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しおりを挟む「学年的には、僕の二つ下ですよ」
まぁ、わたしの一つ上なんだから当然なんだけど。あと、おばあ様はまだ、リヒャルト君について話すときのケイトさんを見たことがないらしい。
ケイトさんは普段の凛とした態度と落ち着きが嘘のように、リヒャルト君についてテンション高く、迸る愛情を語るんですけどねぇ。あれはあれで、ケイトさんの一面ですし・・・こう言ってはなんですが、ケイトさんも年頃の女の子なんだと感じるんですよね。まぁ、セディーと『弟自慢』をし合うのは、是非ともわたしのいないところでやってほしいですけど。
と、わたしの話ではなく、ケイトさんのことばかりを話して――――
「そう言えばおにーさん。セルビア様からなに貰ったんですか?」
ふと、テッドがセディーに聞いた。
「ああ、これ?」
さっきテッドが渡した小包を取り出すセディー。すると、
「まあ、ケイトさんからの頂いた物があるの! よかったわねぇ、セディー。なにを頂いたのかしら? 開けてみてちょうだい」
おばあ様がワクワクした顔で、とっても嬉しそうです。なんだか、贈り物を開けているセディーよりも嬉しそうに見えるのは気のせいでしょうか?
「ネクタイピンですね。この間のお礼だと書いてあります」
「こないだって、副部長……じゃなくって、セルビア様となにかあったんですか?」
これまたワクワク顔のテッドが聞く。
「この間は、ケイトさんと買い物に行ったんだよね」
「おおっ!? デートですかっ!?」
「デートっていうか・・・」
ちらりとわたしの方を見るセディーに、首を振る。スピカのプレゼント選びに付き合ってもらっただなんて、このアホ共には知られたくない。なんかめっちゃ恥ずかしいし!
「ネイトと、リヒャルト君も一緒に行ってすっごく楽しかったよ?」
にこにこと微笑むセディー。すると……
テッドに窘められたっ!? しかも、仕方ない奴だなって顔をされたしっ!?
「・・・」
でも、こればかりはなにも言い返せないなぁ。
というか、わたしだって偶に邪魔なんじゃないかな? って、自分でも思うことがあるし。でもでも、セディーもケイトさんもわたしのことを邪魔だなんて一言も言わないし。むしろ、わたしとリヒャルト君に慈愛の眼差しが注がれるんだよ? それに、『リヒャルトが呼んでいるので遊びに来てください』って呼ばれるんだよ?
セディーとケイトさんの邪魔をしないように・・・というのは、本人達に大歓迎されているような場合、どうしたらいいのかな?
今のは・・・小声だったからセディーには多分聞こえてない、よね?
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