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 「ぉぉー、 レザンが なんか まともな 挨拶 してる……」

 と、小さく驚きの声を洩らすテッド。リールも同じく驚いた顔をしている。

 まぁ、わたしもちょっとびっくりしたけど。普段はそんなこと全く感じさせない脳筋だとは言え、一応これでもレザンは伯爵子息……の、三男だ。挨拶くらいはできて当然だよね? うん。ちょ~っと驚いたけど。

「あらあら、やっぱりお友達なんじゃない。もう、ネイトったら照れちゃって。ごめんなさいね? ネイトのお友達が遊びに来るのなんて初めてのことだから、わたしも嬉しくなっちゃって」

 おばあ様が嬉しそうに言うと、テッドから若干気の毒そうな視線が・・・

 だって、仕方ないじゃないか。ここはお祖父様とおばあ様の家だし。それにあの人がいるのに、実家に友人なんか呼べるワケがない。まぁ、クロシェン家に滞在したり、騎士学校に入れられたりと、うちにいる時間自体も少なかったりもするけど。

「ふふっ、僕も嬉しいな。学園でのネイトはどんな様子なのか教えてくれる?」

 にこにことセディーが微笑む。

 初っ端からなんてことを聞くんだっ!?

 余計なことは話すな!! という思いを籠めて、アホ共を睨み付ける。と、

「いやぁ~、実は俺とレザンはクラス同じなんですけど、ハウウェルとはクラスが違うんであんまり詳しい様子はちょっとわからないですね。ちなみに、リールも上位クラスなんで」

 へらりとかわすテッド。まぁ、確かにクラスは違うけど、なんだかんだ割と一緒にいたりするんだよね。コイツらとは。

「そうなんだ」

 ちょっと残念そうな顔をするセディー。

「それじゃあ、君達はどうやって知り合ったの?」

 続けての質問にも、ヒヤヒヤさせられる。

 わたしがテッドと仲良くなったのは、わたしがカツアゲ先輩共に絡まれたとき、テッドがレザンを寄越してくれたことがきっかけだ。

 そのときテッドは現場にいなかったけど、後日レザンを呼んだのは自分だと教えてくれて、そのお礼を言ったことで友人になった。レザンと同じクラス、そして乗馬クラブ所属ということもあり、その後はなんだかんだと一緒に過ごすことが多い。

「あ、俺も乗馬クラブなんで。ハウウェルとレザンって、乗馬かなり上手いんで、クラブでも結構目立つんですよ。というか、レザンがアホなんで、乗馬クラブに体験しに行ったときなんか、トラックに女の子とかがのんびり馬を走らせてるとこに、気性の荒い馬で突っ込んでいきなり爆走! みんな度肝抜かれてる中、副部長……あ、セルビア様のことです。が、颯爽と追走して、『そこの爆走男子、止まりなさいっ!?』って大声でレザンを止めたんですよ。そしてその後、連行されて行ってめっちゃ怒られてて。しかも、体験入部で一緒にいたハウウェルまで、セルビア様に説教食らってました。そのときは、やべぇ奴がいる! って俺は見てただけなんですけどねー」

 テッドはケラケラと笑いながら、レザンのやらかしと、巻き添えでわたしまでケイトさんに叱られた話をする。というか、あの場にいたんだ、テッド。全然知らなかったよ。

「いやぁ、あのときのセルビア様、めっちゃかっこよかったですよー」
「うむ。あそこまで馬に乗れる女性はそうそういないでしょう」

 自分のやらかしを面白おかしく語られているというのに、その辺りは特になんとも思わないのか、ケイトさんを誉めるレザン。

「あら、ケイトさんは凄いのねぇ。そう言えば、セディーもケイトさんと出逢ったのは乗馬クラブでだと言ってなかったかしら?」
「そうなんですか? おにーさんさえよろしければ、セルビア様との出逢った経緯を是非!」

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