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番外。ブラコン同盟結成18
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まさか、リヒャルト以外の男の子を『実の弟みたいに可愛がってもいい』と思えるようになるだなんて、ハウウェル様と賭けをした頃には、全く想像もしていませんでした。
婚約を解消してから、結婚する気が無くなっていて、リヒャルトのサポートをして生きて行くのだと思っていたわたしが・・・
まんまとハウウェル様の思惑通りかと思うと、かなり悔しいのですが・・・
まぁ、仕方ありません。ハウウェル様の弟君……ネイサン様は、ハウウェル様が仰った通り、実際に素敵な男の子だったのですから。
誰にも言ったことは無かったのですが・・・わたしは、リヒャルトが生まれていなければ、男性を嫌いになっていたかもしれません。
幼少期から、ずっとわたしを目の敵にして来る親族の少年達。そんな彼らに絡まれているのに、「次期当主として自分でなんとかしなさい」と、わたしを助けてくれない父。わたしへ、忌々しいという風な視線を向ける親族の大人達。
そして、剣や馬を習って行くうちに向けられる、「女にできる筈がない」という侮りや嘲り。それを覆す為に頑張れば、「女のクセに可愛げがない」や、「女のクセにいい気になるな」と言われる。
勉強を頑張り、優秀な成績を修めれば、同年代の……特に上位貴族の少年達に敵視される。
お母様は、「ケイトはなにも悪くないのよ」と悲しそうな顔で言ってくれましたが・・・
一体、わたしのなにがいけないのか、わたしには全くわかりませんでした。
彼らがわたしを嫌い、敵視するのなら、わたしも彼らのことを敵なのだと思うようになりました。
同年代の少年達には負けられないと、段々と頑なになって行き、心が荒んでいたときに生まれたのが、リヒャルトでした。
正直なところ、最初は弟が生まれたと聞いて、少し怖くなったのです。
わたしを敵視する同年代の少年達のように、生れたばかりの弟までがわたしのことを嫌って、敵視するような目で見られたらどうすればいいの? と。
家族にまでそんな目で見られるのは怖い、と。
今にして思えば、生まれたばかりの赤ちゃんが、わたしのことを敵視する筈がないとわかるのですけど。あの頃のわたしは、周囲にいる男性に対して、常に気を張っていましたから。
それから、勇気を出してリヒャルトに会いに行こうと、帰省して・・・
初めてリヒャルトを見たときは、本当に全てが驚きの連続でした。
まずはその小ささに。真っ赤な顔に。もぞもぞと動いていることに。触れた肌の熱さと、その柔らかさに。ぴすぴすと鳴る寝息の音に。むにゃむにゃと動く唇に。
眠っているリヒャルトにおっかなびっくり触れた指を、ぎゅっと小さな手で握られたときには、なぜか涙が零れてしまいました。
そして、自然と思ったのです。
ああ、この小さな命が愛おしい。守りたい、と。そう、強く思ったのです。
そんな風に思ってしまったら、リヒャルトが男の子だから怖いという思いなんか、綺麗さっぱり無くなっていました。
リヒャルトを可愛がりたいと思いながらも、なかなか家に帰ることができず、父にわたしがリヒャルトを嫌っているという風に思われていて、どうしようと思い悩んでいるときに出逢ったのが、ハウウェル様でした。
ハウウェル様は、今までわたしの周囲にいた男性とは、全く違う方でした。わたしへ悪感情を抱くことなく、自分が運動が苦手だと認めて、わたしへ馬の乗り方の教えを請い、いつも穏やかな表情をしている方。
まぁ、その印象は、弟君のことを語ることですぐに覆されたのですけど。
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