328 / 673
283
しおりを挟む「いつでも帰って来ていいからね? 誰かにいじめられたらすぐに言うんだよ?」
「もう、大丈夫だって」
心配そうな顔でぎゅ~っとハグをして来るセディーの背中を、ぽんぽんと叩く。
「セディーは心配性ねぇ。ほら、もう放しなさい。ネイトが困っちゃうでしょ」
「はい……」
「それじゃあ、行って来ます」
「いってらっしゃいませ、ネイサン様」
いつものようにセディーとおばあ様。そしてそこに、微笑ましいという顔をしたライアンさんがプラスされて、三人に見送られて馬車へ乗り込むと……
「麗しき兄弟愛だな」
「相変わらず、ブラコンっぷりは健在だなー」
「……今生の別れでもあるまいし」
うんうんと頷くレザン、ニヤニヤと笑うテッド、呆れ顔のリールと三者三様の反応。それぞれに微妙にムカついてイラッとする。
「ウルサいな。四年前は、学園寮で会う筈だったのに、一年以上会えなかったんだよ」
「ああ……騎士学校は二年に進級して、更に成績優秀者でないと外泊の許可が下りなかったからな」
「うわ、それマジで学校?」
「うむ。軍事関係者の多く通う、厳しい騎士学校というのが有名になってな。それで、やらかした貴族子弟を更生させる為に入学させることも増えたそうだ。更に、なかなか生徒を外に出さない寮制ということもあり、ワケ有りの者も結構いたぞ」
「・・・わー、一応お前らが通ってたとこヤバそうだとは思ってたけど、なんか想像よりヤバそうなとこ通ってたんだな」
「まあね」
「もしかして、ハウウェルが喧嘩っ早いのってその影響か?」
「うむ。そうだろうな」
「や、なんで君が答える。というかわたし、そんなに喧嘩っ早い方じゃないと」
「いーや、ハウウェルは怒りっぽい。なんだったら、レザンより気が荒い」
わたしの言葉を遮って断言するテッド。
「いやいや、そんなことはない」
否定するも、
「……短気な自覚が無いのか」
リールがぼそりと呟く。
「見た目は強面イケメンだけど、なんだかんだレザンは案外鷹揚だかんなー」
「うん? そうか?」
「おう。見た目の割に取っ付きやすいぞ。ま、それはハウウェルもなんだけどなー」
そんなことを話しながら馬車に揺られて学園へ。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰
15
お気に入りに追加
727
あなたにおすすめの小説
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
まさか、こんな事になるとは思ってもいなかった
あとさん♪
恋愛
学園の卒業記念パーティでその断罪は行われた。
王孫殿下自ら婚約者を断罪し、婚約者である公爵令嬢は地下牢へ移されて——
だがその断罪は国王陛下にとって寝耳に水の出来事だった。彼は怒り、孫である王孫を改めて断罪する。関係者を集めた中で。
誰もが思った。『まさか、こんな事になるなんて』と。
この事件をきっかけに歴史は動いた。
無血革命が起こり、国名が変わった。
平和な時代になり、ひとりの女性が70年前の真実に近づく。
※R15は保険。
※設定はゆるんゆるん。
※異世界のなんちゃってだとお心にお留め置き下さいませm(_ _)m
※本編はオマケ込みで全24話
※番外編『フォーサイス公爵の走馬灯』(全5話)
※『ジョン、という人』(全1話)
※『乙女ゲーム“この恋をアナタと”の真実』(全2話)
※↑蛇足回2021,6,23加筆修正
※外伝『真か偽か』(全1話)
※小説家になろうにも投稿しております。
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる