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「すごいっつーか……なぁ? ハウウェル」
「まぁ、ねぇ……」
「? どうかしたんですか?」
「どうっていうか、あれだね。人に挨拶するときには、ちゃんと顔見せろ? 失礼だ」
「ええっ!! こ、ここには、お、女の子がっ……ミラ姉様のお友達がいるんですよっ!!」

 イヤイヤと、ストールの巻かれた頭を振って拒否を示すエリオット。

「? ケイトさんが君の姉君のご友人だとして、なにか問題が?」
「えっと、ネイサン様。フィールズ様が嫌がるのでしたら、無理はしなくてもいいですよ?」
「っ!! け、ケイト様は、僕の嫌がることはしないんですかっ!?」
「? ええ」
「本当の本当にっ!? 遊びましょうって言って、僕の服を無理矢理脱がしてコルセットやドレスを着せたり、僕を縛り付けてお化粧を塗りたくったり、痛がっているのにぐいぐい髪の毛を引っ張って結い上げたり、ダンスの練習だとハイヒールを履かせて女性パートを踊らせたり、おままごとで妹や赤ちゃん役ばっかりさせたり、ペット役だからって首輪を付けたりしませんかっ!?」
「ええ、はい。勿論です。ままごとをするような年でもありませんので、そんなことは絶対にしないとお約束します。フィールズ様」

 にこりと優しく、エリオットを刺激しないように応えるケイトさん。

「ケイト様はとっても優しいんですね!」

 感激したようなアルト。

 ケイトさんが優しいというか……いや、ケイトさんは実際に優しいんですけどね?

 姉君達におもちゃにされたとは聞いていたけど……エリオットは、想像以上のおもちゃ・・・・扱い・・をされていたようだ。そしてエリオットの様子からすると、姉君のご友人達にも遊ばれていたみたいですねぇ。

 「…… ミラベル様は、 一番下の 弟君を とても 可愛がって いるのだと 仰って いたの ですが……」

 零れる、怪訝そうな呟き。

 まぁ、ある意味とても可愛がっている、と言えなくもない・・・本人の意思を丸っきり無視して。

 可愛がられて? いる方(男のエリオット)からすれば、とんでもなく酷い可愛がり方だと思うけど。

 そんな扱いを十数年間(騎士学校に入るまで)もされていれば、女性を怖がるようになるのも無理はないのかもしれない。

「……ヤだ、この子ってばハウウェルとは別の意味で不憫な子っ……」
「……そんなに恐ろしいのか。年の離れた女兄弟は……」

 と、同情するようにエリオットを見やるテッドと青褪めた顔のリール。

 まぁ、不憫と言えば不憫……かなぁ?

「ほら、ケイトさんは君に酷いことはしないから、それとってちゃんと挨拶しろ」
「・・・はい」

__________


 エリオットは愛されてはいます。(笑)

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