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番外。ブラコン同盟結成15
しおりを挟むだから・・・僕は、このままずっと独身でもいいと思っていた。
侯爵位を継ぐ上で若干の不便があるかもしれないけど、女性のことは別に好きじゃないし。まぁ、別に男色というワケでもないけど。
強いて言えば、僕は他人への興味が薄いのかもしれない。勿論、嫌いな人間はそれなりに多いけど。
後継問題だって、ネイトが結婚して子供が生まれれば、その子を養子にもらってハウウェル侯爵家を継いでもらえばいいと思っているし。そうじゃなければ、伯母様のところの誰かからもらうという手もある。
けど・・・
「セルビアさん」
「はい、なんでしょうか?」
「ケイトさん、とお呼びしても?」
ケイトさんの名前は、ネイトと音が似ていて呼び易くて好きだ。
「? ええ、構いませんが」
「お気を悪くしたなら謝りますが、ケイトさんって男が嫌いですよね?」
「・・・なぜ、そう思うのです?」
ほんの少し、硬くなる声。じっと、窺うように僕を見返す瞳。
「まぁ、見ていれば、という感じでしょうか。ケイトさんは、女子生徒と話すときにはそうでもないのですが、男子生徒と話すときには、少し身構えているような雰囲気になりますから」
親族にもいる男を差し置いて、次期伯爵候補の女性となれば、無駄に嫉妬されることが多かったことだろう。乗馬クラブに入って来たときだって、やたら男子生徒に絡まれて、結構大変な思いをした筈だ。
男の嫉妬は醜いというし。それが小さな頃からだとすれば、彼女が男嫌いになっても、なにもおかしくはない。
僕は、ちゃんと能力がありさえすれば、男か女かなんてことは、大した問題じゃないと思うんだけどね。
ハウウェル家だって、どうせなら、父なんかよりも伯母様が継いだ方が良かったのかもしれないと思っているくらいだし。
「・・・嫌いではありません。あまり、好きではないだけです」
溜め息と共に落ちる言葉。
「そうですか。実は、僕もあまり女性が好きではないんですよね」
さらっと言った言葉に、
「・・・ハウウェル様? それは・・・」
戸惑うようにケイトさんの視線が揺れる。
「ああ、僕は別に、男の方が好きというワケでもないですよ?」
女性が好きではないと、真っ先に男色を疑われてしまうのが、なんとも言えないよねぇ。
「そう、ですか」
「はい。それで、ですね。ケイトさんへ婚約を申し込んでも宜しいでしょうか?」
「・・・は? なんでいきなりそうなるんですか?」
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