんだけど?」
大きな声に、思わず顔を顰める。
「き、今日からまた授業があるんですっ!!」
「・・・そう。で?」
「お、女の子が教室にいっぱいいるんですよっ!?」
「・・・だから?」
「共学なんだから当たり前だっての。な?」
「……ああ。それに、上位クラスは普通クラスや下位クラスに比べると、女子生徒の数は少ないと思うんだが?」
「他のクラスよりは少なくてもっ、教室が一緒なんだから近くに座るじゃないですかっ!?」
「お前さ、なに言ってんの? 共学なんだから当たり前だろ。つかそもそも、女の子苦手ならなんで共学来たよ?」
「そ、それは・・・も、元々は中等部からこっちに入るつもりだったんですけど、ミラ姉様と入れ違いになるとは言え、ミラ姉様のお友達がまだ通ってるかもしれないし、姉様達から逃げたくて騎士学校に行ったんです! そしたら、あっちはいじめっ子達がいたけど、女の子がいなくて快適で伸び伸び過ごせて・・・」
ああ、確か、姉君達とは年が離れているって言ってたっけ? ケイトさんがエリオットの姉君にはお世話になったとか言っていましたね。
幾つ上なんだろ?
「で、でも、姉様達のお友達ももうみんな卒業した頃合いだし、嫡男なんだから、高等部はこっちに通いなさいって。それに、共学だからって、男女の教室が分かれている学校もあるって言われてたのにっ・・・授業が始まったら、男女の教室が一緒でび、びっくりしたんですっ!? お父様とお母様に騙されたんですっ!! 詐欺なんですっ!?」
ぁ~、それは騙したというか・・・男女共学校でも、男女のクラスが別々に分かれている学校があることは確かだ。けど、エリオットのご両親は、この学園がそうだとは一言も言ってないんじゃないかな?
エリオットが女の子を怖がってこの学園に通いたくない、なんて言い出すのを見越しての苦肉の策というやつかもしれない。
一度寮に入っちゃえば、帰省解禁までは帰れないし。その間に、エリオットが学園に慣れてくれれば……という希望的観測だとか? まぁ、問題を起こせば家に帰れるけど。昨日のフィールズ嬢のお誘いに乗れば、一発で停学か退学だし。
「ふむ・・・」
「え? マジで、言ってる……のか? 共学、なのに……男女の教室が分かれているとか共学の意味無ぇだろっ!! アホかっ!?」
くわっと目を見開き、エリオットを怒鳴り付けるテッド。
「ふぇ?」
「……そういうことじゃないと思うが? テッド」
「・・・とりあえず、ごはん食べれば?」
「うむ。そうだな」
うん。今日もごはんが美味しい。
「え? そ、そんなっ、もっと真剣に僕の話聞いてくださいよっ?」
__________
短編の投稿をしました。タイトルがちょっとアレなんで、上の『月白ヤトヒコ』のリンクからどうぞ。
女神の化身として誘拐召喚をされた挙げ句、妻になれ、子供を産めと言われてキレた主人公が、その国へざまぁする話です。気になった方は覗いてやってください。
主人公は口が悪いです。(笑)
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