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夜中に恨めしげな顔をした諜報員見習いが窓辺に立っていて……「わたし、鏡を見慣れているもので」というナルシスト疑惑を掛けられそうな発言で撃退? してから数日。
学年末テストの日が刻一刻と近付いて来て――――
学園中に、ピリ付いた雰囲気が漂っています。
まぁ、余裕な人は余裕なんでしょうけど。ライアンさんみたいに、他の人へ勉強を教えている人もいることですし。
あとは、そうですねぇ・・・
苛々している人や、幽鬼の如き青白い顔をしてふらついている人、やたらハイになっている人、悟りを開いたのか如くに穏やかな笑みを浮かべて勉強を全くしていない人だとか、虚ろな表情や血走った目で、「テスト無くならないかな……」なんて呟いたり、「神に祈りを捧げましょう」なんて言っている、危なそうというか、すっごくヤバそうな人もちらほら。
身体を壊しそうな程に勉強を頑張っている人はかなり心配ですが、明らかにヤバそうな人達も・・・ある意味心配ではありますね。ヤバい人には、なるべく関わりたくありませんし。
なんというか、テスト時期になると必ず、一定数は変な風になる人達がいますね。普段は普通の人に見えるのに・・・
この学園はレベルが高くて、規定の点数を取らないとすぐに落とされてしまいますから。必死になるのもわかりはするのですが・・・ぶっちゃけ、アホでもバカでも普通に生きては行けますからね。
まぁ、バカだと貴族的にはちょっと大変かもしれませんが、成績だけが人生ではありませんし。
跡を継がないお気楽な次男の言うことだと思われるかもしれませんが、身体や精神を病む程には頑張らなくてもいいと思うんですよねぇ。
・・・かと言って、
「ハウウェル。ちょっと、気分転換に打ち合いでもしないか?」
なんてアホなことを言う脳筋は勘弁なんだけど。
「誰がするか」
「いや、ハウウェルだって身体を動かしたい筈だ。よし、行くぞ」
断言されたっ!? しかもなんか、レザンの目が据わってるんだけどっ! もしかして、勉強で普段あまり使わない頭を使い過ぎたのか?
「嫌だ。お前と打ち合いしたら身体ガタガタになるし。なんで試験前にわざわざそんなことしなきゃいけないんだよ。勉強ができなくなったらどうしてくれる?」
試験前に体調を崩すようなことはしたくない。
「ふむ。成る程、試験が終われば思う存分打ち合いができるということか」
「違うから。っていうか、その前にお前は留年回避が先だろ」
「おーおー、とうとうレザンがキレたかー。でも、ちょっとわかるわー」
ぽいっとペンを投げ出すテッド。
「……お前ら、ウルサいぞ」
リールが迷惑そうに顔を顰める。
「集中力が切れたみたいですね。少し休憩にしましょうか」
ライアンさんが苦笑しながら言いました。
「よっしゃ休憩っ!」
「よし、行くぞハウウェル」
立ち上がったレザンに腕を掴まれる。
「は? どこに?」
「とりあえず外だ!」
「怪我をするようなことは駄目ですよ?」
「わかりました」
ライアンさんに頷いたレザンに引き摺られ、外へと連れ出された。
「あ、俺も俺もー」
と、テッドが付いて来た。
「で、どこ行くワケ?」
「購買行こうぜー。俺腹減ったー。いやー、なんで勉強すっと腹減るかなー?」
「うむ。確かにな」
と、購買に行ってお菓子を大量に買って戻り、みんなでつつきながら勉強をした。
ちなみに、お菓子の半分程を一人で食った奴が、
「・・・試験が終わってから・・・」
という不穏な発言をしながらわたしの方を見ていたのを聞こえない振りをしたけど・・・学年末テストが終わったら、捕まらないよう逃げようと思う。
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