虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「いえ、なんでもありません! お気になさらず。それより、ハウウェルに用ですか?」

 いや、突っ掛かって来てるのはお前の方だろ……と、思うけど言わないでおく。

「この間、リヒャルトがお世話になったことと、ぬいぐるみを頂いたことへのお礼がてら、ネイサン様に……是非ともリヒャルトの可愛さをお伝えしておこうと思いまして!」
「へ?」

 力強いセルビア嬢の言葉に、きょとんと瞬くテッド。

「・・・もしかして、仲間認定?」

 どういう仲間・・を指しているのか、聞かなくてもなんとなく察してしまうのが、なんとも言えない。まぁ、別に間違っているワケでもないし。

「ふふっ、仲間……と言えば、そうなのかもしれませんね」

 クスクスと笑い、

「リヒャルトを肩車して、鳥の巣を見せて頂いたのだとか。赤ちゃんの鳥さんが可愛かったです、と。とても嬉しそうで。更には、もふもふの二羽のひよこを抱っこするリヒャルトは・・・とっても可愛かったんですっ!! ありがとうございます、ネイサン様」

 うっとりとした表情で力説。

「いえ、リヒャルト君が楽しかったのであればよかったです。ひよこも気に入ってもらえたなら嬉しいです。実はあのひよこ、セディーと二人で一羽ずつ選んだので、セディーも喜んでくれると思います」
「そうだったのですか。どちらも可愛らしかったですよ? では、セディック様にも、後でお礼の手紙を出しておきますね」
「ありがとうございます」

 うん。よかったよかった。

「あの~、副部長」
「はい、なんでしょうか? メルンさん」
「なんだか、ハウウェルとすごく親しくなってるみたいですけど、休みの間になにがあったんですか?」
「休みの間に、ハウウェルと剣でも交えましたか?」
「なんでそうなる!」

 レザンのアホな言葉に、思わず突っ込む。

「うん? 違うのか? セルビア副部長は剣を扱うのだと言っていたからな。それ以外で仲良くなるには・・・そうか、遠乗りでもしたのか」
「それも違う」

 まぁ、剣よりはマシだけど。

「ふふっ、クロフト様は面白いですね」

 クスクスと笑うセルビア嬢。冗談だと思っているみたいだけど、きっとコイツは本気で言っている。なにせレザンは、脳筋だから!

「実はこの度、わたくしケイト・セルビアは、セディック・ハウウェル様と婚約致しました。なので、ハウウェル様ではなくて、ネイサン様とお呼びしようと思ったのですよ」
「へ? マジでっ!?」

 テッドが目をまんまるにして聞く。

「うん。わたしもまだ実感湧かないけど、この休日の間に、セディーがセルビア嬢に婚約を申し込みに行ってね。セルビア嬢から、了承の返事を頂きました」
「そうですか。おめでとうございます。セルビア副部長、ハウウェル」

 レザンの祝福の言葉。

「ありがとうございます。クロフト様」

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