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しおりを挟む「はあ……その辺りは、俺にはまだちょっと難しいかもです」
まぁ、セディーのそれは一般的な本の読み方じゃないとわたしも思う。
テッドにひそひそと囁かれた。
うん。頭良いのはわかってたけど、今の話を聞いて、もしかしたらセディーはわたしの予想よりもかなり頭良いのかもしれないと思ったよ。
「あ、質問いいですか? おにーさん」
「どこかわからないところがある?」
「あ、そうじゃなくって。なんて言うかこう……どういう風な勉強したら、おにーさんみたいに頭良くなれますか? 全教科得意になる方法があるなら教えてください! 是非とも!」
「う~ん……僕の勉強法って、かなりアレだからなぁ。多分、普通の子には全然当てにならないと思うんだけど……」
テッドの質問に困ったような顔をするセディー。
「そこをなんとかっ、お願いしますおにーさん!」
「ぁ~……まぁ、そこまで言うなら別にいいけど。単純に、どんな本でも、本を読むときには集中して読めばいいと思うよ」
「へ? それだけ、ですか?」
拍子抜けしたようなテッド。そして、なにげにリールが耳を澄ましている。
「うん。それだけ。具体的には……なんて言うか、話が通じなくて苦手だと思っている人と、毎日毎日最低でも数時間。長ければ半日以上とか一緒に過ごさなきゃいけなくて、その人の相手をしたくなくて、その人のことを意識から追い出す為に、ものすごっく集中する感じかな? あとは、その人の相手をしたくないが為に、もう何度も読んだ本を暗記するまで繰り返し読み返すとか?」
クスクスと笑いながら、けれど全く笑ってない目でセディーが言う。
なんというか・・・アレだっ!? これ、苦手な人って絶対母のことだよ・・・
セディーはわたしと違って、母と過ごす時間が長かったからなぁ・・・そりゃあ、話の通じない母と長時間一緒に過ごすのはキツいというか、つらいよねぇ。
「お、おにーさん? え~っと、冗談、ですよね?」
いきなり様子の変わったセディーに、テッドが戸惑ったようにわたしを見る。『どうしたよ? おにーさん』と、口パク。全くもう、要らんこと聞くからでしょ。
「セディー」
「ん? なぁに? ネイト」
「後でセディーのお勧めの本とか教えてくれる?」
「うん。いいよ♪」
にこりとセディーが頷いたところで、夕食の用意が整ったと侍女が知らせに来てくれた。
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