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番外。ブラコン同盟結成20

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 とても尊いと思ったのですっ!!!!

 そして、リヒャルトに「おにいさま」と呼ばれて、学園では一度も見たことが無い、慈しむような眼差しで優しい笑顔をリヒャルトに見せたハウウェル様……セディック様を見て、この方はリヒャルトへ酷いことを言ったあの元婚約者とは違うのだと、強く確信しました。

 セディック様もネイサン様も、リヒャルトを慈しんでくれる。きっと、リヒャルト疎んだりせず、優しくしてくれる。

 そう思ったら、負けてもいいかな? と、ふと思ってしまったのです。

 ネイサン様は素敵な男の子だと思いますが、セディック様が素敵かと聞かれると、少々言葉に詰まるような気はしますけど・・・

 あの方、運動が苦手で乗馬も下手。馬にも舐められますし、体力もあまりない。
 おっとりとした見た目や言動に寄らず、なかなか真っ黒なお腹をしているようですし。
 まぁ、貴族的にはその性格も頼もしい、と言えるのでしょうけど。
 あと、教え上手で頭はかなり良いと思うのですが、学生時代の試験などは、なぜかわざと手を抜いていたような節も見られますし……セディック様の同級生の方の中には、彼の試験での手抜きを疑っていらっしゃる方もいましたからね。

 なんだかちょっと、心配になってしまうのですよね。将来、セディック様が侯爵位を継いだとして、果たして有事の際には、ちゃんと采配を振るえるのか? と。主に、乗馬や体力的な問題で。指示出しなどは問題無さそうですが。

 まぁ、そんな心配はかく

 セディック様とは多分きっと、仲良くやって行けることでしょう。この辺りに関しては、不思議と不安は無いのです。

 無論、お互いに相手が自分の弟を傷付けることがなければ、という条件が付くのでしょうけど。

 そのようなことがない限りは、セディック様とわたしが仲違いすることは、そうそうない筈です。

 ネイサン様を『実の弟のように可愛がってもいい』とは思いましたが・・・当然わたしは、美しさでは兎も角、今でも可愛さはリヒャルトの方がネイサン様に勝っていると思っていますけどね!

 それにしても、ネイサン様に伝言を頼むとは……家の方も、父に手紙を出されてしまったようですし。

 外堀が埋められているような気がします。

 仕方がないので、今日は家にいて差し上げることにしましょう。

「リヒャルト」
「なんですか? ケイトねえさま」
「今日は、午後からお客様がいらっしゃいますよ」
「おきゃくさま?」
「ええ。この前、参加したお茶会でお会いしたお兄様方がいたでしょう?」
「おちゃかいの……? あ、ケイトねえさまとけんかしてたおにいさまと、おねえさまみたいなやさしいおにいさま!」
「喧嘩ではないのですが……それに、ネイサン様はとても綺麗なお顔をしていますが、リヒャルトと同じ男の子ですからね。女の子みたいだと言ってはいけませんよ。リヒャルトも、女の子と間違えられたら嫌でしょう?」
「わかりました!」
「あのときのお兄様方がいらっしゃるので、リヒャルトもお兄様方にご挨拶をしましょうね?」
「はーい」
「いい返事です」

 では、わたしもそろそろ準備をしますか。


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