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しおりを挟む「そもそも、わたしに目を付けていたのはあなた一人でしょうに」
アルレ嬢がわたしの勧誘を諦めれば、それで問題は無い筈だ。
「ヤだな、そんな筈ねぇっすよ。ハウウェル様ってば、自己評価低過ぎなんじゃねぇっすか? ウチ、前からずっと言ってるじゃねぇっすか、ハウウェル様程条件のいい人材はなかなかいねぇって。大体、クロフトの三男様だってハウウェル様に目ぇ付けてんじゃねぇっすか?」
その可能性は・・・否めなくもない。レザンからお誘いを受けたり、「鍛錬が足りないぞ、ハウウェル」なんてよく言われたりもする。でも、レザンは・・・
「レザンは脳筋だけどアルレ嬢よりはしつこくないし。余裕で断れますので」
「ぁ~、ハウウェル様ってほんっとに軍人になるつもり無いんすねー。ウチの誘いを断ってんのは、自分の価値の吊り上げと、好条件を引き出す為の駆け引きだと思ったんすけど、ガチで断ってたんすか……諜報部じゃなくても、クロフトの三男様のお誘いを受けたら、エリートコースまっしぐらっすよ? バリバリ出世できるっす」
「わたしは、平穏に暮らしたいので。あんな殺伐とした世界は嫌です」
そう言うと、
「はぁ~・・・平穏、っすか~。その、顔だけで食ってけそうな見目しといて」
繁々とわたしを眺めるアルレ嬢。
「なんですか、そのなんとも言えない評価は」
「ほら? ヒモとか結婚詐欺なんかで一生食ってけそうな見目してんじゃねぇっすか、ハウウェル様なら男も女も関係無くイケますって」
「誰がするか!」
「怒んねぇでくださいよ? 例えっすよ、例え。そんくれぇ綺麗な顔って誉めてんすよ」
「それは断じて誉めてない!」
「は~、顔がいいってんのは、それだけで人生得してるようなもんだと思うんすけどねー? ウチも、もうちっと綺麗系な顔してたら、苦労してあんな馬鹿女の振りしなくてもガンガン馬鹿共を誑かせてたんすかね?」
「知りませんよ。そんなの。というか、してたんですか? 苦労」
アルレ嬢の顔は、どちらかというと可愛い系。その顔とあざとい演技で……
「何人も破滅させておいて」
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